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公務員試験に落ちてから就活は手遅れ?27卒が直面する現実とリスク
公務員試験への挑戦は素晴らしいことですが、「もしダメだったら、試験が終わってから民間企業を探せばいいや」と安易に考えているなら、少し立ち止まる必要があります。
結論から言えば、決して「手遅れ」ではありませんが、選べる企業の選択肢は大幅に狭まってしまうのが現実です。
特に近年の就活市場は早期化が著しく、試験が終わる頃には多くの優良企業が採用活動を終えています。
このリスクを正しく認識し、今から対策を打つことが未来の自分を守ることにつながります。
民間企業の採用ピークは大学4年4月~大学4年の6月
公務員試験の一次試験や合格発表が出揃うのは、早くても大学4年の夏から秋にかけてです。
しかし、民間企業の採用スケジュールはそれとは全く異なります。
多くの大手企業や人気企業では、大学3年3月から大学4年の5月にかけて内定出しのピークを迎えます。
つまり、公務員試験の結果が出てから「さあ、民間を受けよう」と動き出しても、その時点ではすでに多くの企業がエントリーを締め切っており、募集が終了している可能性が高いのです。
この数ヶ月のタイムラグが、致命的な機会損失を生むことを理解しておきましょう。
「全落ち・内定ゼロ」のリスクを回避するために
最も避けたい事態は、公務員試験に不合格となり、かつ民間の持ち駒もゼロという「全落ち」の状態です。
公務員試験一本に絞ることは、背水の陣として集中力を高める効果がある一方で、精神的なプレッシャーは計り知れません。
「落ちたら後がない」という焦りは、本番でのパフォーマンス低下を招くこともあります。
逆に、民間企業から一つでも内定を持っておくことは、強力な「精神安定剤」となります。
心の余裕を持って試験に臨むためにも、民間併願は単なる保険以上の意味を持つのです。
公務員試験に落ちてからでは遅い?民間就活とのスケジュール比較【27卒版】
「いつ何が起こるのか」を把握することは、戦略の第一歩です。
ここでは、公務員試験と民間就活、それぞれの一般的なスケジュールを比較してみましょう。
特に27卒の皆さんは、民間企業の選考早期化の影響を強く受ける世代です。
二つの異なるタイムラインがどのように並行し、どこで重なり合うのかを可視化することで、自分が今何を優先すべきかが見えてきます。
両者のピークが重なる時期をあらかじめ知っておくことで、パニックにならずに計画を立てることができるでしょう。
公務員試験の主な日程(3年秋~4年夏)
公務員試験の準備は長期戦です。
一般的に大学3年の秋頃から本格的な学習を開始し、年明けから春にかけて勉強の追い込み時期を迎えます。
そして、大学4年の4月から6月にかけて、国家公務員総合職、一般職、地方上級、専門職などの一次試験が立て続けに実施されます。
その後、面接などの二次試験を経て、最終的な合格発表が出るのは6月から8月、遅い自治体では秋以降になることもあります。
つまり、大学4年の春から夏にかけてが、受験生にとって最も負荷のかかる勝負の期間となるわけです。
民間就活の主な日程(3年夏~4年春)
一方で、民間企業の動きは公務員試験より遥かに早くスタートします。
大学3年の夏にはサマーインターンシップが始まり、ここでの評価が後の早期選考に直結するケースが増えています。
3年の冬には早期選考が本格化し、年内に内定が出ることも珍しくありません。
そして、経団連の指針による広報解禁の3月、選考解禁の6月を待たずして、実質的には3年の1月から4年春にかけてが選考の最盛期です。
公務員試験の直前期である春先は、民間企業にとっても面接ラッシュの時期であり、ここが最大の重複期間となります。
【27卒向け】あなたはいつから就活すべき?就活スタート診断!
「就活スタート診断」は、あなたがどんな企業に入りたいか、という情報をもとに、いつから就活をスタートすれば間に合うのかを徹底的に分析。
まだ就活をしなくてもいいと思っているけど、やっぱりちょっと不安、という方にぜひ一度試してみていただきたい診断です。
自分が就活すべきタイミングを正しく把握して、効率よく就活を始めていきましょう。
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本格的に就活を始める前に一度診断して、、自信をもって今の時期を過ごしてみませんか?
公務員試験に落ちてから焦らない!無理なく両立する「民間併願」スケジュール
「勉強もあるのに、就活なんて無理!」と思うかもしれませんが、全てを全力でこなす必要はありません。
強弱をつけたスケジュール管理こそが、併願成功の鍵です。
ここからは、公務員試験の勉強時間を確保しつつ、効率的に民間就活を進めるための時期別アクションプランを提案します。
どの時期に何に注力すべきか、メリハリをつけることで、共倒れを防ぎながら内定獲得を目指しましょう。
無理なく進められる現実的なプランをご紹介します。
【大学3年 8月~12月】自己分析とインターン参加(1Day中心)
この時期は、まだ筆記試験の勉強が本格化する前段階ですので、比較的動きやすい時期と言えます。
ここでの主目的は「業界研究」と「自分に合う企業を見つけること」です。
ただし、数日間にわたる拘束時間の長いインターンシップは勉強の妨げになる可能性があるため、半日や1日で完結する「1Day仕事体験」や「オープンカンパニー」を中心に活用しましょう。
週末や長期休暇を利用してこれらに参加することで、勉強のリズムを崩さずに企業の雰囲気を知ることができますし、就活の基礎体力を養うことができます。
【大学3年 1月~3月】早期選考への挑戦とES作成
年が明けると、民間企業の早期選考が本格化します。
公務員試験の直前期に入る前のこの時期に、志望度の高い民間企業にチャレンジしてみましょう。
もしここで早期内定を獲得できれば、4月以降は試験勉強に全集中できます。
また、たとえ内定が出なくても、この時期に質の高いエントリーシート(ES)を完成させておくことが重要です。
自己PRや学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)を整理しておけば、春以降に急いで出願が必要になった際も、内容を使い回すことができ、大幅な時短につながります。
【大学4年 4月~6月】試験直前期の時間の使い方
いよいよ公務員試験の本番シーズンです。
この期間は、原則として試験勉強を最優先にしてください。
民間就活については、新規のエントリー数を抑え、すでに進んでいる選考の面接日程を調整する程度に留めましょう。
たとえば、面接は週に1回程度に限定する、あるいは企業側に事情を話して選考時期を待ってもらうなどの交渉も一つの手です。
ここで無理に民間就活を詰め込むと、本命の試験に悪影響が出ます。
「今は試験に集中する期間」と割り切り、優先順位を明確に守ることが、結果として両方の成果につながります。
時間がない公務員志望者へ!試験と親和性が高く「併願しやすい」業界・企業
勉強時間を一分一秒でも惜しみたい公務員志望者にとって、やみくもに企業を探すのは非効率です。
狙うべきは、公務員試験の勉強で培った知識や適性が活かせる業界、あるいは公務員と似たような働き方・やりがいが得られる企業です。
ここでは、公務員志望者が興味を持ちやすく、また企業側も公務員志望者の真面目さや基礎能力を高く評価してくれる「親和性の高い」業界を紹介します。
企業選びの視点を少し変えるだけで、効率的に併願先を見つけることができます。
公務員試験と親和性の高い業界・企業を選ぶ
- IT業界
- 建設・インフラ業界
- BPO・アウトソーシング業界
- 信用金庫・信用組合
民間企業の中にも「公共性」や「安定性」を重視する業界は多数存在します。
例えば、社会インフラを支える企業や、地域社会に貢献する金融機関、公益性の高い事業を行う団体などです。
これらの業界は、皆さんが公務員を目指した理由である「社会の役に立ちたい」「安定した環境で働きたい」という志望動機とマッチしやすいため、ESや面接での志望理由が作りやすいというメリットがあります。
ゼロから業界研究をする手間が省け、自然体で熱意を伝えられる相性の良い併願先と言えるでしょう。
IT業界
IT業界の中でも、官公庁や自治体のシステム開発を請け負うSIer(システムインテグレーター)は非常におすすめです。
行政の仕組みをシステム面から支える仕事であり、実質的には公務員と同じように社会基盤を支える役割を担います。
また、公務員試験の勉強で鍛えられた論理的思考力や事務処理能力は、エンジニアやSEとしての適性が高いと判断されやすく、選考で有利に働くことが多いのも特徴です。
建設・インフラ業界
道路、橋、ダム、鉄道、エネルギーなど、私たちの生活に不可欠なインフラを整備・維持する業界も親和性が高いです。
これらの事業は国や自治体の計画と密接に関わっており、スケールの大きな公共事業に携わることができます。
理系職種のイメージが強いかもしれませんが、事務系総合職の募集も多く、計画の管理や近隣住民への説明など、調整能力が求められる点は公務員の実務と共通しています。
BPO・アウトソーシング業界
近年、自治体の窓口業務や事務処理を民間企業に外部委託するケースが増えています。
こうした業務を受託しているBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業に入社すれば、身分は民間社員でありながら、実際に働く場所は市役所や区役所で、仕事内容も行政サービスそのものという働き方が可能です。
「どうしても行政の現場で働きたい」という想いを、最も直接的な形で叶えられる民間企業と言えます。
信用金庫・信用組合
メガバンクなどの営利を第一とする銀行とは異なり、信用金庫や信用組合は「地域社会への貢献」を理念に掲げる協同組織です。
利益よりも地域の発展や中小企業の支援を優先する姿勢は、地方公務員を志望する皆さんのマインドと非常に近しいものがあります。
転勤も限定的であることが多く、地元に根付いて長く安定して働きたいと考える人にとって、理想的な職場環境が見つかりやすいでしょう。
就活エージェントや逆求人サイトを活用する
限られた時間の中で効率的に民間就活を進めるための最強の武器が、就活エージェントやスカウト型(逆求人)サイトの活用です。
自分で企業を一から探してエントリーする手間を省き、プロフィールを登録しておくだけで、あなたに興味を持った企業からオファーが届きます。
また、エージェントを利用すれば、公務員併願に理解のある企業を紹介してくれたり、面接日程の調整を代行してくれたりと、就活の面倒な部分をサポートしてくれます。
勉強時間を確保するための「時短ツール」として積極的に使い倒しましょう。
「公務員試験に落ちてから」就活を始めることになったら【夏・秋採用】
万が一、試験に合格できなかったとしても、人生が終わるわけではありません。
4年の夏や秋から就活をスタートしても、内定を獲得するチャンスは十分に残されています。
大切なのは、落ち込む時間を最小限にし、すぐに気持ちを切り替えて行動することです。
このセクションでは、夏以降の採用市場で戦うためのリカバリー策を解説します。
まだ採用を継続している優良企業を見つけ出し、卒業までに納得のいく進路を確保するための具体的な方法を見ていきましょう。
秋採用・通年採用を行っている優良企業を探す
大手企業の採用が終わっていても、世の中には秋以降採用を行う優良企業がたくさんあります。
狙い目は、知名度は低くても業界シェアが高いBtoB企業や、大手企業のグループ会社です。
これらの企業は安定した経営基盤を持ちながらも、学生への知名度不足から採用予定人数を埋めきれていないケースが多々あります。
また、通年採用を導入している外資系企業やベンチャー企業も候補に入ります。
就活サイトの検索条件を工夫したり、大学のキャリアセンターに届いている求人票を確認したりして、隠れた優良求人を発掘しましょう。
「既卒」ではなく「新卒」枠で粘る重要性
公務員浪人をして来年再チャレンジするか、民間に就職するか迷うこともあるでしょう。
しかし、ここで強調したいのは「新卒カード」の強さです。
日本の就活市場において、新卒枠での就職のしやすさは圧倒的です。
一度卒業して「既卒」となると、選考のハードルは一気に上がります。
もし公務員を諦めきれないとしても、まずは民間企業に就職して社会人経験を積みながら再受験する、あるいは民間企業の内定を持った状態で卒業を延期するなど、安易に「無職の既卒」にならないための選択肢を慎重に検討してください。
公務員試験に落ちてから就活へ切り替えるマインドセットと志望動機
公務員試験の結果が振るわず、民間へ進路変更することは、決して「負け」や「妥協」ではありません。
むしろ、広い世界を知るための新しいスタート地点に立ったと捉えましょう。
面接で「公務員に落ちたから御社に来ました」というネガティブなニュアンスを出さないためにも、マインドセットの転換が必要です。
公務員を目指した当初の熱意を、どのように民間企業の志望動機へと昇華させるか、その考え方のヒントをお伝えします。
公務員だけが「公益への貢献」ではない
「社会貢献=公務員」という固定観念を一度外してみましょう。
民間企業であっても、質の高い製品やサービスを提供することで人々の生活を豊かにし、納税を通じて社会基盤を支えています。
むしろ、スピード感を持って社会課題を解決したり、革新的な技術で世の中を変えたりするのは、民間企業だからこそできる貢献の形です。
「人々の生活を支えたい」というあなたの軸は、公務員という手段でなくても実現可能です。
視野を広く持ち、その企業が社会にどう役立っているかを見つめれば、自然と熱意ある志望動機が生まれてくるはずです。
公務員試験に落ちてから後悔しないために「就活」の保険を
厳しい現実もお伝えしましたが、これらはすべて、あなたが将来「あの時こうしておけば」と後悔しないためのアドバイスです。
公務員試験に落ちてから慌てて動き出すのではなく、今この瞬間から「就活」という保険をかけておくことで、どんな結果になっても前を向いて歩き出せるようになります。
まずは1日だけで構いません。
勉強の息抜きを兼ねて、興味のある民間企業のサイトを覗いたり、就活サイトに登録したりすることから始めてみませんか?その小さな一歩が、数ヶ月後のあなたを助ける大きな武器になるはずです。
あなたの挑戦を、心から応援しています。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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