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【内定の複数承諾】内定の複数承諾は法的に「問題なし」だが推奨はされない!
結論からお伝えすると、内定の複数承諾に法的な違法性は一切ありません。
日本国憲法には「職業選択の自由」が定められており、入社直前であっても労働者側(就活生)からの契約解除は認められています。
そのため、法律を理由に過度に怯える必要はありません。
しかし、世間や企業がこれを推奨しないのには理由があります。
それは、企業の採用計画に狂いが生じ、多大な迷惑がかかるからです。
また、直前の辞退が続くと、大学のキャリアセンターと企業との信頼関係が崩れ、翌年以降の後輩の採用枠に悪影響が出る可能性もあります。
法的には白でも、モラルやマナーの観点から慎重になるべき問題なのです。
「内定承諾書」に法的拘束力はない
多くの就活生が最も恐れるのが、内定式の前後に提出を求められる「内定承諾書」へのサインではないでしょうか。
「これを提出したら、絶対に辞退できないのでは」と不安になるものですが、実はこの書類に法的な拘束力はありません。
内定承諾書の提出は、あくまで入社の意思確認を行うための手続きであり、これを破ったからといって損害賠償を請求されるようなケースは、極めて稀です。
もちろん、企業側は研修の準備などにコストをかけていますが、学生一人に訴訟を起こすことは企業イメージの毀損に繋がるため、現実的ではありません。
署名は「入社の約束」ではありますが、「法的な足枷」ではないと理解して、まずは落ち着いてください。
それでも「複数承諾」が悩みになる背景
法的に問題がないと分かっていても、なぜこれほど悩みは尽きないのでしょうか。
それは、ネット上で「とりあえずキープは常識」という意見と「複数承諾は非常識だ」という意見が真っ向から対立しているからです。
学生側からすれば、人生を左右するファーストキャリアの選択において、保険をかけずに一社に絞るのは大きなリスクです。
一方で企業側からすれば、辞退を見越して多めに内定を出すものの、予測を超えた辞退は採用担当者の評価に関わります。
この「安心したい学生」と「確保したい企業」の構造的な利害のズレこそが、皆さんが罪悪感や葛藤を抱えてしまう根本的な原因なのです。
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【内定の複数承諾】なぜ複数承諾をする学生が増えているのか
近年、複数承諾を行う学生が増えている背景には、就活スケジュールの早期化と長期化という構造的な要因があります。
大学3年生の夏や秋のインターンシップ経由で早々に内定が出る一方で、本命となる大手企業の選考は大学4年生の春以降に本格化することが多いのが現状です。
このタイムラグにより、早期に獲得した内定を「保険」として保持したまま、本命企業の選考結果を待つという状況が必然的に生まれてしまいます。
数ヶ月にわたって内定をキープせざるを得ないのは、皆さんのわがままではなく、現在の就活システムが生み出したやむを得ない現象とも言えるでしょう。
「オワハラ」への防衛策としての側面
もう一つの大きな要因として、「オワハラ(就活終われハラスメント)」の存在が挙げられます。
「今すぐこの場で承諾書を書かないと内定を取り消す」「他社の選考をすべて辞退しろ」と迫られた経験がある方もいるかもしれません。
こうした強い圧力から自分の身を守るために、本意ではなくとも「承諾します」と言わざるを得ないケースがあります。
これは、自分の将来の可能性を閉ざさないための正当な防衛策です。
高圧的な態度で選択を迫られた場合、まずはその場を収めるために承諾し、後から冷静に判断を下すという行動は、自分の身を守るために決して間違ったことではありません。
【内定の複数承諾】内定を複数承諾したまま放置する「3つのリスク」
複数承諾自体を一概に否定はしませんが、最も避けるべきなのは「承諾したまま放置し、ギリギリまで何もしないこと」です。
多くの学生が「バレなければ大丈夫」「あとで考えればいい」と甘く見がちですが、そこには明確なリスクが潜んでいます。
ここでは、複数承諾を続けることで生じる具体的なリスクを3つ紹介します。
これらを理解した上で、あくまで一時的な措置として慎重に行動することが求められます。
安易な放置は、結果として自分自身を追い詰めることになりかねません。
- 1. スケジュール管理の破綻と精神的負担
- 2. 内定先企業にバレる可能性はゼロではない
- 3. 決断を先延ばしにしても「正解」は出ない
1. スケジュール管理の破綻と精神的負担
複数の企業から内定を得ていると、内定者懇親会、研修、面談などのイベントが重なることが増えてきます。
それぞれの企業に対して、嘘の理由をつけて欠席したり、日程調整を行ったりするのは想像以上に骨が折れる作業です。
また、「嘘をつき続けている」という事実は、真面目な学生ほど大きな精神的ストレスになります。
採用担当者が親切であればあるほど、裏切っているような罪悪感に苛まれ、就活そのものが辛くなってしまうこともあります。
スケジュール帳が埋まる物理的な負担だけでなく、メンタル面での消耗も決して無視できない大きなリスクだと言えるでしょう。
2. 内定先企業にバレる可能性はゼロではない
「黙っていれば絶対にバレない」と思っているなら要注意です。
基本的には他社の承諾状況が共有されることはありませんが、業界が狭い場合、人事担当者同士に横の繋がりがあり、情報交換の場で噂になることは十分にあり得ます。
また、意外と多いのがSNSからの発覚です。
「A社とB社で迷う」といった書き込みや、裏垢での不用意な発言が特定されるケースや、大学構内やカフェで友人と話している内容を関係者に聞かれてしまうこともあります。
リスクは低いとはいえゼロではありません。
「誰かが見ているかもしれない」という意識を常に持っておく必要があります。
3. 決断を先延ばしにしても「正解」は出ない
「とりあえずキープしておけば安心」と考えがちですが、ただ時間を稼ぐだけでは、納得のいく決断には至りません。
多くの学生が陥るのが、判断基準を持たないまま期限ギリギリまで悩み、結局追い詰められてしまう「先延ばしの罠」です。
時間をかけたからといって、どちらかの企業が劇的に良くなるわけではありません。
比較するための軸を持たずに放置すると、最終的には「断りやすい方を断る」という消極的な理由で入社先を決めることになりかねません。
キープ期間はあくまで「判断材料を集めるための時間」であり、ただ迷っているだけの時間は何の意味も成さないことを肝に銘じておきましょう。
【内定の複数承諾】複数承諾をする前にやるべき「保留」の交渉術
もし、まだ内定承諾書にサインをする前であれば、安易に複数承諾をするよりも「回答期限の延長」を交渉することをお勧めします。
これが最も誠実で、かつトラブルが少ない方法だからです。
企業側も、内定辞退されるよりは、納得して入社してもらった方が良いと考えています。
「他社の選考結果が出揃ってから判断したい」という姿勢は、決して失礼なことではありません。
嘘をついて承諾し、後から辞退するよりも、まずは正直に現状を伝え、待ってもらえるかどうかを確認するのが筋です。
交渉次第で、心苦しい複数承諾を避けられる可能性があります。

複数承諾は自分を守るための戦略として肯定的に捉えて構いません。過度な罪悪感を持つ必要はありませんが、最終的な決断は慎重に行いましょう。重要なのは、複数の選択肢の中から「なぜその企業なのか」を言語化できることです。オワハラに動じず、自分が心から納得できる一社に出会うまで、粘り強く活動を続けてください。
待ってもらえる期間の目安と交渉フレーズ
一般的に、回答期限を待ってもらえる目安は「1週間から1ヶ月程度」です。
交渉の際は、ただ「待ってください」と言うのではなく、いつまでに回答できるかを明確に伝えましょう。
例えば電話やメールで、「大変魅力的に感じておりますが、現在選考中の〇〇社の結果も踏まえ、悔いのない決断をしたいため、〇月〇日まで回答をお待ちいただけないでしょうか」と伝えてみてください。
他社への志望度が高いとは言わず、「就活を納得して終えるために全ての結果を見たい」というスタンスで話すのが、角を立てずに交渉を成功させるコツです。
【内定の複数承諾】最終的に1社に絞るための「決断の軸」の作り方
複数承諾をしているということは、あなたは複数の企業から「欲しい」と思われている優秀な人材です。
しかし、最後には必ず1社を選ばなければなりません。
その際、単なる条件面の比較だけで決めてしまうと、入社後のミスマッチにつながる可能性があります。
大切なのは、「どの会社が得か」ではなく「自分がどう働きたいか」という原点に立ち返ることです。
ここでは、迷宮入りしてしまった思考を整理し、納得感のある最後の決断を下すための具体的な考え方を紹介します。
「承諾」か「辞退」か迷った時のチェックリスト
迷った時は、頭の中だけで考えずに書き出してみましょう。
「人・社風」「待遇・福利厚生」「事業内容・将来性」の3つの軸で比較表を作成することをおすすめします。
しかし、ネット上の情報や人事の説明だけでは不十分です。
解像度を高めるために、実際に働いている若手社員へのOB・OG訪問を依頼してみてください。
現場のリアルな声や空気感に触れることで、「この人たちと毎日顔を合わせたいか」「この環境で成長できるか」といった具体的なイメージが湧き、比較表の点数だけでは見えない決定的な違いが見えてくるはずです。
直感や「ワクワク感」も重要な指標
論理的に比較しても甲乙つけがたい場合、最後は「直感」を信じてみるのも一つの手です。
これは決して適当な決め方ではありません。
直感は、あなたがこれまで積み上げてきた経験や価値観が統合された、無意識の判断だからです。
オフィスの雰囲気を思い出したとき、社員の顔を思い浮かべたとき、どちらの会社にいる自分が「好き」になれそうですか?理屈抜きで「ワクワクする方」や「なんとなく居心地が良さそうな方」を選ぶことは、長く働き続ける上で非常に重要です。
条件面での数万円の差よりも、自分の心がポジティブに動くかどうかも、立派な判断基準になります。

最終的な決断の場として、社員だけでなく内定者懇親会で同期となる学生の雰囲気を確認することも有効です。価値観の合う同期が多い環境は、入社後の定着率を高めます。進捗が遅れていても焦る必要はありません。納得できる企業との出会いはタイミング次第ですので、自信を持って活動を継続してください。
【内定の複数承諾】トラブルを避ける「内定辞退」のマナーとタイミング
心を決めて1社に絞ったら、その他の企業には「内定辞退」の連絡を入れなければなりません。
複数承諾をしていた場合、ここが最も気が重い瞬間でしょう。
しかし、ここで逃げずに誠実に対応できるかどうかが、社会人としての第一歩です。
辞退において最も重要なのは、「決断したら1秒でも早く連絡すること」です。
連絡が遅れれば遅れるほど、企業側の受け入れ準備が進み、迷惑の度合いが大きくなります。
気まずいからといって先延ばしにせず、速やかに行動しましょう。
電話とメール、どちらで伝えるべき?
内定辞退の連絡は、誠意を伝えるために「電話」で行うのが基本のマナーです。
直接話をすることで、謝罪の気持ちが伝わりやすく、企業側も諦めがつきやすくなります。
しかし、担当者が不在で繋がらない場合や、どうしても精神的に辛くて電話ができない場合は、メールでの連絡でも構いません。
最悪なのは、連絡せずに放置する「サイレント辞退」です。
メールであっても「検討の結果、別の企業とのご縁を感じ辞退させていただきます」と明確に伝えれば、最低限の責任は果たせます。
まずは形に残る手段でも良いので、意思を伝えることを最優先してください。
呼び出しや引き止めにあった場合の対処法
辞退の連絡をした際、「一度会社に来て話そう」と言われることがありますが、基本的には行く必要はありません。
「意思は固まっており、お伺いしても気持ちは変わりませんので」と丁重にお断りしましょう。
それでも強い引き止めにあった場合は、「御社も魅力的ですが、自分のキャリアプランに最も合致する企業を選びました」と、他社への入社意志が揺るがないことを毅然とした態度で伝えてください。
曖昧な返事をすると相手に期待を持たせてしまい、話がこじれる原因になります。
「申し訳ありませんが、決めたことです」と一貫して伝えることが、お互いのためになります。

辞退は気まずいものですが、企業側も辞退者が出ることは織り込み済みです。誠意を持って早めに伝えることが、相手企業への一番の配慮になります。情に流されず、自分の将来のために下した決断を大切にしてください。この経験も社会人としてのコミュニケーション能力を高める糧となります。
【内定の複数承諾】もし全ての内定先に納得できていないなら
もし、手元に複数の内定があるにもかかわらず、「どちらに行くのも気が進まない」「正直、妥協して入社することになりそうだ」と感じているなら、一度立ち止まってみてください。
内定を持っていることは素晴らしい実績ですが、それに縛られて、納得できないまま入社を決める必要はありません。
入社してから後悔して早期退職するよりも、今、もう少しだけ踏ん張って納得できる場所を探す方が、長い目で見ればリスクは低いのです。
ここでは、内定を持った状態からの「攻めの選択」についてお話しします。
27卒ならまだ間に合う!納得いくまで続ける選択
もしあなたが27卒(またはそれ以降の世代)であれば、時期にもよりますが、まだ挽回のチャンスは十分にあります。
内定を「確保」できている今の状態は、精神的な余裕という大きな武器になります。
「もしダメでも行く場所はある」という安心感をバックに、これまで高望みだと思って諦めていた企業や、視野に入れていなかった別の業界へチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
この「納得いくまで続ける」というポジティブな就活延長は、決して逃げではありません。
妥協して決めるのではなく、自分が心から行きたいと思える場所を最後まで探し続ける姿勢は、あなたのキャリアをより強固なものにします。
優良企業と出会えるイベント・サービスを活用する
内定を持っている学生だからこそ参加できる、ハイレベルな選考会やスカウトサービスを活用するのも一つの手です。
世の中には、秋以降に採用活動を本格化させる優良企業や、内定辞退による欠員補充を行う大手企業が意外と多く存在します。
逆求人型のスカウトサイトや、就活エージェントに「内定はあるが、もっと納得できる企業を探している」と正直に相談してみてください。
あなたの実力を評価してくれる新たな企業と出会えるかもしれません。
現状に満足せず、より良い選択肢を探すための具体的なアクションを起こすことで、視界が一気に開けるはずです。

エージェントやスカウトは、知名度は低いが市場シェアの高いBtoB優良企業と出会うために非常に有効な手段です。これらは秋以降も採用を継続しているケースが多くあります。まだ内定がない方も、プロの視点を借りることで効率的に隠れた優良企業を見つけられます。焦らず利用できる手段は全て使い、着実に内定を目指しましょう。
【内定の複数承諾】複数承諾は「悪」ではないが、最後は誠意ある対応を
内定の複数承諾について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今の就活システムにおいて、複数承諾は自分の将来を守るための防衛策であり、決して「悪」ではありません。
しかし、その裏には企業の採用担当者の期待や労力があることを忘れてはいけません。
大切なのは、迷っている期間は真剣に悩み抜き、決断をした後は、相手企業に対して速やかに、そして誠意を持って辞退の連絡を入れることです。
言いにくいことを先送りにせず、しっかりとけじめをつける経験は、社会人として活躍するための最初の一歩になります。
皆さんが納得のいく決断をし、晴れやかな気持ちで入社の日を迎えられることを応援しています。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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柴田貴司
(就活市場監修者/新卒リクルーティング本部幹部)
柴田貴司
(就活市場監修者)
複数承諾は自分を守るための戦略として肯定的に捉えて構いません。過度な罪悪感を持つ必要はありませんが、最終的な決断は慎重に行いましょう。重要なのは、複数の選択肢の中から「なぜその企業なのか」を言語化できることです。オワハラに動じず、自分が心から納得できる一社に出会うまで、粘り強く活動を続けてください。