はじめに
企業研究を進める中で、「京セラ」という名前は聞いたことがあるけれど、実際「なんの会社?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
スマートフォンや複合機で知っている人もいれば、電子部品のイメージが強い人もいるかもしれません。
この記事では、そんな京セラの多角的な事業内容から、仕事内容、競合他社との違い、そして選考対策まで、就活生の皆さんが知りたい情報を徹底的に解説していきます。
【京セラはなんの会社】京セラはどんな会社なのか
京セラは、1959年に京都でファインセラミックスの専門メーカーとして創業した、日本を代表する大手電子部品・電気機器メーカーです。
創業以来培ってきた独自のセラミック技術を核に、驚くほど多角的な事業展開を行っています。
皆さんの身近なところではスマートフォンや複合機(プリンター)がありますが、売上の多くはBtoB(企業向け)の事業が占めています。
具体的には、半導体製造装置に使われる精密なセラミック部品、自動車向けの電子部品、情報通信分野のデバイス、さらには太陽光発電システムや医療用の人工関節まで、非常に幅広い分野で「京セラにしかできない技術」を提供しています。
BtoCからBtoBまで、社会のあらゆる場面を支える多様な製品群を持つこと、それが京セラの大きな特徴です。
創業者の稲盛和夫氏が築いた「アメーバ経営」という独自の経営手法でも知られており、技術力と経営哲学の両輪で成長を続けるグローバル企業と言えるでしょう。
【京セラはなんの会社】京セラの仕事内容
京セラの事業は非常に多岐にわたるため、そこで働く社員の仕事内容も実に様々です。
大きく分けると、京セラの強みである「ものづくり」を支える「技術系職種」、その価値を世界中に届ける「営業系職種」、そして会社全体の経営を支える「経営管理系職種」の3つに分類できます。
さらに近年では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や新規事業の創出など、時代の変化に対応するための新しい専門職種も増えています。
京セラは「全従業員の物心両面の幸福を追求する」という経営理念を掲げており、多様な職種で働く一人ひとりが経営者意識を持って仕事に取り組むことが求められます。
ここでは、具体的にどのような職種があり、それぞれがどのような役割を担っているのか、代表的な仕事内容を見ていきましょう。
自分の専攻や興味がどの分野で活かせるか、イメージしながら読み進めてみてください。
多様な技術を支える「技術系職種」
京セラの根幹を支えるのが、高い技術力を持つ技術系職種です。
ファインセラミックスという特殊な素材を扱うため、材料そのものの研究開発から、それを応用した製品開発、さらには効率的に量産するための生産技術や設備開発まで、幅広い領域があります。
例えば、機械系の知識は製品の構造設計や生産設備の設計に、化学・材料系の知識は新しいセラミック材料の開発や製造プロセスの改善に、電気・電子系の知識は電子部品や半導体関連部品の回路設計に、情報系の知識は製品に組み込むソフトウェア開発やDX推進に活かされます。
技術系職種といっても、研究室にこもって開発するだけでなく、時には営業と同行して顧客の技術的な課題をヒアリングしたり、製造現場と一体となって品質改善に取り組んだりするなど、他部門との連携も非常に重要です。
自分の専門性を深めながら、社会を支える最先端のモノづくりに携わりたい人にとって、非常にやりがいのある仕事と言えるでしょう。
グローバルに価値を届ける「営業系職種」
京セラの製品は世界中で使われており、その多くはBtoB、つまり企業向けの製品です。
営業系職種の主な仕事は、国内外の法人顧客に対して、京セラの製品や技術を提案し、採用してもらうことです。
ただし、単にカタログを見せてモノを売る「ルート営業」とは異なります。
京セラが扱うのは、顧客の製品(例えば、自動車や半導体製造装置)の性能を左右する重要な部品やデバイスが多いため、顧客が抱える技術的な課題やニーズを深く理解する必要があります。
そのため、技術部門と緊密に連携し、時には顧客の要望に合わせてカスタマイズした製品を提案する「ソリューション営業」が中心となります。
高いコミュニケーション能力はもちろん、自社製品に関する深い知識や、顧客の業界動向を学ぶ意欲も求められます。
グローバルに活躍する機会も多く、世界を舞台に京セラの技術力を広めていきたいという意欲のある人に向いています。
独自の経営を実践する「経営管理系職種」
京セラを京セラたらしめている特徴の一つが、「アメーバ経営」という独自の経営手法です。
これは、組織を「アメーバ」と呼ばれる小集団に分け、各集団が独立採算で運営を行うものです。
経営管理系職種は、このアメーバ経営を支える重要な役割を担います。
例えば、経理財務部門は、全社的な財務戦略だけでなく、各アメーバの採算管理(売上最大、経費最小)をサポートし、経営者視点を持ったアドバイスを行います。
他にも、人事、総務、法務、経営企画、広報など、会社の基盤を支える様々な仕事があります。
京セラの経営管理系職種は、単なる事務作業やサポート業務にとどまりません。
経営理念である「京セラフィロソフィ」を深く理解し、それを全社に浸透させながら、アメーバ経営の実践を通じて会社全体の成長に貢献することが求められます。
若いうちから経営に近い視点を養いたい人にとって、非常に学びの多い環境です。
DXや新規事業を推進する「その他専門職種」
京セラは伝統あるメーカーですが、時代の変化に合わせて新しい分野にも積極的に挑戦しています。
その代表例が、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。
社内の業務プロセスをデジタル技術で効率化したり、製造現場(スマートファクトリー)のデータを活用して生産性を向上させたりするためのシステムエンジニアやデータサイエンティストの役割が重要になっています。
また、京セラの多角的な技術を組み合わせ、これまでにない新しい事業を生み出す新規事業開発部門も活発です。
例えば、通信技術とエネルギー技術を組み合わせた地域のインフラサービスや、医療分野での新しいデバイス開発など、既存の枠にとらわれない挑戦が行われています。
これらの職種は、変化の激しい現代社会において京セラが持続的に成長するために不可欠な存在です。
新しい価値を創造したいという強い意欲を持つ人にとって、魅力的なフィールドが広がっています。
【京セラはなんの会社】京セラが選ばれる理由と競合比較
多くの大手メーカーがひしめく中で、なぜ京セラは就活生や世界中の顧客から選ばれ続けているのでしょうか。
それは、京セラが持つ独自の強みと、他社にはない魅力があるからです。
京セラの強みは、単一の製品や技術力だけではありません。
創業以来培ってきたファインセラミックス技術を応用した「多角化経営」による安定性、そして「アメーバ経営」や「京セラフィロソフィ」といった独自の経営哲学が組織の隅々にまで浸透していることが、他社との大きな違いを生み出しています。
ここでは、京セラの核心的な強みを解説するとともに、就活生がよく比較対象とする「村田製作所」や「TDK」といった競合他社との違いを明確にしていきます。
自分が企業に何を求めるのかを考えながら、京セラならではの特徴を掴んでください。
強み①:ファインセラミックス技術と多角化経営
京セラの最大の強みは、創業の原点であるファインセラミックスに関する圧倒的な技術力と、それを基盤とした多角化経営にあります。
ファインセラミックスは、軽さ、硬さ、耐熱性、電気絶縁性など、金属やプラスチックにはない優れた特性を持つ素材です。
京セラは、この素材を半導体製造装置の部品、自動車のセンサー部品、スマートフォンの電子部品、さらには包丁や人工関節といった日用品や医療分野に至るまで、信じられないほど広い領域に応用展開しています。
これにより、特定の業界の景気変動に左右されにくい、非常に安定した事業ポートフォリオを築いています。
例えば、ある事業が不調でも、他の事業が好調であれば会社全体としてカバーできるのです。
この経営の安定性は、社員が安心して長く働き、じっくりと研究開発や新しい挑戦に取り組める環境の基盤となっており、就活生にとっても大きな魅力となっています。
強み②:独自の経営哲学「アメーバ経営」
京セラのもう一つの大きな強みであり、他社との決定的な違いが「アメーバ経営」と、その根底にある「京セラフィロソフィ」という独自の経営哲学です。
アメーバ経営とは、組織を小さな集団(アメーバ)に分け、それぞれが独立採算で運営を行う手法です。
これにより、社員一人ひとりが「自分たちの力で利益を生み出す」という経営者意識を持つことを促します。
そして、その判断基準となるのが、「人間として何が正しいか」を問い続ける京セラフィロソフィです。
この哲学が全社員に共有されていることで、単なる利益追求ではなく、公正で誠実な企業活動が組織全体に根付いています。
この独自の文化は、社員の成長を促し、組織としての一体感を醸成する源泉となっています。
技術力だけでなく、こうした「人」や「考え方」を大切にする社風に惹かれて入社を決める人も少なくありません。
競合他社「村田製作所」との比較
京セラと同じく京都に本社を置き、電子部品メーカーとして世界的なシェアを持つ「村田製作所」は、最もよく比較される競合他社です。
両社の大きな違いは、その事業の「幅」にあります。
村田製作所は、スマートフォンなどに使われる「積層セラミックコンデンサ(MLCC)」という特定の電子部品分野で世界トップシェアを誇り、特定の分野を深く掘り下げることで高い収益性を実現しています。
一方、京セラも電子部品を手がけますが、先述の通り、半導体部品、複合機、太陽光パネル、医療材料など、非常に広範な事業領域を持っています。
「選択と集中」で特定分野のスペシャリストを目指す村田製作所と、「多角化」で総合力を高め、景気の波に左右されない安定性を目指す京セラ、というビジネスモデルの違いが最も大きな特徴と言えるでしょう。
どちらが良い悪いではなく、自分の志向性がどちらに合っているかを見極めることが重要です。
競合他社「TDK」との比較
TDKもまた、電子部品やバッテリー分野で京セラの競合となる企業です。
TDKは、世界で初めて「フェライト」という磁性材料を事業化した技術(マテリアル)起点であり、その技術を応用してHDD用磁気ヘッドや各種センサー、リチウムイオン電池などで高いシェアを持っています。
特にバッテリー技術は、スマートフォンやEV(電気自動車)の普及に伴い、非常に重要な分野となっています。
京セラとの比較では、TDKも多角化を進めていますが、京セラはファインセラミックスを軸に、さらに広い分野、例えばドキュメントソリューション(複合機)や医療材料、宝飾品(クレサンベール)といった、TDKが手がけていないユニークな分野にも進出している点が異なります。
TDKがエレクトロニクスとエネルギー分野での技術深掘りを進めているのに対し、京セラはセラミック技術の応用先を常に模索し続ける、全方位的な多角化戦略をとっていると言えます。
【京セラはなんの会社】京セラの求める人物像
京セラがどのような人材を求めているのかを知ることは、選考を突破する上で非常に重要です。
京セラには、創業者の稲盛和夫氏が定めた社是「敬天愛人(けいてんあいじん)」と、経営理念「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。
」が深く根付いています。
これらの理念を実現するために、京セラは特定のスキルや経験以上に、仕事に対する「考え方」や「マインド」を重視しています。
京セラの採用ページなどでは、求める人物像としていくつかのキーワードが挙げられていますが、それらはすべて、この経営理念に基づいています。
ここでは、京セラが特に重視している3つの要素と、少しユニークな採用コースについて解説します。
自分の経験を振り返り、これらの要素と共通する部分がないか探してみてください。
① 夢に向かい果敢に「チャレンジ」できる人
京セラは、現状維持に満足せず、常に高い目標や夢を持って果敢に挑戦し続けられる人材を求めています。
京セラの歴史は、ファインセラミックスという未知の素材の可能性を信じ、数々の困難を乗り越えて新しい製品や事業を生み出してきた「チャレンジの歴史」そのものです。
そのため、前例がないことや困難な課題に対しても、失敗を恐れずに「どうすればできるか」を考え、情熱を持って最後までやり抜く姿勢が強く求められます。
学生時代の経験で言えば、部活動や研究、アルバートなどで、高い目標を掲げて粘り強く努力し、困難を乗り越えた経験などが、この「チャレンジ精神」をアピールする材料になるでしょう。
「誰にも負けない努力」をした経験がある人は、そのプロセスを具体的に語れるように準備しておくと良いでしょう。
② 「素直な心」を持ち、ひたむきに努力できる人
京セラが非常に大切にしている価値観の一つに「素直な心」があります。
これは、自分のいたらなさや非を認め、他人の意見やアドバイスを謙虚に受け入れられる姿勢のことです。
また、目標達成のために、派手なことだけでなく地道な努力をコツコツと続けられる「ひたむきさ」も同様に重視されます。
京セラの仕事は、多くの人と協力しながら進めるものがほとんどです。
その中で成長していくためには、周囲からのフィードバックを素直に受け止め、自らを改善していく姿勢が不可欠です。
面接などでは、成功体験だけでなく、失敗から何を学び、どう改善したかといったエピソードを語ることで、あなたの「素直さ」や成長意欲を伝えることができるでしょう。
自分を良く見せようと取り繕うのではなく、等身大の自分を誠実に伝えることが評価につながります。
③ 「グローバルな視点」を持ち、多様性を受け入れられる人
京セラは世界30カ国以上に拠点を持ち、売上の多くを海外で上げているグローバル企業です。
そのため、国籍、文化、価値観の違いを理解し、多様なバックグラウンドを持つ人々と協働できる「グローバルな視点」が求められます。
これは、単に語学力が高いということだけを意味しません。
もちろん語学力も武器にはなりますが、それ以上に、未知の環境や文化に対してオープンマインドで接し、積極的にコミュニケーションをとろうとする姿勢が重要です。
留学経験や海外でのボランティア経験などは直接的なアピールになりますが、そうでなくても、国内で多様な価値観を持つ人々と議論を交わした経験や、新しい環境に飛び込んだ経験なども、あなたのグローバルな素養を示すものになります。
世界を舞台に活躍したいという意欲をぜひアピールしてください。
④ 誰にも負けない「得意分野」を持つ人(オンリーワンコース)
京セラには、一般的な選考コースとは別に「オンリーワンコース」というユニークな採用枠があります。
これは、学業や専攻分野に限らず、「この分野なら誰にも負けない」という得意分野に没頭し、卓越した努力や実績を積んできた人を評価するものです。
例えば、スポーツで全国レベルの実績がある、学術研究で高い評価を得た、ビジネスコンテストで優勝した、芸術分野で入賞した、など、分野は問いません。
京セラは、何かに徹底的に打ち込んだ経験を持つ人は、仕事においてもその集中力や探究心、粘り強さを発揮できると考えています。
もしあなたが、「これだけは人に負けない」と胸を張って言える何かを持っているなら、このコースでの応募を検討してみるのも良いでしょう。
京セラの多様性を重視する姿勢が表れた採用方法と言えます。
【京セラはなんの会社】京セラに向いてる・向いていない人
ここまで京セラの事業内容や求める人物像を見てきましたが、これらを踏まえて、どのような人が京セラという会社に「向いている」のか、逆にどのような人が「向いていない」可能性が高いのかを整理してみましょう。
企業との相性(マッチング)は、就職活動において非常に重要です。
どれだけ優秀な人でも、会社の文化や価値観と合わなければ、入社後に苦労することになりかねません。
京セラは、独自の経営哲学が強く根付いている会社だからこそ、この「合う・合わない」が比較的はっきり出やすい傾向にあります。
自分の価値観やキャリアプランと照らし合わせながら、客観的に自分自身がどちらのタイプに近いか考えてみてください。
向いている人①:安定した環境で長く働きたい人
京セラは、ファインセラミックスを軸にした多角化経営により、特定の業界の景気に左右されにくい非常に安定した経営基盤を持っています。
また、経営理念として「全従業員の物心両面の幸福」を掲げ、リストラをしない(終身雇用に近い)企業文化が根付いています。
そのため、「一つの会社で腰を据えて長く働きたい」、「安定した環境でじっくりと専門性を高めたい」と考えている人には、非常に向いている会社です。
福利厚生も手厚く、ワークライフバランスも取りやすいという声が多いため、長期的なキャリアと生活の安定を両立させたい人にとっては、これ以上ない環境と言えるかもしれません。
目先の急成長や高額なインセンティブよりも、着実な安定を重視する人におすすめです。
向いている人②:経営や哲学に興味がある人
京セラは「アメーバ経営」や「京セラフィロソフィ」という、創業者・稲盛和夫氏の経営哲学が全社に浸透しています。
日々の業務においても、判断の拠り所としてこのフィロソフィが参照される場面が多々あります。
こうした独自の企業文化や価値観に強く共感し、「技術やスキルだけでなく、人としての考え方や生き方を学びたい」「経営者視点を若いうちから養いたい」と考える人にとって、京セラは非常に魅力的な職場です。
逆に言えば、こうした哲学や理念に興味が持てない、あるいは少し堅苦しいと感じる人にとっては、窮屈に感じてしまう可能性もあります。
会社の考え方に共感し、それを自ら実践していきたいという人こそ、京セラで活躍できる人材です。
向いていない人①:若いうちから急成長し、裁量を持ちたい人
京セラは、安定性が高い反面、伝統的な日本企業としての側面も持っており、年功序列の風土が比較的残っていると言われています。
もちろん部署や職種にもよりますが、入社後すぐに大きな裁量権を持ってバリバリと仕事をしたい、あるいは実力主義の環境で短期間で急成長したいと考える人にとっては、少し物足りなさを感じるかもしれません。
競合の村田製作所などと比較しても、20代の成長環境という点では、ややゆっくりとしたペースであるという口コミも見られます。
着実なステップアップを好む人には合っていますが、外資系企業やベンチャー企業のようなスピード感や、若手への大幅な権限移譲を期待する人には、ミスマッチが起こる可能性があります。
向いていない人②:個人の成果主義を重視する人
京セラは「アメーバ経営」を実践していますが、これは個人の成果(インセンティブ)を最大化する欧米型の成果主義とは異なります。
アメーバという「小集団」での採算を重視し、組織全体の調和やプロセスも大切にする文化です。
そのため、「自分の成果が正当に評価され、給与に即時反映されてほしい」「チームワークよりも個人のパフォーマンスで勝負したい」という志向性が強い人には、京セラの評価制度や風土は合わない可能性があります。
もちろん、個人の頑張りや成果が評価されないわけではありませんが、組織全体としての目標達成や、フィロソフィの実践度合いといった側面も重視されるため、純粋な個人成果主義を求める人には向いていないと言えるでしょう。
【京セラはなんの会社】京セラに受かるために必要な準備
京セラは、その安定性や技術力、独自の企業文化から、理系・文系問わず多くの就活生から人気を集める企業です。
内定を勝ち取るためには、付け焼き刃の対策ではなく、しっかりとした準備が不可欠です。
特に京セラは、自社の経営理念である「京セラフィロソフィ」や「アメーバ経営」への理解度と共感を非常に重視します。
「なぜ他のメーカーではなく、京セラなのか」を明確に答えられることが、選考突破の最大のカギとなります。
ここでは、京セラに受かるために、就活生の皆さんが今すぐ取り組むべき4つの重要な準備について解説します。
これらの準備を徹底することで、他の就活生と大きな差をつけることができるはずです。
① 「京セラフィロソフィ」と「アメーバ経営」の深い理解
京セラの選考を受ける上で、絶対に避けて通れないのが「京セラフィロソフィ」と「アメーバ経営」への理解です。
これらは京セラの経営の根幹であり、面接でも必ずと言っていいほど関連する質問がされます。
単に言葉を覚えるだけでは不十分です。
「なぜ稲盛和夫氏がこの哲学を生み出したのか」「アメーバ経営が具体的にどのように運用され、会社の強さにどう繋がっているのか」を、自分なりに解釈し、説明できるレベルまで深めてください。
関連書籍(稲盛和夫氏の著書など)を1冊でも読んでおくと、理解度が格段に上がり、面接での受け答えにも深みが出ます。
企業研究の核として、最も時間を割くべきポイントです。
② なぜ「京セラ」なのかを明確にする
これは京セラに限ったことではありませんが、人気企業であるほど「なぜうちの会社なのか?」という問いは重要になります。
特に京セラは、村田製作所、TDK、日本特殊陶業など、類似した事業領域を持つ競合他社が多く存在します。
その中で、なぜ京セラを選ぶのかを論理的に説明できなければなりません。
例えば、「ファインセラミックスという基盤技術の応用先の広さに魅力を感じる(多角化)」「アメーバ経営を通じて若いうちから経営者視点を学びたい(企業文化)」「医療分野など、人の命に直結する事業にも挑戦している(社会貢献性)」など、自分自身の価値観や経験と結びつけて、京セラでなければならない理由を明確にしましょう。
③ 「チャレンジ精神」と「素直さ」を示すエピソードの準備
京セラが求める人物像として「チャレンジできる人」「素直な心を持つ人」を挙げました。
選考では、あなたがこれらの素養を持っていることを具体的なエピソードで証明する必要があります。
過去の経験を振り返り、「高い目標に挑戦し、困難を乗り越えた経験(チャレンジ精神)」や、「他人の意見を受け入れて行動を改善した経験(素直さ)」を整理しておきましょう。
その際、STARメソッド(Situation:状況、Task:課題、Action:行動、Result:結果)に沿って整理すると、面接官に伝わりやすくなります。
華々しい成果である必要はありません。
目標に対してどれだけひたむきに努力し、その経験から何を学んだかを自分の言葉で語ることが重要です。
④ SPI対策と面接練習
京セラの選考プロセスには、Webテスト(SPIである可能性が高い)やグループディスカッション、複数回の面接が含まれます。
どれだけ京セラへの熱意があっても、最初のWebテストで基準点に達しなければ、面接に進むことすらできません。
市販のSPI対策本を繰り返し解き、基礎学力をしっかりと固めておきましょう。
また、面接やグループディスカッションは、ぶっつけ本番ではうまくいきません。
大学のキャリアセンターや就活エージェントを活用し、模擬面接やディスカッションの練習を重ねてください。
特に京セラの面接では、論理的に話す能力と同時に、他者の意見を尊重する「素直さ」や「協調性」も見られています。
自信を持って、かつ謙虚な姿勢で臨む準備をしましょう。
【京セラはなんの会社】京セラの志望動機の書き方
選考において最も重要と言っても過言ではないのが「志望動機」です。
京セラのように、独自の経営哲学を強く持つ企業に対しては、ありきたりな志望動機ではまず響きません。
「御社の高い技術力に惹かれました」や「グローバルに活躍したいです」だけでは不十分です。
なぜなら、それは他のメーカーにも当てはまるからです。
京セラの志望動機で重要なのは、「京セラフィロソフィへの共感」と「京セラの事業・技術への具体的な興味」、そして「入社後にどう貢献したいか」という3つの要素を、あなた自身の経験や価値観と結びつけて論理的に構成することです。
ここでは、京セラの人事担当者に「この学生が欲しい」と思わせる志望動機の書き方を、3つのステップに分けて解説します。
ステップ①:企業理念(フィロソフィ)への共感を軸にする
京セラの志望動機の根幹に据えるべきは、企業理念、すなわち「京セラフィロソフィ」への共感です。
「全従業員の物心両面の幸福を追求する」「敬天愛人」といった考え方に、なぜ自分が共感するのかを具体的に説明します。
例えば、「部活動でチーム全体の成功を第一に考え、仲間のために努力した経験から、個人の成果だけでなく組織全体の幸福を追求する御社の理念に深く共感しました」といった形です。
抽象的な共感で終わらせず、必ず自分自身の原体験や価値観と結びつけることで、志望動機に説得力を持たせることができます。
この軸がしっかりしていると、他の就活生との明確な差別化につながります。
ステップ②:京セラの「事業・技術」への魅力を具体化する
フィロソフィへの共感という土台の上に、京セラの「何を」やりたいのかを明確にします。
京セラは事業が多岐にわたるため、「多角化経営に惹かれた」だけでは漠然としています。
数ある事業の中で、なぜその事業(例:半導体部品、医療機器、ドキュメントソリューションなど)に興味を持ったのか、その理由は何かを述べます。
理系学生であれば、「大学で学んだ無機材料化学の知識を活かし、御社のファインセラミック技術の可能性をさらに広げたい」など、自分の専攻や強みと結びつけると効果的です。
文系学生であれば、「アメーバ経営という独自の仕組みを支える経理財務のプロフェッショナルとして、企業の成長に貢献したい」など、職種への具体的な興味を示すと良いでしょう。
ステップ③:入社後にどう「チャレンジ」し、貢献したいかを述べる
最後に、入社後の未来志向のビジョンを示します。
京セラが求める人物像である「チャレンジ精神」を踏まえ、京セラというフィールドで自分がどのように活躍し、貢献できるかをアピールします。
「御社の〇〇という技術と、私の〇〇という強みを活かし、将来的には〇〇といった新しい分野にチャレンジすることで、人類社会の進歩発展という理念の実現に貢献したいです」といった具合です。
ここでも、単なる意気込みではなく、ステップ①(理念への共感)とステップ②(事業への興味)を踏まえた上で、一貫性のある貢献イメージを語ることが重要です。
自分が京セラで働く姿を具体的にイメージできていることを伝えましょう。
志望動機のNG例と改善ポイント
志望動機を作成する上で、避けるべきNGパターンも知っておきましょう。
最も多いNG例は、「理念に共感しました」とだけ書いてあり、「なぜ共感したのか」という自分自身の経験に基づいた理由が欠けているケースです。
これでは、誰でも言える薄っぺらい志望動機になってしまいます。
また、「安定しているから」「福利厚生が良いから」といった待遇面を前面に出すのも避けるべきです。
それらが魅力であることは事実ですが、志望動機の主軸にするべきではありません。
必ず、「自分が京セラに対して何を貢献できるか」という視点を持って作成してください。
もし抽象的な志望動機になってしまったら、「なぜそう思うのか?」と自分自身に5回問いかけてみる(なぜなぜ分析)と、具体的なエピソードや本質的な理由が見えてくるはずです。
【京セラはなんの会社】京セラについてよくある質問
企業研究を進めていくと、パンフレットや採用サイトだけでは分からない、「リアル」な情報が気になってきますよね。
特に年収や社風、働き方といった部分は、入社後のミスマッチを防ぐためにも非常に重要です。
ここでは、就活生の皆さんからよく寄せられる京セラに関する疑問について、就活アドバイザーの視点から、検索結果や口コミ情報などを踏まえてお答えしていきます。
ただし、これらはあくまでも傾向であり、配属される部署や時期によっても異なる可能性がある点は理解しておいてください。
Q1:年収は競合と比べて低い?
「京セラは年収が低い」という噂を聞くことがあるかもしれませんが、一概には言えません。
日本の製造業全体の平均年収(約720万円前後というデータもあり)と比較すると、平均的な水準か、むしろ高い部類に入ります。
ただし、競合の村田製作所などと比較した場合、特定の年代や役職ではやや低いケースもあるようです。
京セラの給与体系は、年功序列の傾向が比較的強く、若いうちは大きな差がつきにくいですが、安定的に昇給していきます。
7年目あたりで「主事補」に昇格する試験があり、ここで給与が一段階上がると言われています。
課長クラスになれば年収1,000万円を目指すことも可能です。
業績が悪くてもボーナスが安定して支給される点も魅力で、生涯賃金や安定性を重視する人にとっては満足度の高い水準と言えるでしょう。
Q2:社風は「やばい」? 体育会系?
「京セラ やばい」と検索すると不安になるかもしれませんが、これは多くの場合、独自の企業文化(フィロソフィやアメーバ経営)を理解していない人の誤解や、過去の一部の情報が誇張されたものである可能性が高いです。
実際には、「リストラをしない」「離職率が低い」といったデータもあり、社員を大切にするホワイト企業であるという声も多いです。
社風としては、真面目で堅実、技術を重んじる風土があります。
フィロソフィの唱和や勉強会など、独自の文化があるため、それを「体育会系」や「堅苦しい」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、それは理不尽な上下関係や精神論とは異なり、全社で価値観を共有するための仕組みです。
こうした文化に共感できるかどうかが、マッチングの鍵となります。
Q3:残業やワークライフバランスは?
ワークライフバランス(WLB)については、比較的取りやすい環境であると言えます。
大手メーカーとしてコンプライアンス意識が高く、残業時間の管理はしっかりとなされています。
口コミなどを見ても、競合他社と比較して残業時間は少ない傾向にあるようです。
もちろん、繁忙期やプロジェクトの納期前、あるいは部署によっては残業が多くなる時期もありますが、サービス残業が常態化しているといったことは考えにくいでしょう。
有給休暇の取得も推奨されており、安定した経営基盤のもとで、プライベートの時間も確保しやすい環境だと言えます。
ただし、これも部署や上司の考え方によって差が出る可能性はあります。
Q4:配属先や転勤は?
京セラは多角化経営を行っており、国内(京都、滋賀、鹿児島、長野など)はもちろん、世界中に製造・販売拠点を持っています。
そのため、転勤の可能性は常にあると考えるべきです。
特に総合職(技術系・営業系・管理系)で採用された場合は、様々な経験を積むためのジョブローテーションの一環として、国内外への転勤が命じられることがあります。
配属先については、本人の希望や適性、専攻分野、そして各事業部門のニーズを総合的に勘案して決定されます。
面接の段階で、どの事業分野に興味があり、将来的にどのようなキャリアを歩みたいかを具体的に伝えておくことが、希望の配属に近づくための一歩となるでしょう。
まとめ
今回は、「京セラはなんの会社?」という疑問にお答えするため、京セラの多角的な事業内容から、仕事内容、強み、求める人物像、そして選考対策までを詳しく解説してきました。
京セラは、ファインセラミックスという核技術を基盤に、電子部品から社会インフラ、医療まで手掛ける「安定性の高い多角化企業」であること、そして「京セラフィロソフィ」や「アメーバ経営」という「独自の経営哲学が深く根付いた企業」であることがお分かりいただけたかと思います。
こうした特徴は、安定した環境で長く働きたい人や、経営理念に深く共感できる人にとっては最高の環境ですが、一方で、個人の成果主義や急成長を望む人にはミスマッチとなる可能性も秘めています。
大切なのは、これらの情報を踏まえた上で、あなた自身の価値観やキャリアプランと京セラが本当にマッチしているかを見極めることです。
この記事を参考に、さらに企業研究を深め、自信を持って選考に臨んでください。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート











