エントリーシート(ES)で「自由に表現してください」という設問に出会い、何を書けば良いか分からず固まってしまう就活生は少なくありません。
指定がない分、個性が試されるようで不安になりますよね。
しかし、この設問は企業があなたの個性や熱意を知るために設けた絶好のアピールチャンスです。
この記事では、ESの自由表現欄で評価されるための企業の意図、具体的な表現テクニック、高評価につながるテーマ例まで、網羅的に解説します。
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【ES自由表現の攻略】企業が問う基本的な意図
ESの自由表現欄は、他の設問とは異なり、形式や内容に縛りがないことが最大の特徴です。
なぜ企業はあえてこのような手間のかかる設問を設けるのでしょうか。
それは、決められた枠の中では見えてこない、応募者の本質的な部分を知りたいという強い意図があるからです。
この設問の背景にある企業側の狙いを理解することで、的外れなアピールを避け、採用担当者の心に響く内容を作成することができます。
ここでは、企業が自由表現欄を通じて見極めようとしている3つの主要なポイントを解説します。
応募者の個性や価値観を知るため
企業が最も知りたいことの一つが、応募者の個性や人柄、そして大切にしている価値観です。
ガクチカや自己PRといった通常の設問では、どうしても論理構成や成果が重視されがちで、その人本来のユニークさや人間味は伝わりにくい側面があります。
そこで自由表現欄を設け、何をテーマに選び、どのような表現方法(文章、イラスト、写真など)を使うのかを見ることで、その人の内面を探ろうとしています。
例えば、チームスポーツの写真を大きく使う人からは協調性を、自作のプログラムのコードを載せる人からは論理的思考力や専門性へのこだわりを感じ取ることができます。
自分らしさが最も伝わる題材を選ぶことが、企業とのマッチ度を示す第一歩となるのです。
企業への熱意や志望度の高さを測るため
自由表現欄は、作成に非常に時間がかかる設問です。
白紙のスペースをどう埋めるか、テーマ設定から構成、デザインまで全て自分で考えなければなりません。
だからこそ、この欄の完成度や費やされた熱量から、応募者の企業に対する志望度の高さ、つまり熱意を測ることができます。
空欄で提出したり、明らかに手を抜いた内容だったりすれば、志望度が低いと判断されても仕方がありません。
逆に、企業研究をしっかり行い、その企業理念や事業内容に関連付けたオリジナルの表現ができていれば、入社意欲の強さを強力にアピールできます。
手間を惜しまず、自分なりの工夫を凝らして作成することが、熱意を示す何よりの証拠となります。
センスや表現力・企画構成力を確認するため
特に広告、マスコミ、メーカーの企画職など、クリエイティブな能力が求められる業界・職種では、この自由表現欄が応募者のセンスや表現力を試す場となっています。
与えられたスペースという制約の中で、伝えたいメッセージをいかに分かりやすく、かつ魅力的にデザイン・構成できるかという企画構成力が見られています。
たとえ絵心やデザインスキルに自信がなくても、心配する必要はありません。
重要なのは、伝えたいテーマが一貫しており、そのテーマを伝えるために最も効果的なレイアウト(見出し、本文、図解のバランスなど)が考えられているかどうかです。
情報を詰め込みすぎず、読みやすさを意識した構成を心掛けることが、論理的な思考力のアピールにもつながります。
【ES自由表現の攻略】就活生が陥る典型的な失敗
自由度が高いということは、同時に失敗するリスクも高いことを意味します。
せっかく時間をかけて作成しても、企業の意図とズレた内容になってしまっては元も子もありません。
多くの就活生が良かれと思ってやったことが、実は評価を下げてしまっているケースは少なくないのです。
ここでは、ESの自由表現欄で就活生が陥りがちな典型的な失敗例を3つ挙げ、なぜそれが問題なのかを解説します。
これらの失敗パターンを事前に把握し、同じ轍を踏まないように注意しましょう。
他の設問と内容が完全に重複するケース
最も多い失敗の一つが、ESの他の設問(自己PRやガクチカなど)で書いた内容と全く同じエピソードを、レイアウトを変えただけで掲載してしまうケースです。
企業側は、自由表現欄であなたの別の側面や、他の設問では書ききれなかった深い部分を知りたいと考えています。
それにもかかわらず、既に読んだ情報が繰り返されると、アピールできる引き出しが少ないのではないか、あるいは設問の意図を理解していないのではないか、というマイナスの印象を与えてしまいます。
もちろん、自己PRで触れた強みをさらに深掘りするという形であれば問題ありません。
その場合は、自己PRでは書ききれなかった具体的なプロセスや、その強みを発揮した別のエピソードを加えるなど、必ず新しい情報や視点を含めるように工夫しましょう。
単なる自己紹介やプロフィール情報の羅列
自由表現欄を、履歴書の延長線上にある自己紹介スペースだと勘違いしてしまうケースも注意が必要です。
氏名、大学名、出身地、趣味、特技といったプロフィール情報を、ただ箇条書きで並べただけでは、企業が知りたい個性や熱意は全く伝わりません。
これらの基本情報は、既にESの別項目や履歴書に記載されています。
企業が知りたいのは、その趣味や特技を通じて、あなたがどのような価値観を持ち、どう成長してきたのかという具体的なストーリーです。
例えば、趣味が旅行であるなら、旅行先でどのような課題に直面し、それをどう乗り越えたのか、その経験が今の自分にどう活かされているのか、といった具体的なエピソードに落とし込む必要があります。
奇抜さやウケ狙いに走りすぎる問題
個性を出そうとするあまり、奇抜さやウケ狙いに走りすぎてしまうのも典型的な失敗です。
採用担当者の目を引こうとして、過度に派手な色使いをしたり、意味のない大きなイラストを描いたり、TPOにそぐわない砕けすぎた言葉遣いをしたりするのは逆効果です。
ビジネスの書類であるという大前提を忘れてはいけません。
企業が求めているのは、TPOをわきまえた上での個性的な表現であり、単なる目立ちたがり屋ではありません。
特に金融やインフラなど、堅実さが求められる業界では、こうした過度な表現は常識を疑われる原因にもなりかねません。
デザインはあくまでも内容を分かりやすく伝えるための手段であり、目的にならないよう注意しましょう。
【ES自由表現の攻略】評価を高めるための準備ステップ
ESの自由表現で高い評価を得るためには、いきなり書き始めるのではなく、入念な準備が必要です。
この設問は、あなたの企画力や論理的思考力、そして企業への熱意を総合的にアピールできる場です。
言い換えれば、どれだけ深く考え、準備してきたかが如実に表れる設問でもあります。
ここでは、ライバルと差をつけるために不可欠な、作成前の3つの準備ステップについて具体的に解説します。
このプロセスを丁寧に行うことが、質の高いアウトプットにつながります。
企業の求める人物像の徹底的な研究
自由な表現が許されているからといって、何を書いても良いわけではありません。
最終的なゴールは、この応募者と一緒に働きたいと企業に思ってもらうことです。
そのためには、まず応募先企業がどのような人材を求めているのか、その人物像を徹底的に研究し、理解することが不可欠です。
企業の採用ページにあるメッセージ、社員インタビュー、経営理念などを熟読しましょう。
例えば、挑戦を推奨する社風であれば、自身のチャレンジ精神を示すエピソードを、協調性を重視する社風であれば、チームでの貢献経験をテーマに据えるのが効果的です。
企業研究に基づいたアピールこそが、単なる自己満足ではない、企業に響く熱意の表れとなります。
自分が最も伝えたい核心的テーマの決定
企業の求める人物像を理解したら、次に、それと自分の強みや経験が合致するポイントを探し、自分が最も伝えたい核心的なテーマを一つに絞り込みます。
自由表現欄のスペースは限られています。
あれもこれもと情報を詰め込もうとすると、結局何も伝わらない散漫な内容になってしまいます。
このESを通じて、採用担当者に自分の何を知ってもらいたいのか、その一点を明確に定めることが重要です。
例えば、粘り強さ、企画力、リーダーシップ、あるいは企業理念への深い共感など、テーマは一つに絞りましょう。
このテーマがES全体の背骨となり、どのような表現方法を選ぶかの基準にもなります。
全体の構成とレイアウトの設計
核心的なテーマが決まったら、それをどのように紙面で表現するか、全体の構成とレイアウトを設計します。
いきなり本番の用紙に書き始めるのではなく、必ず別の紙に下書きをし、どこに何を配置するかを決めましょう。
まず、最も伝えたいメッセージをキャッチコピーとして目立つ位置に配置します。
次に、そのキャッチコピーを補足する具体的なエピソードやデータを、文章や図解、写真などを用いて分かりやすく配置します。
読み手の視線の流れ(Z型やN型)を意識し、情報がスムーズに頭に入ってくるようなレイアウトを心掛けましょう。
余白を適切に取ることも、洗練された印象を与える上で重要なテクニックです。
【ES自由表現の攻略】ライバルと差をつける表現テクニック
テーマと構成が決まったら、いよいよ具体的な表現方法を考えていきます。
自由表現欄では、文章力だけでなく、視覚的な訴求力も評価の対象となります。
文章だけで埋め尽くすよりも、図解や写真などを効果的に組み合わせることで、より直感的かつ印象的にメッセージを伝えることができます。
ここでは、ライバルと差をつけるための具体的な表現テクニックを3つ紹介します。
自分のテーマやスキルに合わせて、これらのテクニックを組み合わせてみましょう。
白紙スペースを活かすイラストや図解
文章だけでは伝えにくいプロセスや、自分の思考の流れ、チーム内での立ち位置などは、簡単なイラストや図解を用いることで非常に分かりやすくなります。
絵心に自信がなくても問題ありません。
重要なのは上手さではなく、伝えたい内容が整理され、視覚的に理解しやすくなっているかどうかです。
例えば、ガクチカで取り組んだ課題解決のプロセスを、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)の図で示したり、自分の強みをレーダーチャートで可視化したりするのも良いでしょう。
また、自分の似顔絵を小さく添えるだけでも、人柄が伝わりやすくなり、採用担当者の印象に残る効果が期待できます。
白紙のスペースを恐れず、情報を整理するツールとして図解を活用しましょう。
具体性を持たせる写真やグラフの活用
エピソードの具体性や信憑性を高める上で、写真やグラフは非常に強力なツールです。
例えば、サークル活動での成果をアピールする場合、活動中の真剣な表情の写真や、イベントの集客数を伸ばしたことを示すグラフを掲載することで、あなたの主張が単なる言葉以上のものであることを証明できます。
また、海外留学の経験を伝える際に、現地の仲間と写った写真を添えれば、その場の雰囲気やあなたの積極的な姿勢がより鮮明に伝わります。
ただし、写真を多用しすぎるとアルバムのようになってしまうため、テーマを象徴する最も効果的な一枚を厳選することが重要です。
写真やグラフには必ず簡潔なキャプション(説明文)を添え、それが何を意味するのかを明確にしましょう。
自身のキャッチコピーと補足文章の組み合わせ
紙面全体で最も伝えたいメッセージを、短く印象的なキャッチコピーにして冒頭に大きく配置する手法は非常に有効です。
採用担当者は多くのESに目を通すため、一目であなたが何をアピールしたいのかが分かるキャッチコピーは、読み手の関心を強く引くことができます。
例えば、私はチームの潤滑油です、失敗を恐れない挑戦者です、といった形です。
ただし、キャッチコピーだけでは具体性に欠けるため、必ずその下に、そのキャッチコピーを裏付ける具体的なエピソードや考えを補足文章として記述する必要があります。
キャッチコピーで関心を引き、補足文章で納得させるという流れを意識することで、あなたの魅力が論理的かつ印象的に伝わります。
【ES自由表現の攻略】高評価が狙える構成テーマ例
自由表現欄で何を書くべきか、そのテーマ設定は非常に重要です。
基本的には、他の設問では伝えきれなかった自分の強みや熱意をアピールする場として活用します。
ここでは、採用担当者に響きやすく、高評価が狙える代表的な構成テーマ例を3つ紹介します。
これらの例を参考に、自分自身の経験と応募先企業の特徴を結びつけて、オリジナルのテーマを考えてみてください。
具体的なエピソードを交えて解説することで、説得力を持たせることが鍵となります。
長所や専門スキルを深掘りするテーマ例と解説
自己PR欄で述べた長所や専門スキルについて、さらに深く掘り下げるテーマです。
例えば、自己PRでコミュニケーション能力をアピールした場合、自由表現欄ではその能力を「傾聴力」「発信力」「調整力」などに分解し、それぞれを発揮した具体的なエピソードを図解や写真付きで紹介します。
また、プログラミングスキルをアピールするなら、実際に自分で作成したアプリケーションの画面キャプチャや、こだわったコードの一部を掲載し、その技術的な解説を加えるのも良いでしょう。
これにより、あなたが持つ能力の深さと具体性をアピールでき、入社後の活躍イメージを明確に持たせることができます。
他の設問との一貫性を持ちつつ、より専門的なアピールが可能になります。
企業理念への共感と原体験を結びつけるテーマ例と解説
志望動機欄で触れた企業理念への共感を、自身の具体的な原体験と結びつけて深掘りするテーマです。
なぜ数ある企業の中でその企業でなければならないのか、その強い理由を示すことができます。
例えば、貴社の「挑戦を後押しする」という理念に強く共感します、というキャッチコピーを掲げ、その下に、自分が過去に失敗を恐れずに挑戦し、成長できた経験(例:留学、起業サークルなど)を写真と共に紹介します。
そして、その経験から挑戦の重要性を学び、貴社の環境でこそ自身の力を最大限発揮できると確信した、と結びつけます。
これにより、単なる理念への賛同ではなく、自身の価値観と企業が深くマッチしていることを論理的にアピールでき、熱意の強さが伝わります。
入社後の貢献ビジョンを具体的に示すテーマ例と解説
入社後に自分がどのように活躍し、企業に貢献できるのか、その具体的なビジョンを示すテーマです。
これは、企業研究の深さと、働くことへの意欲の高さを示すのに非常に効果的です。
例えば、貴社の〇〇という事業において、私の持つ〇〇という強みを活かし、将来的には〇〇といった形で貢献したい、というロードマップを時系列で示します。
1年目、3年目、5年目と段階を分け、それぞれのステップで何を成し遂げたいかを具体的に書くと良いでしょう。
この際、企業の事業内容や今後の戦略をしっかり調べた上で、自身の強みがどう貢献できるかを明確に結びつけることが重要です。
抽象的なやる気ではなく、具体的な貢献イメージを提示することで、即戦力としての期待感を高めることができます。
【ES自由表現の攻略】避けるべきNG構成と注意点
魅力的なアピールの場である一方、自由表現欄には守るべき最低限のルールやマナーが存在します。
意図を理解せず、不適切な内容を書いてしまうと、他の設問で高評価を得ていたとしても、全体の印象を大きく損ねてしまう可能性があります。
ここでは、評価を下げるだけでなく、場合によっては選考脱落の原因ともなり得る、避けるべきNG構成や注意点について解説します。
基本的なビジネスマナーを守り、誠実な姿勢で取り組むことが大前提です。
空欄(未記入)や熱意の感じられない手抜き
最も避けるべきなのは、自由表現欄を空欄(未記入)で提出することです。
これは、企業に対して志望度が低い、あるいは考えることを放棄したと宣言しているようなものです。
同様に、スペースを埋めるためだけに、申し訳程度に数行の文章を書いただけの内容も、熱意がないと判断されます。
この設問は、あなたの熱意を測るリトマス試験紙のようなものです。
何を書けば良いか分からない場合でも、この記事で紹介したテーマ例などを参考に、自分の言葉で精一杯アピールする姿勢を見せることが最低限のマナーです。
空欄で出すくらいなら、企業研究の成果や入社への思いを文章でびっしり書く方が、よほど熱意が伝わります。
ルール違反(消せるペン、枠外への記入など)
企業から指定されたルールを守ることは、社会人としての基本中の基本です。
例えば、手書き指定のESで、フリクションボールペンのような消せるペンを使用することは厳禁です。
ESは正式な応募書類であり、熱や摩擦で消える可能性のある筆記具の使用は認められません。
必ず黒のボールペンを使用しましょう。
また、指定された枠線を大きくはみ出して記入したり、指定された色以外(例:黒指定なのにカラフルなペンを使う)を使用したりすることもルール違反です。
このような基本的なルールを守れない人は、仕事においても指示を守れないのではないかと懸念され、信頼を失ってしまいます。
ネガティブな内容や過度な自虐表現
自由表現欄は、あなたという人間をアピールする場です。
それにもかかわらず、ネガティブな内容や過度な自虐を書いてしまうのは不適切です。
例えば、自分には何もアピールすることがありません、といった内容や、過去の失敗談を反省や学びにつなげることなく、ただネガティブに書き連ねることは避けましょう。
ユーモアのつもりでも、採用担当者には自信のなさや他責思考と受け取られる可能性があります。
短所をテーマにする場合でも、それをどう克服しようと努力しているかという前向きな側面に焦点を当てるべきです。
あくまでも、自分を採用するメリットを感じてもらうためのプレゼンテーションの場であることを忘れてはいけません。
ESの自由表現は自己PRの絶好のチャンス
ESの「自由に表現してください」という設問は、多くの就活生が悩む難問ですが、その本質は自己PRの絶好のチャンスであることに他なりません。
企業の意図を正しく理解し、入念な準備と工夫を凝らすことで、他の応募者と圧倒的な差をつけることができます。
重要なのは、奇抜さではなく、企業研究に基づいた熱意と、自分自身の価値観や強みを、分かりやすく誠実に伝えることです。
今回紹介した準備ステップや表現テクニック、テーマ例を参考に、あなたらしさが最も伝わる自由表現欄を作成してください。
時間をかけて丁寧に作り上げたESは、必ずあなたの熱意を採用担当者に届けてくれるはずです。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート




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