【2025年最新版】福利厚生の家賃補助とは?平均額・条件・メリットデメリットまで徹底解説

【2025年最新版】福利厚生の家賃補助とは?平均額・条件・メリットデメリットまで徹底解説

家賃補助とは

家賃補助とは、企業が従業員に対して住居費の一部を補助する制度のことです。

主に福利厚生の一環として導入されており、特に都市部での生活コストを抑える目的で利用されます。従業員にとっては家計の負担を減らす大きなメリットがあります。

家賃補助は福利厚生の一つ

家賃補助は、従業員の生活を支える福利厚生の中でも特に重要な制度の一つです。

生活費の中でも大きな割合を占める住宅費を企業がサポートすることで、従業員は安心して働ける環境を得られます。

また、企業にとっても従業員の定着率を高めたり、優秀な人材を採用する際のアピールポイントとなるなど、双方にメリットがあります。

特に都市部や家賃相場が高い地域では、家賃補助の有無が従業員の生活の質を大きく左右します。

家賃補助は課税対象になる

家賃補助は原則として給与の一部とみなされるため、所得税や社会保険料の対象となります。

つまり、実際に受け取る金額がそのまま手取りの増加につながるわけではありません。

この点は社宅制度との大きな違いであり、従業員の負担感や企業のコスト増加につながる要因となります。

家賃補助を受ける場合には、課税額や社会保険料への影響を理解しておくことが大切であり、企業側もその分のコスト管理を考慮する必要があります。

現在は減少の傾向にある

かつては大企業を中心に広く導入されていた家賃補助制度ですが、現在では減少傾向にあります。

背景には、税制上の不利さや、企業側の人件費圧縮の動きがあります。その代替として、税負担の軽い社宅制度や住宅手当へシフトする企業も増加しています。

福利厚生の多様化により、企業が限られたコストをどの制度に充てるかを見直す流れの中で、家賃補助が縮小されるケースが多くなっているのです。

家賃補助の導入割合はどれくらい?

厚生労働省の「令和2年就労条件総合調査」では、家賃補助を採用する企業は47.2%です。

調査では従業員数が増えるほど、実施する割合が大きくなるのが特徴です。

たとえば、従業員数が30人〜99人規模の企業の実施率は43%になります。

一方で1,000人以上の企業は61.7%でした。

つまり、住宅手当の支給を受けたい就活生は従業員数が多い企業にエントリーすることで、受給できる可能性が高まります。

しかし、エントリーできる企業数には限界があります。

募集要項をきちんと確認し、家賃補助の記載がある企業から優先して応募するようにしてください。

参考:令和2年就労条件総合調査|厚生労働省

家賃補助以外の住宅関連の手当や補助

次は家賃補助以外の住宅関連の手当・補助を紹介します。

家賃補助について気になる方は、こちらもぜひ参考にしてください。

社宅制度

社宅制度とは企業が従業員に対して住宅を貸す制度です。

所有と借り上げが存在し、どちらも従業員が働きやすい環境を用意する福利厚生です。

それぞれの違いは以下の表を参考にしてください。

名称 意味
所有 企業が住宅を所有し、従業員に貸し出す仕組み
借り上げ 企業が賃貸物件を契約し、従業員に貸し出す仕組み

どちらの制度も従業員は、家賃を通常の相場よりも大幅に抑えられるため、経済的な負担が軽減します。

また、課税面でも有利に働くため、企業・従業員の双方にメリットがある制度です。

ただし、社宅の位置や空き状況によっては同僚が近くに住む可能性があります。

人によっては「プライバシーの確保ができない」とストレスに感じるかもしれません。

さらに、退職時には退去する必要があるので注意が必要です。

引っ越し手当

引っ越し手当は、転勤や入社に伴って必要となる引っ越し費用を補助する制度です。

働き始める従業員をサポートする福利厚生です。

たとえば、大阪に住んでいる人が東京配属になる場合、引っ越しが必要になります。

そこで、企業が引っ越しにかかる費用の全額もしくは、一部を負担してくれる仕組みです。引っ越し費用だけでなく、敷金・礼金、仲介手数料なども含む場合があります。

ただし、引っ越し手当を受けるには条件があります。

主に該当するのが、新卒採用や会社都合などによる転勤です。

企業から遠方の地域に勤務するよう命令があった場合、引っ越し手当が支給されます。

あなた都合での引っ越しは支給の対象外になるので注意してください。

家賃補助と社宅制度の違い

家賃補助と社宅制度は、従業員にとってありがたい制度です。

生活を支える福利厚生になります。

しかし、家賃補助と社宅制度では中身が異なります。

以下の表を参考にしてそれぞれの違いを理解しておきましょう。

家賃補助 社宅制度
契約者 あなた 企業
住居探し 自由 企業指定の物件
支給形態 給与に上乗せ 給与から家賃を天引き
税制上の扱い 給与所得(課税対象) 家賃を50%以上支払えば非課税
手取りへの影響 課税されるため手元に残る金額が減る 非課税の場合、家賃補助より金額が残る

家賃補助は、自由に物件を選べる反面、税金が社宅制度よりも多くかかる傾向にあります。

一方で、社宅制度は物件選びに制限がありますが、手元に残るお金は多くなります。

あなたが入社する企業がどちらを採用しているのか調べておきましょう。

家賃補助の平均支給額(相場)

家賃補助の平均支給額は厚生労働省が公表した「令和2年就労条件総合調査」によると、17,800円です。

平成27年(2015年)の調査では17,000円であったため、平均支給額が上昇していることがわかります。

家賃補助の導入割合と同様に、従業員数が多い企業ほど支給額が多くなる傾向です。

たとえば、30人〜99人の企業では14,200円です。

一方で1,000人以上の企業の平均は21,300円になります。

家賃補助をより多く受けたい就活生は、大企業や従業員数を多く増やす計画がある企業を狙ってください。

ただし上記のデータは平均値です。

エントリー前に募集要項を読み、家賃補助額に納得できるか確認してください。

参考:令和2年就労条件総合調査|厚生労働省

家賃補助をもらうには

次は家賃補助をもらう方法について紹介します。

不安な方はぜひ参考にしてください。

家賃補助をもらえる条件

家賃補助を受けるためには、企業が定める支給条件を満たしている必要があります。

一般的には「正社員であること」「勤務地から一定距離以上に居住していること」「扶養の有無」「役職や勤続年数」などが条件として設定されます。

独身者のみ支給、または転勤者に限定する企業も少なくありません。

条件は会社ごとに異なるため、就業規則や福利厚生規程を必ず確認しておくことが大切です。

申請に必要なもの

家賃補助を受けるためには以下のものを提出する必要があります。

ただし、企業ごとに必要なものが異なるため担当者からの指示に従ってください。

必要なもの 理由
住民票 従業員が住んでいることを証明するため
賃貸借契約書 従業員が契約者本人であることを証明するため
家賃支払い明細書 家賃を支払っていることを証明するため
家賃補助申請書(企業規定) 支給条件を満たしていることを報告するため

家賃補助を受けるには事前の準備が必要です。

内定を承諾したら、企業の指示に従いすみやかに準備するようにしてください。

企業が定める条件を満たしていないと支給の対象外になります。

入社後に家賃補助が受けられないことが発覚すると、生活に影響が出ます。

時間に余裕のあるうちから準備し、入社後からスムーズに受給できるようにしてください。

申請の流れ

家賃補助の申請の流れは以下の通りです。

  1. 制度の確認
  2. 物件の契約
  3. 書類の準備
  4. 申請書の記入
  5. 企業に提出
  6. 審査
  7. 支給開始

まずは家賃補助の制度から確認してください。

支給条件を無視した契約は支給の対象外になるからです。

続いて、物件を契約したのち、必要書類を作成してください。

企業の担当者からの指示に従い、不備がないようにしましょう。

再提出を求められると支給開始時期が遅れるからです。

その後、企業による審査を通過することで、家賃補助が支給されます。

書類の準備・記入・提出・審査と時間がかかる工程ばかりです。

提出期限ギリギリでの対応は書類不備が発生しやすくなります。

あらかじめ時間を設けて、余裕を持って対応してください。

住宅手当と社宅、もし選べるなら……?

住宅手当と社宅はあなたの価値観に合ったものを選択することが大切です。

以下にそれぞれのメリット・デメリットを表にしているので参考にしてください。

住宅手当

メリット 住宅選択の自由度が高い
デメリット 契約や支払いは自分で対応する必要がある 課税対象となり手元に残るお金が少なくなる

社宅

メリット 契約や管理などは企業が対応してくれる 家賃の50%以上を支払うことで非課税になる
デメリット 社宅数に限りがあり利用できない可能性がある 近くに同僚が住む場合、プライバシーの確保が困難になる

自分で住む家を決めたい人は住宅手当がおすすめです。

一方で、ある程度の制限があっても、よりお得に住みたい人は社宅が向いています。

あなたの価値観を明確にし、どちらがより適しているか確認してください。

家賃補助のメリット・デメリット

次に、家賃補助のメリット・デメリットを紹介していきます。

メリット・デメリットを踏まえた上で、家賃補助を選ぶのかどうか判断しましょう。

メリット

家賃補助の最大のメリットは、毎月の家計の負担を大幅に軽減できることです。

自由に住居を選べるため、勤務地や生活スタイルに合った最適な住まいを確保できます。

さらに、経済的な安定が従業員のパフォーマンス向上や定着率改善につながる点も企業側のメリットとなります。

福利厚生の一環として家賃補助を用意していることは、採用市場における企業のイメージアップにも直結します。

住居に関する各種手続きの稼働が発生しない

家賃補助は従業員が自ら物件を契約する仕組みのため、企業側で物件の手配や契約を行う必要がありません。

そのため、社宅運用に比べて企業の管理負担が軽く、手続きの効率化につながります。

従業員にとっても通常の賃貸契約と同じ流れで進められるため、入居までのスピード感が損なわれません。

こうした点は特に新入社員や転勤者にとって大きなメリットとなります。

自由に物件を選定できる

家賃補助では、自分のライフスタイルや通勤距離、家族構成に応じて好きな物件を選べます。

例えば「都心のアクセスを重視したワンルーム」や「子育てに適した郊外のファミリー物件」など、柔軟な選択が可能です。

将来的にライフステージが変わった際にも、自分の判断で住み替えができる点は大きな自由度と安心感をもたらします。

結果的に生活の満足度が高まり、仕事への集中力向上にもつながります。

従業員の労働生産性の向上につながる

家賃補助で経済的な負担が減ることで、従業員は安心して生活を送ることができます。

生活の安定は心身の健康を支え、業務への集中力を高めます。

また、通勤の利便性を考慮して物件を選べるため、通勤時間が短縮され疲労軽減につながります。

これらは結果的に遅刻や欠勤の減少にもつながり、企業にとっても労働生産性の向上という形で利益をもたらします。

企業イメージの向上につながる

福利厚生が充実している企業は、求職者にとって魅力的に映ります。特に住宅に関する支援は、日々の生活に直結するため大きな安心材料になります。

家賃補助を導入している企業は「社員を大切にする会社」として評価されやすく、採用活動にもプラスに働きます。

企業ブランド力の向上は、長期的な人材確保にとって非常に重要です。

従業員の経済的負担が減る

家賃は生活費の中で大きな割合を占めるため、その一部を企業が負担することで従業員の家計は大きく改善します。

浮いた資金を貯蓄や趣味、スキルアップのための自己投資に回すことができ、生活の質が高まります。

経済的な余裕は精神的な安定にもつながり、長期的に従業員の定着率向上にも寄与します。結果として企業と従業員双方にメリットがある制度といえます。

デメリット

家賃補助はデメリットを理解したうえで活用してください。

主なデメリットとして以下の2点が挙げられます。

  1. 制度の不安定性
  2. 手元に残る金額の減少

家賃補助は福利厚生の一環です。

企業の業績悪化や方針転換があった場合、制度が廃止される可能性があります。

「家賃補助があれば生活は安泰だ」とはならないので計画的な生活が必要です。

また、家賃補助は課税対象です。

たとえば、給与は20万円で家賃補助が5万円の場合、25万円の給与を受け取っている計算になります。

25万円分の税金を支払う必要があることを覚えておきましょう。

給与明細を見て「予想より税金が引かれている」と落ち込む可能性があるからです。

企業・従業員に共通して社会保険料や各種税負担が大きくなる

家賃補助は給与の一部として扱われるため、所得税や住民税だけでなく社会保険料の計算にも含まれます。

従業員は手取りの増加が期待ほどではなくなる一方、企業側も人件費の総額が増えるという負担を抱えることになります。

長期的に見れば企業コストの増大につながり、制度の継続性が課題となる場合もあります。

こうした点を理解したうえで、家賃補助のメリットとバランスを取ることが重要です。

社宅制度のメリット・デメリット

次は社宅制度のメリット・デメリットを紹介します。

こちらを参考にした上で、家賃補助と社宅どちらがいいか考えましょう。

社宅制度のメリット

まずは社宅制度のメリットを見ていきましょう。

従業員の労働生産性の向上につながる

社宅制度により職場の近くに住めることで、通勤時間が大幅に短縮されます。

その分、睡眠や自己学習、家族との時間に充てられるため、心身の健康維持やモチベーション向上につながります。

結果として集中力や仕事の効率が高まり、労働生産性の向上が期待できます。

企業イメージの向上につながる

社宅制度を導入している企業は、従業員を大切にしている姿勢をアピールできます。

福利厚生が充実していることは就職活動中の学生や転職希望者にとって大きな魅力となり、 優秀な人材確保や定着率の向上にも寄与します。

結果として企業ブランドの強化にもつながります。

従業員の経済的負担が減る

社宅は相場より低価格で提供されることが多いため、家賃や光熱費など住居関連の出費が軽減されます。

特に都市部では住居費が大きな負担となるため、その軽減効果は非常に大きいといえます。

経済的な安心感があることで、従業員が長期的に安定して働きやすい環境を整えることができます。

手続きの時間を大幅に削減できる

通常の賃貸契約では、物件探し・契約書の作成・保証人探しなど多くの手間がかかります。

社宅制度を利用すれば、会社が契約や手続きを代行するため、従業員は引っ越しにかかる時間や労力を大幅に削減できます。

新生活をスムーズに始められる点は大きなメリットです。

家賃補助制度利用時よりも、社会保険料や各種税負担が軽減される

社宅は会社が直接契約しているため、従業員に支給される現金手当とは異なり、課税対象額を抑えることが可能です。

その結果、社会保険料や所得税の負担が軽くなるケースが多く、実質的に手取り額が増えることもあります。

これは家賃補助と比べても大きな経済的メリットとなります。

社宅制度のデメリット

社宅制度のデメリットについて見ていきましょう。

住居に関する各種手続きの稼働が発生する

社宅制度では会社が契約を代行してくれる一方、入居や退去に関しては独自のルールや追加手続きが必要になることがあります。

そのため、自由度が高い通常の賃貸と比べると煩雑さを感じる人も少なくありません。

従業員が希望する条件に沿った物件になるとは限らない

社宅は会社が契約しているため、立地・間取り・設備などが必ずしも従業員の希望に合致するとは限りません。

特にファミリー層や特別な条件を求める人にとっては不便を感じるケースもあります。

同じ建物内に同じ会社の従業員が住む場合がある

社宅では同じ会社の同僚や上司が近所に住むことも多く、プライベートが完全に守られない可能性があります。

人間関係の近さが安心につながる一方で、距離感が近すぎると生活上のストレスになることもあります。

Q&A 住宅手当に関する質問

家賃補助はどのくらいの期間もらえますか?

家賃補助の支給期間は企業ごとに異なりますが、一般的には「入社から数年間」や「結婚するまで」といった条件が設けられるケースが多いです。

長期的に支給される企業もありますが、若手社員の生活支援を目的とした短期間の制度として活用されることもあります。

詳細は就業規則や制度規定を確認することが重要です。

家賃補助は何歳までもらえますか?

年齢制限を設けている企業も多く、30歳や35歳といった年齢を上限とする場合があります。

これは「若手社員の生活基盤を支える」目的が強いためで、一定年齢を超えると支給対象外になるケースが一般的です。

ただし企業によっては年齢制限を設けていない場合もあるため、必ず制度の詳細を確認しておくことが必要です。

家賃補助を企業選びの軸にしてもいい?

家賃補助は生活費の負担を大きく軽減する魅力的な制度であり、企業選びの判断基準の一つとして考える価値は十分にあります。

ただし、給与水準・勤務地・キャリア形成の観点も合わせて検討することが重要です。

福利厚生は長期的に生活の安定に関わる要素であるため、他の条件と比較しながら総合的に判断するとよいでしょう。

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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