就職活動において、ESで「自分らしいエピソード」について聞かれることがあります。
そもそも自分らしさが何なのかも難しい題材であるにも関わらず、エピソードとしてそれをまとめるのは難しいですよね。
本記事では、ESで「自分らしいエピソード」を聞かれた際に高評価を得やすい書き方やポイントについて解説していきます。
この設問で悩んでいるという方は、ぜひ本記事を参考に回答を作成してみてください。
ESで聞かれる「自分らしいエピソード」とは
就職活動においてESで聞かれる「自分らしいエピソード」とは、そもそもどんなエピソードのことを指しているのでしょうか。
ここでは、単なる成功体験や特別な経験ではなく、あなた自身の個性や価値観が現れている経験のことを指します。
企業は、ESを通して、あなたがどのような考え方を持ち、どのように行動してきたのかを知りたいと思っています。
つまり、あなた自身を表すエピソードを通じて、人柄や行動パターン、価値観を浮き彫りにしようとしているのです。
そのため、特別な成果を出した話である必要はなく、日常的な出来事の中で、自分らしさが発揮された場面を選ぶことが重要になります。
ESで「自分らしいエピソード」を聞く理由
そもそも、なぜESで「自分らしいエピソード」が聞かれるのでしょうか。
企業がESで「自分らしいエピソード」を聞く意図を知っておくことで、意図に沿った回答を作成することができ、高評価を得やすい回答を作成することができます。
具体的な内容について、以下で詳しく解説していきます。
人柄を知るため
企業がESで「自分らしいエピソード」を求める理由の一つは、応募者の人柄を知るためです。
履歴書や成績表だけでは見えにくい、その人独自の考え方や価値観、行動パターンを把握するために、具体的なエピソードが必要とされます。
例えば、困難な状況でどう考え、どう行動したかを通じて、その人の粘り強さや柔軟性、リーダーシップなどが浮かび上がるからです。
企業は、単なるスキルや知識だけでなく、組織の中で円滑に協働できる人材かを重視しており、その判断材料としてエピソードが活用されます。
そのためここでは、あなた自身の強みや性格の現れたエピソードを用いることで、企業にあなたの内面が伝わるようにしましょう。
会社との相性を知るため
もう一つの理由は、応募者と会社の相性を知るためです。
会社にはそれぞれ独自の文化や価値観があり、どんなに優秀な人材であっても、価値観が合わなければ活躍しにくい可能性があります。
ESで「自分らしいエピソード」を聞くことによって、その人の行動の動機や重視する価値観を明らかにし、企業側が自社とマッチするかを見極める手助けになります。
たとえば、挑戦を好む文化の企業であれば、チャレンジ精神のあるエピソードが歓迎されるでしょう。
このように、会社との相性を測る重要な手がかりとしてエピソードは非常に重視されています。
そのため、企業の求める人物像とあなたの内面とに近い部分があるのであれば、それが伝わるようなエピソードを選ぶと好印象につながりやすくなります。
ESに「自分らしいエピソード」を書く際の選び方
ここまでで、「自分らしいエピソード」が何のために聞かれているのかについて解説しました。
しかし、それがわかっていても、自分らしさの現れているエピソードを選ぶのは難しいですよね。
ここからは、エピソードを選ぶ際におすすめの方法をご紹介します。
まずエピソードが思いついていないという方は、以下のような方法を試してみてください。
- 過去経験を振り返る
- 自己分析であなたの強みを探す
- 周囲の人に聞いてみる
上記3点を行うことで、自分らしさとは何なのか、それを表すエピソードは何かについて改めて考えることができます。
下記で詳しく解説していきます。
過去経験を振り返る
まず最初に、自分の過去の経験をじっくりと振り返ることが重要です。
学校生活、アルバイト、ボランティア活動、趣味など、あらゆる場面で自分がどのように行動したかを思い出してみましょう。
その中で、自分らしさが最も発揮されたと感じる経験を洗い出します。
特に、自分自身が積極的に関与し、達成感や成長を感じた出来事に注目すると良いでしょう。
こうした振り返りを通じて、自分らしいエピソードの候補をリストアップし、そこから最適なものを選び出します。
自己分析であなたの強みを探す
次に、自己分析を通じて自分の強みを把握することも大切です。
自己分析では、自分がどのような場面で力を発揮できるのか、どんな価値観を大切にしているのかを明らかにします。
たとえば、「粘り強く努力できる」「チームをまとめることが得意」「新しいことに挑戦する意欲が高い」など、自分ならではの特徴を見つけるのです。
この強みと関連するエピソードを選ぶことで、より一貫性のあるアピールが可能となり、説得力のあるESに仕上がります。
周囲の人に聞いてみる
自分一人で考えていると視野が狭くなりがちなので、周囲の人に意見を聞くのも有効です。
家族や友人、大学の教授やアルバイト先の上司など、自分をよく知る人たちに、「私らしいと思うエピソードは何か」と尋ねてみましょう。
他人の視点から見た自分の強みや特徴に気づくことができ、新たな発見が得られる場合もあります。
また、自分では普通だと思っている行動が、他人にとっては特別に映ることもありますので、周囲の意見を取り入れることで、より魅力的なエピソードを見つけ出す手助けになります。
ESで「自分らしいエピソード」を書く際のポイント
ESで「自分らしいエピソード」を回答する際には、以下のようなポイントを意識することで企業の意図に沿った回答を作成することができます。
- 自分だけの体験を選ぶ
- 成果よりもプロセスを重視する
- アピールポイントは1つに絞る
- 企業の求める人物像と重なるか意識する
どれも重要な内容ですので、自分自身の悩みに合わせて内容を確認してみてください。
自分だけの体験を選ぶ
ESでは、誰にでも当てはまるような一般的なエピソードではなく、自分だけの体験を選ぶことが重要です。
たとえば「サークル活動を頑張りました」という内容でも、どのような役割を担い、どのような工夫をし、どのような困難を乗り越えたかを具体的に描くことで、オリジナリティを出すことができます。
他人と差別化を図るためにも、あなた自身の考えや行動が色濃く表れたエピソードを選び、具体的なエピソードをもとに語ることが求められます。
成果よりもプロセスを重視する
成果だけに焦点を当てるのではなく、そこに至るまでのプロセスを重視することが重要です。
たとえば、結果的にプロジェクトが失敗に終わったとしても、その過程でどのような課題に直面し、どう乗り越えようとしたかが重視されます。
企業は、結果だけではなく、挑戦する姿勢や課題解決能力、柔軟な思考などを見ています。
そのため、成果の大小にかかわらず、プロセスを丁寧に描写することが、より評価されるESにつながります。

「成果を重視する性格である」という場合には、成果と過程をあわせてアピールするようにしましょう。
過程が欠けてしまうと、「入社後も同じように頑張ってくれるのだろうか」「再現性はあるのだろうか」と企業は不安になってしまいます。
なぜ成果を出したいと思うのか、成果を出すためにどのように行動したのか、この2点に重きをおいて回答を作成するようにしましょう。
アピールポイントは1つに絞る
エピソードの中でアピールしたいポイントは、欲張らずに1つに絞りましょう。
たとえば、「リーダーシップ」と「挑戦心」を同時にアピールしようとすると、話が散漫になり、結果としてどちらも印象に残らない可能性があります。
一番伝えたい自分の強みを明確にし、それに関連するエピソードを深掘りすることで、より説得力のある自己PRになります。
焦点を絞ることで、読み手にも強く印象づけることができるでしょう。
しかし、企業が2つの能力のバランスが重要であると考えている場合にはその限りではありません。
志望企業の求める人物像を意識しながら、内容を調整しましょう。
企業の求める人物像と重なるか意識する
エピソードを選ぶ際には、志望企業が求める人物像と重なっているかを意識することが大切です。
企業の採用ページや募集要項、企業理念などを読み込み、どのような人物が求められているのかを理解しましょう。
そして、その人物像にマッチする自分の強みをアピールできるエピソードを選びます。
自分らしさを表現しつつ、企業側が求める資質にも合致していることを伝えることで、より好印象を与えることができます。
ESで「自分らしいエピソード」を書く際の注意点
自分らしいエピソードを書く際には、いくつか気をつけてほしいことがあります。
主に気を付けてほしいのは、以下2点です。
- 嘘をつかない
- 一貫性がないことを伝えない
ESを通して、企業にアピールをしたいのにも関わらず、上記のようなことが守れなければかえってマイナスな印象を与えてしまうことがあります。
以下で詳しく解説していきますので、自分の考えているエピソードが当てはまっていないかしっかりと確認するようにしましょう。
嘘をつかない
ESに書く内容には、絶対に嘘をついてはいけません。
一時的には魅力的に見えるかもしれませんが、面接で深堀りされたときに矛盾が生じ、信頼を失うリスクがあります。
また、仮に内定を得られたとしても、実際の業務に入った際に期待とのギャップが生じる可能性もあります。
誠実に自分の経験を振り返り、事実に基づいたエピソードを丁寧に伝えることが、結果的に自分に合った企業に巡り合う近道となるでしょう。
一貫性がないことを伝えない
ESの中で、自分の価値観や行動パターンに一貫性がないことを伝えてしまうと、採用担当者に不安を与えてしまいます。
たとえば、リーダーシップを強みとする一方で、「周囲に流されやすい」といった内容が見受けられると、説得力が薄れてしまいます。
説得力がないだけでなく、そのエピソードは本当なのかな?という疑念も抱かせてしまいます。
エピソードの選択や表現においては、自分の一貫した強みや価値観を伝えることを意識し、読んだ人が「この人はこういう考え方を持っている」と理解できる内容を心がけましょう。
ESで「自分らしいエピソード」を書く際の文章構成
人事や採用担当者は、選考にあたって大量のESを読んでいます。
そのため、内容のわかりやすさや読みやすさは非常に重要です。
読みやすい文章を作るための文章構成は意識するようにしましょう。
「自分らしいエピソード」を書く際には、以下のような文章構成で書き進めることをおすすめします。
結論
まず最初に、自分の強みやエピソードの結論を簡潔に述べます。
これにより、読み手に内容の方向性を伝え、興味を引くことができます。
たとえば、「私の強みは、粘り強く目標に向かって努力する力です」といった一文から始めると良いでしょう。
結論から始める文章構成は、ESに限らず、ビジネスマンとして求められる能力です。
これを機に、伝えたいことを簡潔に伝える文章の書き方を身につけましょう。
具体的なエピソード
次に、その強みが発揮された具体的なエピソードを紹介します。
エピソードを話す際には、背景→課題→行動→結果の流れが重要です。
どのような状況で、どのような課題に直面し、どのような行動を取ったのかを詳細に描写します。
行動の結果どのような成果につながったのかも伝えられるとより印象が良いです。
エピソードの中で、自分の考えや工夫、成長をしっかりとアピールすることが重要になります。
今後への活かし方
最後に、エピソードを通してアピールした強みや自分らしさを、今後どのように活かしていきたいかを述べます。
「この力を活かして○○をし、御社の~~に貢献していきたいと考えております」などのように、志望企業に入社した際にどのように貢献できるかを具体的に示すことで、企業側に自分を採用するメリットを伝えることができます。
また、この内容が具体的であればあるほど、企業の業務やビジネスに対する理解の深さをアピールすることができます。
「自分らしいエピソード」のES例文
ここからは、実際に「自分らしいエピソード」について書いた例文をご紹介していきます。
今回紹介するのは、下記4つを強みとした例文です。
- 目標達成
- 困難な状況でも諦めない
- 常に笑顔で明るくいられる
- チャレンジ精神がある
自分に当てはまる強みがあるか、また、自分の強みで書くとしたらどういった内容になるのかを意識しながら例文を読み進めましょう。
目標達成
私の強みは、目標達成に向けて粘り強く努力できる点です。
この強みは、大学時代の英語スピーチ大会に挑戦した経験で活かされました。
スピーチ原稿作成に苦戦し、何度も挫折しかけましたが、毎日少しずつ練習を重ねました。
発音矯正にも取り組み、ネイティブの先生にフィードバックをもらいながら改善を図りました。
その結果、全国大会出場権を獲得することができました。
貴社に入社した際も、目標に向かって着実に努力し、成果を上げることで貢献していきたいと考えています。
この例文では、目標達成までの地道な努力と、課題に対して具体的な行動を取った点が明確に描かれています。
また、成果だけでなく、そこに至るプロセスもしっかりと説明されており、非常に説得力のある内容となっています。
自分の強みと企業への貢献を自然につなげている点も高く評価できます。
困難な状況でも諦めない
私の強みは、困難な状況でも諦めずに挑戦し続ける姿勢です。
この強みは、ゼミ活動での研究発表準備の経験で活かされました。
限られた時間の中で情報収集や資料作成を進める中、何度も壁にぶつかり、思うように進まないこともありました。
しかし、諦めることなくメンバーと意見を出し合い、スケジュールを細かく見直しながら進行管理を徹底しました。
その結果、無事に締切に間に合わせ、学内発表会で高評価を得ることができました。
貴社に入社した際も、困難に直面しても粘り強く取り組み、成果に結びつける力で貢献していきたいと考えています。
この例文は、逆境の中でも冷静に状況を分析し、柔軟に対応する姿勢が具体的に描かれています。
困難な環境下での努力や、チームワークを大切にする姿勢が企業に好印象を与えるでしょう。
結果だけでなく、プロセスを丁寧に語っている点も高評価ポイントです。
常に笑顔で明るくいられる
私の強みは、常に笑顔を忘れず明るい雰囲気を作れることです。
この強みは、飲食店でのアルバイト経験で発揮されました。
忙しい時間帯やクレーム対応時にも、常に笑顔を心がけ、お客様に安心感を与えることを意識しました。
また、スタッフ間でも積極的に声かけを行い、職場の雰囲気を良好に保つ努力をしました。
その結果、店舗の顧客満足度向上に貢献し、表彰を受けることができました。
貴社に入社後も、明るいコミュニケーションを通じてチームを活性化し、前向きな職場作りに貢献していきたいと考えています。
この例文では、職場環境へのポジティブな影響力が具体的に描写されています。
笑顔や明るさという一見抽象的な強みを、具体的な行動と成果に結びつけている点が魅力的です。
チームへの貢献意識も伝わりやすい内容になっています。
チャレンジ精神がある
私の強みは、新しいことに積極的に挑戦するチャレンジ精神です。
この強みは、大学でのプログラミングコンテスト参加経験で発揮されました。
もともとプログラミング未経験でしたが、コンテスト出場を決意し、独学で基礎から学びました。
途中で挫折しそうになることもありましたが、友人と助け合いながら知識を深め、コンテスト本番では入賞を果たすことができました。
貴社に入社した際も、未知の分野にも果敢に挑戦し、自己成長と企業の発展に貢献していきたいと考えています。
この例文では、未経験分野への挑戦と努力の過程が非常に明確に描かれています。
チャレンジ精神を行動で裏付けており、単なる意欲の表明にとどまらない説得力のある自己PRとなっています。
成果だけでなくプロセスの努力も丁寧に伝わっている点が好印象です。
まとめ
ESで求められる「自分らしいエピソード」は、単なる成功体験ではなく、自分自身の考え方や行動様式を具体的に伝えるための重要な要素です。
企業側はこのエピソードを通じて、応募者の人柄や価値観、企業文化との相性を見極めようとしています。
エピソードを選ぶ際には、過去の経験を振り返り、自分らしさが最も表れている出来事を丁寧に掘り下げ、具体的な行動や考えをしっかりと描写することが求められます。
また、自己分析を通じて見つけた強みと、企業の求める人物像との重なりを意識しながら、自分だけのストーリーを作り上げることが重要です。
文章構成は「結論」「具体的なエピソード」「今後への活かし方」という流れを意識し、一貫性のあるメッセージを伝えましょう。
成果よりもプロセスを重視し、誠実に事実を伝えることが、読み手に信頼感を与えます。
今回紹介した例文やポイントを参考にしながら、あなた自身の魅力がしっかり伝わるES作成にぜひ取り組んでください
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート
柴田貴司
(就活市場監修者/新卒リクルーティング本部幹部)
柴田貴司
(就活市場監修者)
過去経験の中から自分らしいエピソードを抽出するには、まず自分らしさについて知っておく必要があります。
そのため、自己分析がまだできていないという人は、まず自己分析から行い、「自分らしさとは何か」について考えてみましょう。