プラント業界とはどんな業界?現状や今後の課題・仕事の流れも詳しく紹介

プラント業界とはどんな業界?現状や今後の課題・仕事の流れも詳しく紹介

「プラント業界ってどんな業界?」 「プラント業界にはどんな企業があるの?」 「プラント業界にはどんな人が向いているの?」 このように、プラント業界に関して気になっていることや疑問を抱えている人は多いのではないでしょうか。

本記事ではプラント業界の基礎的な知識とともに、企業の種類や仕事内容、業界を代表する有名企業、プラント業界に向いている人材などを紹介しています。

この記事を読むことで、就活に向けてプラント業界の業界研究ができるほか、自身の適性や目指す方向性について学べるため、進路選択も検討しやすくなるでしょう。

プラント業界への就職や就職を視野に進学を検討している人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

プラント業界とは?

プラント業界とはプラントの建設に関する業界のことで、一般的に工場設備や設備に関する業界です。プラントの建設に関する仕事と言ってもジャンルは様々で、石油や発電などのエネルギー関連だけでなく薬品や食品なども含まれます。

また、プラントの建設に関する部品や提供している機器に携わる商社やメーカーまでも含んだ総称としてプラント業界と呼ばれています。

プラント業界の企業

プラントの建設や開発、維持には多くの作業工程があり多種多様な企業が携わっています。

企画や設計から始まり、製造する人や品質管理をする人、稼働をする人、メンテナンスをする人などここに挙げた一例だけでも多くの人が活躍できる業界です。プラント業界は大きく分けて以下の企業に分類できます。

  • プラントの建設工事を一括で行うEPC
  • 一部の設計・施工を請け負うサブコン
  • 工事会社
  • 商社
  • メーカー

プラントの建設工事を一括で行うEPC

EPCはEngineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の略で、企画・立案から資材の調達、建設工事までのフェーズを一括で請け負う事業のことです。

設計、調達、建設を一括で請け負うことで、個別に発注をかける方式より設計の最適化や納期の短期化を図ることができます。

一部の設計・施工を請け負うサブコン

サブコンとはゼネコンから工事関連の仕事を請け負う企業のことで、空調工事や電気工事などの専門分野が担当です。建設工事では各専門分野のサブコンが複数同時に工事を行い、複数の現場を掛け持ちすることもあります。

また、ゼネコンからの依頼をサブコンが下請けに外注することもあり、進捗管理や指導などを行います。

工事会社

サブコンやEPCなどから依頼を受けて、施工図面をもとに工事を行うのが工事会社です。

工事会社で職人を雇って施工する場合や工務店などに依頼する場合があり、建屋の工事だけでなく配管工事や機器の設置業務などを行います。

商社

商社は顧客からの依頼を受けて、機器の選定や工事が完了するまでの工期サポートを総合的に行います。

開発技術自体は持ち合わせていませんが、建設を一括で受注する会社もあれば機器単体で取り扱うところもあるなど、様々な規模の会社があります。

メーカー

メーカーはプラントを建設するのに必要な機器を製造している企業です。老舗企業が多くボイラや制御弁、タービンやポンプなどの部品を製造しており、卸先はプラント業界に限りません。

プラント業界の仕事の流れは?

それでは、プラント業界の仕事の流れをそれぞれ詳しく見ていきましょう。規模や業種によって違いはありますが、一連の流れを把握することで業界で働くイメージがしやすくなります。

営業

プラント業界での取引は主に企業相手になることが多く、基本的にBtoBの業界です。インフラ系の事業などでは官公庁が相手になることもありますが、個人との取引はほとんどありません。そのため、営業の相手も企業や官公庁相手となってきます。

良好な関係を築き上げるのはもちろん、新設の情報をいち早く入手するためにアンテナを高く張っていなければなりません。また、価格の相談や要望のヒアリングも担当するため、日頃から取引先と密にコミュニケーションをとる必要があります。

計画設計

計画設計は、顧客の要望を汲み取った上でそれを実現するためにはどうすればいいのかを計画する仕事です。

予算や収益とのバランスをとりながら、要望に沿うような形で自社の強みを活かせるように設計を行わなければなりません。理想論だけでなく現実的な設計が必要なため、技術的な知識も必要になります。

見積

計画がある程度定まったら、次は見積もりを出していきます。

必要な機器や物量、工数などを見積りすることで実際にどのくらいの規模になるのかを数値化し、設計費や利益を加えて全体的な数字を出していきます。

機器や部品はメーカーによってパフォーマンスが異なり価格も変動するため、その事業に最適なものになるように機器や部品の選定も行う必要があるでしょう。

提案

見積もりをもとに、顧客に提案する説明資料を作成していきます。

企業は数ある提案の中から、事業に相応な取引相手を選ぶため、予算や過去の実績はもちろん、工程や工事内容の安全性に問題がないかなどを勘案し総合的に判断を下します。

数字だけではなく自社の強みや顧客にメリットが伝わるような、選ばれる提案資料を作ることが必要です。

詳細設計

提案が通れば実際に施工を行うために詳細設計を行っていきます。詳細設計では計画設計をもとに、機器のサイズや数、設備の設置位置や段取りなどを図面に落とし込んでいきます。

また、この段階で強度の計算なども行われ、より詳しく工程を決めていくことになります。ここで設計を誤ってしまうと、後に機器の再手配や手直しに時間や費用もかかってしまうため、慎重に行わなければなりません。

調達

詳細設計が終われば、それをもとに実際に部品を調達する作業に入ります。納期を管理し、工事の時期に合わせて納品できるように手配していきます。

また、この段階で過去の実績や市場の価格と比較し、見積もりよりも価格を下げてもらえないか交渉も行う場合もあるでしょう。

建設工事

部品や機器がそろったら、施工図をもとに実際に工事を行っていきます。建設工事は、工期までに安全に工事を終わらせるために工事の日程調整を行う必要があります。

また、基礎工事、土木、建築、配管、電気などの業者がスムーズに仕事ができるように、搬入経路やルートの確保の調整もしっかり行わなければなりません。

試運転

工事が終了し機器が完成した後は、機器が設計通りに稼働するのか試運転を行い、問題が無ければ引き渡しです。

プラントを停止させた状態での点検と実際に稼働させた状態での点検を行い、問題があれば調整していきます。試運転は各メーカーなどと行うことが多く、調整しても直らない問題については早急に原因究明と再試行を行います。

保守・点検

プラントを引き渡した後は、保守や点検などのフォローが必要になります。機器は初期不良や故障など何かしら不具合が生じるため、数値データを収集しながら定期的にフォローを行っていきます。

契約によりますが、フォロー期間は一定期間設けられていることが一般的です。

プラント業界の有名企業を紹介!

プラント業界は世界規模で縮小と拡大を繰り返しており、日本企業も各専門分野のプラント事業開発に力を入れています。

ここでは、専門性や特色を活かし国内外で活躍する大手有名企業を紹介していきます。

日揮ホールディングス株式会社

日揮ホールディングス株式会社は、LNGや原油、再生エネルギーなど総合的に手掛け、国際的に事業を行っています。

創業当時から新しい挑戦を積極的に行っており、海外進出も早い段階から行ってきたことが強みです。また、プロジェクトを行っている国は約80ヵ国に渡り、多くが海外での売上高となっています。

栗田工業株式会社

栗田工業株式会社は総合水処理プラントのリーディングカンパニーです。メンテナンス、装置、薬品の3つの事業を基盤とし、様々な産業と水や環境問題に関わる事業を展開しています。

アジアからヨーロッパまで世界的に事業を展開させており、世界的に見ても有名企業といえます。

千代田化工建設株式会社

千代田化工建設は、LNGプラントの建設を強みとし、売り上げの半分以上をLNGプラントが担っています。

また、水素に関する技術開発にも力を入れており、大量輸送や貯蔵を可能にする技術で世界からも注目を浴びています。

東洋エンジニアリング株式会社

東洋エンジニアリング株式会社は、アンモニアや尿素などの化学肥料関連のプラントに強く、海外展開に積極的なエンジニアリング企業です。海外に12カ所の拠点を持ち約8割以上が海外での受注となっています。

メタウォーター株式会社

メタウォーター株式会社は、水と環境分野に特化した日本初の総合エンジニアリング企業です。持続可能な水と環境インフラをテーマに掲げ、水処理プラントでは国内最多クラスのシェアを誇ります。

株式会社タクマ

株式会社タクマはタクマ式ボイラを発明した企業で、プラント事業ではそのボイラ技術を活かした焼却施設などの一般廃棄物処理プラントや水処理プラントの事業を展開しています。

バイオマス発電所などの環境に配慮したエネルギーの活用と、環境保全に力を入れた事業を展開している企業です。

プラント業界の平均年収

ここまでプラント業界の仕事の内容や流れ、有名企業を紹介してきましたが、次は業界の平均年収を紹介していきます。

プラント業界の正社員の平均年収は約549万円といわれており、日本の平均年収よりも高い水準となっています。プラント業界は他の業種と比べ勤務先が多様なため、経験や資格、働く地域によっては高い水準の年収を期待できるでしょう。

また、大手企業となると海外での事業やハードワークが続くため、残業代や手当などが多くなりさらに平均より高い水準となるケースもあります。

プラント業界の現状と今後の展望

現在の国内プラント業界は成熟期を迎えており、新規の建設が多い状況とは言えません。しかし、海外に目を向けると新興国等でのエネルギー需要の高まりや脱炭素社会の動きがあり、プラント事業のニーズは高い傾向にあるといえます。

今後は海外での案件が増え、売り上げも海外での受注の割合が増えると見込まれています。

巨大なプラントは社会・経済に大きな影響がある

プラント事業はエネルギー資源や医薬品などの生産、発電や製鉄の管理なども行うため、人の生活に密接した仕事です。

ビジネスとしてのスケールも大きく、動くお金もさることながら、電気や浄水機能がない国に恩恵をもたらし生活の質を向上させることができます。

プラント事業は、国の経済や社会生活を大きく変えてしまう程の影響力を持っている仕事と言えるでしょう。

環境技術が注目され新規投資が順調

世界でも日本の技術は高く評価されており、中でも再生エネルギーなどの環境技術には注目が集まっています。

浄水処理や廃棄物処理などの環境関連プラントは、近年の環境問題の影響で新興国からの需要も年々高まっています。

プラント業界の課題

日本企業が抱えるプラント業界の問題は、国内での事業拡大があまり見込めない点です。現在、日本では高度成長期に建てられた多くの老朽化したプラントが稼働していますが、その補修や修繕事業も規模としては決して大きいものとは言えません。

課題は、海外での事業展開をいかに拡大していけるかです。事業を活発に行うのはもちろん、海外企業との競争に勝つための人材確保などがさらなる課題と言えるでしょう。

プラント業界に向いている人はどんな人?

プラント業界は我々の生活に必要不可欠な存在でとてもやりがいがある魅力的な業界ですが、目指す上では難しい業界だともいえます。

また、ハードな仕事も多く業種の幅も広いためしっかりと業界研究を行う必要があります。では、実際にどのような人がプラント業界に向いているのか紹介していきましょう。

  • 大きな規模の仕事がしたい人
  • 安定よりもやりがいを求めたい人
  • 人付き合いが得意な人

大きな規模の仕事がしたい人

プラント事業は巨大な建築物を取り扱うため、言葉の通り大きな規模の仕事をしたい方にはとてもやりがいを感じる業界です。自身が携わったプラントが完成した際には、その大きさに達成感や感動を覚えるでしょう。

また、国内プラント業界としては市場を世界に向けているため、日本にとどまらず世界で大きく仕事がしたい方にも向いている仕事でしょう。

安定よりもやりがいを求めたい人

プラント事業は規模が大きく、さらには自然を相手にすることも多いため、計画通り工事が進まないことも数多くあります。スケジュールも工期によって左右され、勤務地も業種によっては安定性があるとはいえません。

その分、自分が携わった仕事が誰かの生活に直結し、国の発展に貢献できる喜びを味わえるのもプラント事業ならではのことです。

また、完成したものが形として目に見えてわかるため、達成感を実感しやすく、それまでの努力が形として評価されるのはとてもやりがいを感じられる環境だといえます。

安定よりもやりがいがバイタリティになる方には、うってつけの仕事でしょう。

人付き合いが得意な人

個人で行う職人気質な仕事もありますが、プラント事業のほとんどはチームワークが基本です。工事も様々な専門分野の業者で引き継いで行われ、それぞれを取りまとめるためにもコミュニケーション能力が必須になってきます。

個人で何かを作り上げることよりも、みんなで何作り上げることに喜びを感じる方には向いているでしょう。

プラント業界の志望動機例

プラント業界は、ビジネスのスケールが大きいため関わる業種も様々です。プラントの分野や勤務地も多様なため、希望する企業の特色や理念などをしっかり調べる必要があります。

自分の目指したい分野や職種を見極めて、自分が貢献できるポイントをアピールしていきましょう。

コミュニケーション力・語学力を踏まえた例文

私は貴社のプラントエンジニア技術を活かし、発展途上国のインフラ整備に貢献したいと考えております。

学生時代にアフリカにボランティアへ行った際、現地で暮らす方々の生活の状況や悲痛な叫びをこの目や耳で感じ、技術さえあれば救える命や夢があることを目の当たりにしました。

私は貴社の浄化水プラントがあれば、アフリカで見た子供たちの生活や人生を豊かに変えられると考えています。

私は留学で培った語学力とコミュニケーション能力で、現地の方と貴社を繋ぐ架け橋となり発展途上国の生活を豊かにするために尽力していきたいです。

プラント業界について理解を深めよう

プラント業界は、スケールが大きく多種多様な業種が携わる業界です。建築する建物の大きさや動く金額、携わる人数、与える影響もとても大規模なものになります。その分、プロジェクトを終えた後の達成感もとても大きくやりがいのある仕事です。

プラント業界に興味がある方は、この記事を参考に理解を深めていきましょう。

柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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