はじめに
自己犠牲の精神とは、自分のことを後回しにしてまで相手を助けてしまう人柄のことです。
「これをESや面接で長所として取り上げるのは変だ」と思う方もいるかもしれません。
人の特徴は一長一短です。
長所は短所と捉えることができ、短所は長所にもなり得ます。
今回は、自己犠牲という特徴に注目して、どう長所としてアピールできるのか解説します。
短所と認識されないためにはどうすれば良いか、またどのように自己犠牲を長所としてアピールすると良いのか、例文とあわせて参考にしてください。
自己犠牲とは
自己犠牲とは、自分のことを放置してまで相手を優先させることです。
また設定された目的、あるいは他人のために、自分の時間などのリソースを割くこと、といった言い方もできるでしょう。
つまり、目的や他人を自分より優先して行動する人のことを指します。
その言葉通り、自分を犠牲にして物事へ取り組むケースが多い傾向にあります。
そのため、ストレスを感じやすいケースもあるため、注意が必要です。
しかし、面接での自己PRと考えると、十分長所になり得る特徴であると考えられます。
なぜなら目的を遂行するため、あるいは他者との調和を維持するために、自己を抑えつつ言動できる人材は、企業にとっては欠かせないポジションと言えるからです。
自己犠牲が長所としてあげられる理由
「自己を犠牲にする」と言うと少しマイナスなイメージを持たれるかもしれませんが、そうとは限りません。
むしろさまざまな長所へ関連付けられます。
ここでは、自己犠牲をどう長所としてアピールすると良いのかを解説します。
・周りを見て行動できる
・物事に対して熱心に取り組める
・争いごとを起こさない
このような3つの理由をあげられますが、いずれも仕事するうえでは欠かせない特性です。
なぜなら、周囲との調和を大切にしながら業務をこなすことにつながるためです。
周りを見て行動できる
自己犠牲を行う場合、その犠牲先を見つけることが欠かせません。
そのため、自己犠牲を長所とする人は「見つけることがうまい=周りが見えている、独りよがりにならない」性格だと考えられます。
ほかにも、周囲の状況を正確に判断できる、周りを見て行動できるなどと表現することも可能です。
周囲を冷静に見て判断し、行動できるのは組織で求められる重要な資質の1つです。
いくら行動力があったとしても、独断的に物事を進めたのでは、良い結果に結びつけるのが難しいと言えます。
目的を達成するためにどう折り合いをつけるのかを考えられるのが、自己犠牲の精神を持つ人の強みと考えられます。
単に「自己犠牲」として表現するのではなく、具体的なエピソードを取り上げつつ「周りを見て行動できる」ことをアピールするのも有効です。
物事に対して熱心に取り組める
自己を犠牲にしてまで、目的達成を目指すのが強みとも考えられます。
それは途中で簡単に諦めたりはしない傾向にあるということです。
物事に対して熱心に取り組めること、また粘り強さなども自己犠牲の精神による長所だと言えます。
業務を遂行するにあたって、物事に対する取り組み方は重要です。
物事に対して熱心に取り組めることは、仕事をするうえで活かせるスキルであるため、そこに焦点を当てて自己犠牲の特徴をアピールすると良いでしょう。
これまであなたが最後まで諦めずに熱心に取り組んだ事柄を振り返りつつ、どうアピールするのか考えてみましょう。
何に対してどう向き合ったのか、その結果どうなったのかなど、具体的に示すことが大切です。
争いごとを起こさない
自己犠牲の精神があることを長所とする人は「争うくらいなら、自分が頑張って犠牲になる」と考える傾向にあります。
争いごとを回避できる人は、組織内で波風を立てることが少ないと認識されます。
それはつまり、協調性がある人物だということです。
当然のことながら協調性は、社会人スキルとして欠かせないものです。
ただ「協調性がある」と表現してしまうとありがちな内容となってしまうため、自己犠牲の精神と関わらせつつ述べるとアピールしやすくなります。
この場合も、具体的なエピソードをふまえて、自身がどのような考えのもと他者を尊重してきたのか伝えると良いでしょう。
「面倒なことを回避するため」だと捉えられてしまわないようにPRするのが大切です。
自己犠牲が短所にも聞こえてしまう
自己犠牲を長所としてアピールするにはどう表現すると良いかについて、ここまで紹介してきました。
周囲を見て行動できることや物事に熱心に取り組むこと、争いごとを回避できることなど、ESや面接において十分アピールできる特徴となり得ます。
ただし、PRの仕方や表現によっては短所だと認識されてしまうケースがあるため、注意しましょう。
・お節介だと感じられてしまう
・芯がない人だと思われる
・自分に自信がないと思われる
上記のようにマイナスに捉えられないような配慮が必要です。
お節介だと感じられてしまう
自分を後回しにしてまで他人を助けたりサポートしたりすることは、伝え方によっては、お節介だと感じられてしまう可能性もあります。
「なんでもやりたがってしまう」という点では、積極性や親切心以上に、お節介な人間だと思われるかもしれないということです。
すぐに手を差し伸べて手伝う前に、相手が本当に助けを必要としているのか否か見極めたうえで、行動に移しましょう。
自己犠牲の精神で他人の手助けができることを長所として示す場合には、どのような状況下で、またどういった考えのもと、サポートに回ったのかを説明するのが大切です。
周囲を見て的確に判断したうえで、自分のことよりも他者を優先して物事に取り組んだことを示すのがポイントとなります。
芯がない人だと思われる
自己犠牲の精神が強い人は、自分が我慢して仕事を引き受けてしまうケースが少なくありません。
自分が我慢したり、自分を押し殺したりしているといったイメージをもたれると、自分の意見がない人だと認識される可能性があるため、注意が必要です。
グローバル社会である昨今では特に、芯がない人や自分の意見をもたない人、自己主張ができない人だと思われるのはマイナスとなってしまいます。
人を助けることは大切ですが、ときには断ることも必要だときちんと認識しておくことも重要です。
また状況と難易度によっては断れることも一言添えておくと良いでしょう。
状況や立場を適切に判断したうえで、自己犠牲にもとづく行動ができることをアピールすると効果的です。
自分に自信がないと思われる
自己犠牲の精神が強い人の中には、自分に自信がないことからサポート役に回ろうとする人も少なくありません。
自ら考え行動するのが難しいために、なんでも人の役に立とうとしてしまうケースがあるということです。
短所として見なされないようにするため、自分に自信があるからこそ、人を手伝ったり目的の遂行に注力したりできるとアピールしましょう。
あくまでも自信を持っているからこその行動だというスタンスで、自己犠牲を長所としてアピールすれば問題ありません。
面接で伝える際には、相手の目を見てゆっくりハキハキと話すなど、行動でも示すことで伝える内容にも説得力をもたせると効果的です。
そのためには、長所を伝えるための文章構成やその内容をきちんと練っておくことも大切です。
自己犠牲を長所として伝える際のポイント
伝え方によっては、自己犠牲が短所として受け止められてしまう可能性も否めません。
自己犠牲は、社会人スキルとして有効な特徴であるにもかかわらず、マイナスに捉えられてしまっては本末転倒です。
そのような事態を避けるためには、何をどう伝えるのかが重要と言えます。
ここでは、自己犠牲を長所として伝えるためのポイントについて解説します。
文章構成の方法と、具体性を持たせること、この2点を押さえておくと良いでしょう。
PREP法を使う
PREP法は文章構成の手法のことです。
・POINT(=要点)
・REASON(=理由)
・EXAMPLE(=例)
・POINT(=要点・結論)
上記の流れで構成します。
要点を端的に伝えられるため、共通認識がない相手にも伝わりやすいのが特徴です。
冒頭で結論となる要点を提示したうえで、それを裏付ける根拠や具体例を説明していきます。
そして再度、要点や結論をまとめて文章を締めくくります。
始めに結論を述べることや、最初と最後に2回要点を繰り返すことにより、自分の主張したいことが相手に伝わりやすいのが利点です。
また、PREP法を用いて文章を考えると構成がシンプルになり、作成しやすい点もメリットとしてあげられます。
具体的なエピソードを添える
長所をアピールする際は、具体例も添えて伝えましょう。
長所や理由を示すだけでは、決して説得力が高い内容とは言えません。
「自分の長所は何か」「なぜそのように考えるのか」、それらを裏付けるものとして、具体例を取り上げます。
すると相手も内容がイメージしやすくなり、長所としてアピールしたことをそのまま、長所として受け止めてもらえます。
ほかの学生との差別化をはかるためにも有効です。
また具体例を用いて理由説明すると、客観的に述べるスキルや自己分析力、文章力などをアピールすることにもつながります。
また自身の体験を振り返ることで、自分の本当の強みや長所、どこに焦点を当てて自己PRすると良いのかが見えてくるのです。
自己犠牲を長所として伝える際の例文
なぜなら、困っている人をそのままにできないからです。
私はその長所を、インターン先で同期が締め切りまでに資料を作り終えられないというときにあらためて実感しました。
はじめて、実際の社員の方と一緒に働く機会であるインターンシップでは、私自身も決して余裕があるわけではありませんでした。
もちろん私を同じように資料作りに困っている同期がいたため、その状況を見過ごすことができず、自分の時間を割いて同期の作業を手伝うことにしたのです。
その結果、同期のプレゼンは高評価を得ることができました。
このように、私は困っている人をただ傍観するだけではなく、手を差し伸べるという自己犠牲の精神が長所だと考えます。
おわりに
自己犠牲とは、自分のことを後回しにしてまで相手を助けてしまうことです。
周りを見て行動できる・物事に対して熱心に取り組める・争いごとを起こさない、といった長所としてアピールできます。
ただし伝え方によっては、お節介だと感じられてしまう・芯がない人だと思われる・自分に自信がないと思われるなどと短所として捉えられてしまう可能性もあります。
自己犠牲をマイナスイメージにしないためには、PREP法を用いることや、具体的なエピソードを取り入れるのが有効です。
紹介した例文を参考にしながら、自身の経験を振り返りつつ、自己犠牲を長所としてアピールしましょう。
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