はじめに
自分の長所は何か、と聞かれてすぐに答えられる人はどのぐらいいるでしょうか。
もしすぐに答えられる場合でも、具体的なエピソードを挙げてくれと言われると困ってしまうかもしれません。
しかし、就活においては長所に関するアピールは必要不可欠であり、面接でも直接質問される可能性があります。
今回はそんな厄介な長所問題への対策として、企業の狙いやアピールに使えるエピソードの探し方を紹介します。
自分の長所がなかなか見つからない、うまく相手に伝えられるか不安という方はぜひ参考にしてみてください。
【長所のエピソード】企業が長所に求めるポイントとは?
それではさっそく長所について考えてみましょう、と言いたいところですが、闇雲に過去の経験や実績について振り返ってみても就活に役立つ長所エピソードは作り出せません。
自身の長所について考える前に、まずは企業側がどういった狙いで長所について尋ねるのかを確認しておきましょう。
就活の選考過程で求められている以上、すべての質問には必ず意味があります。
企業が何を求めているかを把握することで、適切なエピソードが選択しやすくなり、同じエピソードでもより効果的なアピールが可能になるのです。
あなたの人柄
企業が選考を通して知ろうとしていることの一つは、あなたの人柄です。
この点についてはさまざまな項目を通して慎重に把握が行われており、もちろん長所に関するエピソードも例外ではありません。
たとえ能力が優れていたとしても、人柄が仕事内容に向いていない場合や円滑な人間関係を築くことが難しいようでは同じ企業で働く人材としては不適切と判断されてしまうでしょう。
もっとも、長所に関するエピソードでマイナスに捉えられかねない人柄をアピールする方は少ないかもしれません。
そのため特に注意するべきなのは、能力や結果ばかりをアピールして自分の人柄を伝え忘れてしまう事態です。
長所のエピソードを選ぶ際はその内容から自身の人柄がどんな風に伝わるかも考えてみると良いでしょう。
企業にマッチしているか
企業が長所を通して知りたがっている2つ目のポイントは企業とのマッチ度です。
同じ業種や業界でも企業によって社風や職場の雰囲気は異なります。
就職後のキャリアプランや将来設計なども、それぞれ異なってくるでしょう。
こういった点でミスマッチが起こっていると、人柄や能力が適していたとしても企業に馴染めず早期退職につながりかねません。
企業としても採用活動に一定のコストをかけているため、早期退職は避けたいのが実情です。
そのため、長所のエピソードを通して企業とどの程度マッチしているかの判断が行われます。
しかし、このポイントを意識しすぎて無理に企業に合わせてもお互いのためにはならないでしょう。
複数のエピソードからどれかを選ぶ際に企業とのマッチ度が高そうなものを選ぶ、といった活用の仕方が良いかもしれません。
入社後に活躍してくれるか
企業が長所から知ろうとしている3つ目のポイントは、入社後に活躍できるかどうかです。
エピソードを通してアピールされている長所が仕事のうえでも役立つものであれば、優秀な人材として認識されやすくなるでしょう。
特にベンチャー企業では即戦力となる人材の採用に力を入れていることも多いため、このポイントはより重要になってきます。
入社後の活躍が可能なことを効果的にアピールするには、まずその企業にどういったスキルが必要とされているかを把握しておかなくてはいけません。
企業研究やインターンなどを通して企業の求める人材を探り、適切な長所のエピソードを選択しましょう。
この際、単に自分のスキルや実績を示すだけでなく、先に紹介した2つのポイントを盛り込むことも重要です。
【長所のエピソード】長所を伝える際の最強の構成
次は長所のエピソードを作成する際に役立つ構成を紹介します。
長所のエピソードでは、わかりやすく伝えること、説得力を持たせることが重要です。
たとえ素晴らしいエピソードがあったとしても、その内容が相手に理解されなければ意味がありません。
先述した企業が着目する3つのポイントを意識したうえで、相手にしっかり伝わる構成を組み立てることが重要です。
今回は失敗しない構成として長所のエピソードを4つのパートに分けました。
それぞれの内容を順番に確認してみましょう。
結論
構成の第一段階は結論です。
いきなり結論というのもおかしな話に思えるかもしれませんが、最初に結論を述べるのは相手に情報をわかりやすく伝えるテクニックとして有効なものの一つです。
この構成では最初に自分の長所が何なのかを明確に述べたうえで次の話へと進みます。
こうすることにより、以降のエピソードのどこに着目すれば良いのかがわかりやすくなります。
珍しい長所の場合は最初にアピールすることで相手の興味を惹くためにも活用できるでしょう。
また、最初に結論を述べることによって話の着地点がわかりやすくなるのも重要なポイントです。
自身にとってもエピソードの整理がしやすくなるので、途中で話が逸れる場合や予定と違う結論で終わってしまう可能性が減ります。
詳細な根拠などは後に述べることになるので、ここではシンプルに長所だけを伝えると良いでしょう。
根拠
最初に結論として長所が何かを伝えた後は、それを自身の長所だと考える根拠を述べていくことになります。
根拠としては自身が経験したエピソードを挙げることが有効です。
自分がどのような経験から長所に気付いたのか、その長所のためにどのような成果を上げたのかといった点を具体的に伝えましょう。
根拠を述べる際に注意したいのが、エピソードの解像度です。
「バイトを頑張った」「大学の成績が良かった」といったふんわりとしたエピソードでは根拠が不確かな印象を与えてしまいます。
一方、自分にしかわからない固有名詞を用いることや詳細なデータばかりを述べて全体像がわかりにくくなってしまっても意味がありません。
しっかり長所の根拠が伝わるのかを考えてエピソードを選び、情報の取捨選択を行いましょう。
入社後にどのように活かすのか
次の段階では自身の長所を入社後にどう活かせるのかアピールしていくことになります。
長所そのものはあくまで人それぞれの個性なので、重要なのはそれをどう活用するかという点なのです。
ここをうまく伝えるには、まずその企業の業務や求める人材を知っておかなくてはいけません。
入社後の仕事や担当したい業務、将来のキャリアプランについて考え、自身の長所とどういった関連が持たせられるか考えておきましょう。
あまり一般的でない長所を選択した場合でも、この段階でうまく入社後の活躍につなげる理論が構築できれば、発想力や柔軟な考え方といったポイントで評価を得られます。
アピール可能な長所が複数ある場合は、入社後の活用プランが描きやすいものを選択するのもおすすめです。
結論
長所の根拠と入社後の活かし方をアピールした後は、最後に改めて結論を述べます。
最初の結論は相手が知りたい情報を先に伝えるためのものでしたが、最後の結論はまとめとしての意味合いが強いものです。
ここまでの内容を整理して説得力を持たせたうえで最初に述べた具体的な長所に立ち戻りましょう。
あくまでまとめなのでほかの構成と比較して文量は少なくなるかと思いますが、重要なのは締めくくりとして全体の整合性をチェックすることです。
もし結論をまとめた際に全体の流れや説得力に疑問を感じるようであれば、根拠のエピソード選びや長所そのものの見直しが必要になるでしょう。
また、話題が混在していると内容が伝わりにくくなるので、各段階の構成が明確になっているかをチェックすることも大切です。
【長所のエピソード】エピソードの見つけ方
ここまでは企業が長所に求めるポイントと、長所のエピソードを就活で使う際に役立つ構成について紹介しました。
これらの内容を活用すればエピソード選びや構成で失敗することは少なくなるでしょう。
次はいよいよ具体的な長所のエピソードを探す方法を紹介します。
アピールできる長所が多く見つかれば、企業によってそれぞれに合ったものを選択することも可能です。
すでに長所が見つかっている方も、より就活向きの長所が見つかる可能性もあるのでぜひ参考にしてみてください。
自己分析
長所を探す際には何よりも先に自己分析が必要になってきます。
自己分析とはつまり過去の自分を振り返ることです。
長所は自身の行動や成果などから分析し気付きを得るものなので、まずは自分が自分自身のエキスパートだと胸を張って言えるようになるまで自己分析を続けましょう。
人間は常に自分自身のことを客観視できるわけではないので、改めて振り返ってみると見逃していた多くの気付きが生まれます。
最初から長所を見つけるのではなく自身のことを振り返るという視点でさまざまなエピソードを思い出してみると良いでしょう。
自身の過去を一つひとつ具体的に振り返るのは気恥ずかしい思いがあるかもしれませんが、自己分析は長所のエピソードを考える以外にもさまざまなケースで役立ちます。
他己分析
長所を見つけるうえで自己分析と並んで重要になるのが他己分析です。
他己分析とは自分のことを他の人から分析してもらう手法を指します。
自己分析の項でも少し言及したように、自分自身を客観視するのは簡単ではありません。
場合によっては良いエピソードを思い出せたとしても、それが長所につながるとは認識できないこともあるでしょう。
そういった際に他人の意見を聞き、外からの視点を入れることで新しい気付きが生まれます。
あまり深く分析してもらえない場合でも、率直な印象を知ることは自己分析するうえで参考になるでしょう。
また長所が見つかっている場合でも、自分自身だけで考えた長所が他人からも同意を得られるとは限りません。
その長所について他人の印象を聞き、自身の考えとズレが生じていないか確認することも重要になってくるのです。
思いつく限りのエピソードを書き出す
長所に関するエピソードを探す際に重要なのは、頭の中だけで取捨選択を行うのではなく、思いつく限りを実際に書き出してみることです。
自己分析をしているとさまざまな経験やエピソードが掘り返されてくるので、それを思考だけで整理するのは簡単ではありません。
脳内の情報を紙やテキストデータ上に一覧として出力することでエピソードの比較や整理がしやすくなります。
また、書き出しておけば時間をおいてから見返すことも可能です。
後で見直すことで最初は気付かなかった新たな長所が見つかることもあるでしょう。
他己分析をお願いする場合でも、こちらが思いついている長所やエピソードを書き出して提示することで相手の負担を軽減することが可能です。
手を動かすだけでも思考は整理しやすくなるので、ぜひ試してみてください。
【長所のエピソード】そもそも長所が思いつかない時の対処法
さて、ここまでは長所のエピソードを探す基本的な方法を紹介してきました。
しかし、自己分析や他己分析を行っても、なかなか長所のエピソードが見つからない方もいるでしょう。
考えているうちに本当にそれが長所と呼ぶべきなのかわからなくなり、長所が見つからないことで自信を失ってしまうこともあるかもしれません。
そこで最後は長所のエピソード作りで詰まってしまった際の対処法を紹介します。
少し違った視点から分析を行うことで、長所のエピソードを見つけましょう。
好き・得意なことから考える
最初の対処法は自身の好きなものや得意なことから長所を探すことです。
得意なことを分析すれば自身の持っているスキルや強みが見えてくる可能性があります。
好きなことに目を向ければ、自身の好みや興味の対象を把握することができるでしょう。
もしそれが長い時間をかけたものであるなら、関連するエピソードや体験も多く見つかるかもしれません。
あるいは、長い間継続したこと自体を長所として解釈することも可能です。
すぐに好きなことが思い浮かばない場合は、まず自分の周りを見渡しどういうものにお金や時間を使ってきたのか考えてみると良いでしょう。
自分にとっては身近すぎて意識していなかった趣味や特技が、実は長所として十分な強みを持っているというケースは少なくありません。
短所から考える
次の対処法は逆に短所から長所を考えるというものです。
これは一見奇妙に思えますが長所と短所は表裏一体であり、短所が捉え方次第で長所となるケースも少なくありません。
長所がなかなか見つけられず、逆に短所ばかり思い浮かんでしまう方には特におすすめの方法です。
たとえば、「臆病で新しい物事がすぐに始められない性格」はそのままだと短所とみなされるでしょう。
しかし、視点と言葉を少し変え「行動する前に物事を深く考え、適切なリスク回避できる性格」と言い換えればそれは立派な長所となります。
自身の短所がはっきりしている場合は、そのポジティブな言い換えを考えてみましょう。
場合によっては「短所による失敗が起こらなかったケース」を「長所で成功したケース」と捉えることも可能です。
企業の求める人物像から考える
最後の対処法はやや裏技的なものになりますが、企業の求める人物像から逆算し自身の長所を見つけるやり方です。
この方法を使う場合は、まず企業が求める人材についての調査が必要になります。
HPの情報などからしっかり研究を行い、企業についての理解を深めておきましょう。
この際に重要となるのは、企業が求める人物像と自身の共通点を見つけることです。
複数の長所が見つかっている場合でも、共通するポイントはより効果的な長所として活用できます。
一方、共通点が見つからないからといって嘘の長所を作り上げることや無理に企業側に合わせるのはNGです。
そういったごまかしはボロが出やすく、就職できたとしてもお互いのメリットとならないケースが多いので、あくまで自身の長所を見つけるための取っ掛かりとして使いましょう。
おわりに
長所のエピソードを考える際に重要なのは自身の経験を肯定的に分析することです。
ポジティブな視点で自己分析を行えば同じ経験を考えた際にも長所が見つかり、短所も長所と捉えることができるようになるでしょう。
エピソードの選択が難しい場合は企業が長所に求めるポイントを意識することで、より就活に効果的な長所を選べます。
また、客観的な視点を取り入れエピソードのわかりやすさを確認するために、他人に協力を求めることも重要です。
自分の長所を考えてもらうことに気後れせず、積極的に他己分析をお願いしましょう。
胸を張ってアピールできる長所が見つかれば、それはさらに自信につながります。
なかなか自信が持てず就活への取り組みが停滞しているという方は、最初に長所を見つけてみるのも良いかもしれません。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート