就活を進めていく中で、「電通」の会社名を聞いたことがある学生も多いでしょう。
特に広告業界を目指す学生にとっては憧れの企業だと思います。
この記事では「電通はどんな会社なのか?」「競合と比べてどういった特徴があるのか?」について多角的に解説していきます。
企業研究に是非役立ててください!
電通は広告業界No1企業
電通は総合広告代理店のTOP企業です。
2023年の売上総利益は1.1兆円、120カ国で事業展開をしているという実績から今や国内だけではなく国外でも大きな存在感を放つ企業となっています。
電通の5つの事業内容
テレビCMをはじめ、ありとあらゆる広告を手がける電通。
コンテンツそのものを生み出すだけでなく、企業や商品のブランディング戦略の提案とその実現を果たす役割として、また、広告を出したい企業とその媒体となるメディアの仲介役として、多岐にわたる事業を展開しています。
その領域は、「マーケティング」「デジタルマーケティング」「クリエイティブ」「プロモーション」「メディア」「コンテンツ」「PR」「グローバル・ビジネス」といった8つに分類されています。
その中から5つの領域をピックアップして、それぞれの事業内容を紹介していきます。
クライアントの市場やターゲットを分析し、戦略プランニングを行う事業です。
世の中の価値観や人々の行動の変化をとらえ、潜在的な課題を発見したり、解決策の提案をしたりして、売れ続けるための仕組みを設計します。
クライアントブランドの再定義や刷新、そのビジョンの策定、事業戦略の構築などもこの事業の領域です。
これまでのノウハウを活かした専門的な知識、知見をもとに、さまざまな角度からのコンサルティングを行います。
デジタル化やテクノロジーの進化によって、人々の行動スタイルが大きく変化している今の時代。
その変化に対応するための統合的なデジタルマーケティングが、企業のマーケティング活動にとって最も重要な課題になっています。
それを解決するために、最先端のテクノロジーを活用し、データに基づいた戦略を考えるのがこの事業の仕事です。
オンライン広告やパソコン・スマートフォンの利用データなどを総合的に分析することで、クライアントの新規顧客を発見し、ファン化させるお手伝いをします。
テレビCMやグラフィック広告、Web、インタラクティブコンテンツ(※)など、デジタル/トラディショナルを問わず、さまざまな企画や表現を生み出しているのが「クリエイティブ」事業です。
約900人のクリエイターが、既成概念にとらわれない自由な発想で、アイデアを提案・実現しています。
戦略をメッセージ化することで、人の心をキャッチして動かします。
その実績の例として挙げられるのが、年間で最も優れたクリエイティブワークを行った人を表彰する「クリエイター・オブ・ザ・イヤー」の受賞歴があります。
全30回中28回、電通のクリエイターが選出されています。
※インタラクティブコンテンツとは:見る人や使う人の反応によって内容を変えて提供されるコンテンツのこと
この事業は、購買行動に関わるカスタマー・エクスペリエンス全体の設計、つまり心に残る「体験=エクスペリエンス」を設計し、購買につながる行動を生み出すことを大きな目的としています。
商品やサービスが多様化し、生活者のニーズの個別化が進み、商品の魅力だけで購買を促すことは難しくなってきている今現在です。
店舗や展示会、街頭、デジタルメディアなど、ありとあらゆる場所での体験をデザインし、その体験を通じた企業ブランディングを行っています。
消費者へ効果的にブランドメッセージを届けるために、メディア戦略やメディア企画の立案など、マスメディアやデジタルメディアの最適な活用手法を考える事業です。
媒体社と交渉し広告枠を買い付けたり、「radiko」をはじめとするメディア各社と連携した新規事業を開発したりもします。
視聴者のメディア利用行動を把握して、その心理やニーズを探ることもこの事業の領域です。
長年の経験や、独自のメソッド、ツール、コンテンツ資産を活用して、斬新で旬なメディア企画を開発・実行しています。
電通の募集職種からわかる仕事内容とは
電通が募集している職種は「総合職」「アート職」の2種類。
ここからは、これらの職種で採用された場合、入社後はどのような仕事に就くことになるのかを見ていきましょう。
総合職
「総合職」なら、電通のほぼすべての部署に配属される可能性があります。
たとえば、先述した事業領域に携わる「マーケティング」「デジタルマーケティング」「クリエイティブ」「プロモーション」「メディア」など。
その他にも「ビジネスプロデュース」「メディア・コンテンツ」「ストラテジー」「ビジネス・デジタルトランスフォーメーション」グローバル・ビジネス」といった部署もあり、仕事内容は多岐にわたります。
「営業」を前身とする部署。
従来の営業のような第三者的立ち位置ではなく、クライアントと一丸となってビジネスを開拓し、プロデュースしていくのが仕事です。
チームの司令塔として各領域のプロフェッショナルを統括し、リーダーシップを取りながらプロジェクトを成功に導いていきます。
「市場やターゲットを分析し戦略を立て、課題解決のための仮説を立て、チームを導いてゆく職種です。
広告業界の仕事の中でも戦略立案を担当します。
スポーツや映画、音楽など、さまざまなコンテンツに参画し、ときに自らつくりあげる部署です。
各種団体との良好な関係の構築や映画製作委員会への参画、制作会社やプロダクションとの連携などを行うのも「コンテンツ」の仕事です。
オリンピックやFIFAワールドカップなど国内外のスポーツイベントの多様な権利の獲得・保持、BS・CS放送、配信コンテンツの制作や人気キャラクターの運用なども手がけています。
事業共創やイノベーションを生み出す仕事です。
広告にとらわれない幅広いソリューションを提供して、事業レイヤーから変革を生みます。
事業開発を行うコンサルタントというイメージです。
海外進出する日本企業や、日本の市場に注目する海外企業に向け、マーケティングサービスを提供する部署。
145以上の国・地域で展開している海外事業全般を統括する電通イージス・ネットワーク社と連携し、クライアントが持つ課題を解決していきます。
広告主と世界のエンタメコンテンツをつなぐのも、「グローバル・ビジネス」の仕事の1つ。
近年では、スポーツエンターテインメント番組「SASUKE」の欧州向けフォーマットを展開しています。
2019年度から新たに設けられるようになった採用枠「デジタルクリエイティブ職」。
急速に進化するメディアやテクノロジーを活用して、広告の領域を超えた"新しい価値"を創出していく職種です。
常識にとらわれないアイデアとテクノロジーを掛け合わせ、これまでにない体験や表現を生み出すのが仕事。
人の心を動かし、行動を促すことで、クライアントの課題を解決していきます。
アート職
「アート職」は、アートディレクターとしての採用枠。
プロジェクトのビジュアルに関わるあらゆる領域で指揮をとり、戦略に則った効果を生み出す役割を担う専門職です。
考えやアイデアを、言葉では表せない美意識や微細なディテールを組み上げることでビジュアル化。
これまでにない表現を世に送り出します。
電通の競合会社
電通の競合について解説していきます。
広告業界は大手からベンチャーまで様々な会社がありますが、その中でも特に電通のライバル会社としてコンペなどでバッティングすることの多い企業について紹介します。
株式会社博報堂
国内総合広告代理店2位の博報堂です。
「電博」と称され、広告業界の中でもTOPの企業です。
博報堂の特徴として、「生活者発想」に基づいた「クリエイティビティ」を強みに、クライアント企業の成長に貢献しています。
また、広告のみならず、ブランド戦略、デジタルマーケティング、PR、クリエイティブなど幅広いサービスを提供し、クライアントの課題解決に対応できる柔軟性と多様性を持っています。
さらに、グローバル展開も進めており、海外拠点を活用した国際的なマーケティング支援も行っています。
こちらの記事では博報堂について詳しく解説しています。是非参考にしてください。
株式会社ADKホールディングス
総合広告代理店3位に位置するのは株式会社ADKホールディングスです。
ADKの強みはコンテンツビジネスです。
例えば『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『仮面ライダーシリーズ』など、誰でも知っているような有名コンテンツに関わっています。
豊富なコンテンツを強みに、国内外のさまざまな企業のブランド価値向上を支援しています。
独自のマーケティング戦略やクリエイティブ力を強みにもち、設立以来国内外の多くのクライアントに対して、広告キャンペーン、ブランディング、デジタルマーケティング、プロモーションの提供を行っています。
株式会社サイバーエージェント
オンライン広告を手がけている日本最大のweb広告代理店の株式会社サイバーエージェントも電通のライバル企業です。
web広告代理店業界において、現在でも圧倒的なシェアを保ちながら成長し続けています。
今後も成長が期待されるweb広告業界において、首位を維持し続けているサイバーエージェントは今後も存在感が強まることでしょう。
またインターネット広告事業のみにとどまらず「メディア&IP事業」や「ゲーム事業」も展開しています。
この幅広いビジネスの展開もサイバーの強みです。
以下の記事ではサイバーエージェントについて詳しく解説しています。是非参考にしてください。
電通の競合他社との違い
「広告界のガリバー」という異名を持つ電通。
業界最大手の企業なので、社内で扱う案件には規模の大きなものもたくさんあります。
そのため早い段階から、やりがいのある大きな仕事に関われる可能性も高いです。
また、環境の変化に柔軟に対応する経営戦略も大きな強み。
近年急速な成長を見せているデジタル領域への進出や、グローバル化もどんどん加速度を挙げ拡大しています。
世界を舞台にしたビジネスの展開
2013年、世界各国に拠点を持っていたイギリス系の大手広告代理店・イージス社を買収。
海外事業の運営を統括する「電通イージス・ネットワーク社」を発足させました。
以来、日本の他145以上の国と地域で広く事業を展開しています。
2018年には、売り上げ総利益に占める海外事業の割合は約60%(2018年時点)に。
世界第5位の広告代理店となり、国内の同業他社を大きくリードしています。
体育会系の社風
体育会系と言われる電通の社風を象徴するものとして有名なのが「鬼十則」
電通を急成長させ、広告の鬼と呼ばれたかつての経営者・吉田秀雄による遺訓で、電通社員として仕事をする上での心得が挙げられています。
社員同士の関係はというと、年次(入社年度)の上下を重んじるタテ社会で、"年次の違いは海よりも深い"とも言われるほど。
飲み会や接待などでのマナーにも厳しいと言われています。
テレビ広告との強いパイプ
民間テレビ放送局が開局すると、すぐにテレビ担当部署を設けた電通は、それ以来、各局との強いパイプを持ち続けています。
売上高の約9割を広告収入が占めるテレビ局。
多くの局の収入となっているのが、電通が代理店となって確保したスポンサーからのものだと言われています。
キー局の中には、電通の占有率が50%を超えるところも。
首都圏のみならず、地方局においてもなくてはならない存在となっています。
電通の求める人物像とは
多数の人とチームを組んで1つのプロジェクトに取り組んでいく広告業界で大切なのはコミュニケーション力。
クライアントとのやり取りの中から顧客のニーズや課題をくみ取り、効果的な戦略を立てて提案するためにも、それをチームのメンバーと共有し、戦略に則った企画や表現を生み出すためにも欠かせない能力です。
また、主体的に物事を考え、問題を解決するために考える力、最後まであきらめずやり遂げられる力も必要。
電通では、それを実現できる以下のような人物が求められています。
チャレンジ精神がある
まず挙げられるのが、旺盛なチャレンジ精神を持っていること。
次に紹介する点とも関連することですが、今まで誰も見たこともないような企画や表現を生み出すためには、新しいことや難題に挑戦しようという志が必要不可欠。
事業領域も多岐にわたるため、どんなことにも興味を持ち、一からチャレンジしていける人物が求められています。
ないものを作り出すのが得意
広告代理店にとっての商品とは、社員の持つ創造力です。
電通では「Good Innovation」を企業理念として掲げ、技術革新だけでなく、人や世の中に新たな価値や変化をもたらす幅広い意味での「イノベーション」を生み出すことを存在意義としています。
それを実現し得る要素として挙げられているのが、「企業家精神」「アイデア」「技術」の3つ。
クライアントのために力の限りを尽くし、人を驚かせるアイデアを提案し、磨き上げられたテクニックでそれを実現する。
そんな力が求められています。
ストレス耐性がある
激務で知られる電通では、忙しさについていけるストレス耐性も求められています。
ハードな仕事内容に加え、クライアントとの飲み会・会食などの接待に参加することも多々あり、精神的にも身体的にもタフであることが大切。
苦しい状況にあっても、それを自分にとってプラスにとらえられるポジティブさもそれにつながる要素です。
電通の働く環境
続いて電通の働く環境について解説します。
業界1位ということで、待遇面や労働環境が気になる方も多いでしょう。
ここでは電通の働き方について5つの項目から解説していきます。
年収
電通の平均年収は1,589万円(平均年齢: 45.4歳)です。
日本の平均年収が460万円なのでかなり高水準であることが分かります。
業界2位の博報堂は平均年収は1,158万円(平均年齢: 41.3歳)なので業界内でもかなり高い年収であることが分かります。
初任給も355,300円と平均初任給23 万 9078 円(大学卒)なのでかなり高水準なことが分かります。
年収面でもさすがトップ企業と言えるでしょう!
福利厚生
電通は福利厚生も大充実です。
一般的な福利厚生に加えて、格安の社員食堂がある他、格安でジム・スポーツクラブを利用できます。
また育児支援にも力を入れています。
育児サポートでベビーシッター利用のサポートもある。
英会話やセミナーの無料レッスンなど社員の成長をサポートするサービスもあります。
また特徴的な福利厚生に、1年に1度の「ファミリーデー」と呼ばれる制度があります。
これは3つのテーマパーク(東京ディズニーリゾート、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、ナガシマスパーランド)のいずれか希望のパークに、無料で行くことができる福利厚生です。
転勤などによる借上社宅制度や住宅の購入やリフォームなど住宅に係る特典を受けられるサービスはありますが、家賃補助はありません。
補助として支給されるのではなく、給料に含まれているイメージです。
残業時間
平均残業時間は46.0時間です。
平均が月14時間なのでかなり激務であることが分かります。
また一般的にホワイトと言われる企業の平均残業時間が月20時間であるため、残業時間の面ではかなり厳しいことが分かります。
全体的に見れば厳しい一方、業界2位の博報堂では平均残業時間が66.4時間であるため、多少は働きやすい環境であるでしょう。
また最近は残業時間が減ってきている傾向にあります。
離職率
全社離職率で6.07%、1〜3年目の第二新卒と言われる社員の離職率3%です。
日本全体の離職率の平均は13.9%、1〜3年目新卒社員の離職率の平均は32.3%であるため、かなり低い水準であることが分かります。
確かに残業時間は長いですが、高い給料と手厚い福利厚生に満足している社員が多いことが分かります。
勤続年数
電通の平均勤続年数は14. 7年です。
日本に平均勤続年数は12.7年であるため平均よりも若干長いことが分かります。
また広告代理店の平均勤続年数は11.7年であるため、他社よりも長く働く人が多いことが分かります。
電通は「ブラック」?
「電通」と検索すると「ブラック」「やばい」と出るため、不安に感じる学生もいるでしょう。
この見出しでは、なぜブラックと言われるのか?その理由について解説していきます。
①激務
電通は激務です。
先ほどの項目でも解説したように、電通の残業時間は平均よりも長いことが分かります。
2015年電通の社員の方が過労死によって自殺した事件を覚えている人も多いでしょう。
しかし、事件以降次第に残業時間は減ってきています。
参考までに2022年は残業時間13.2時間(所定外時間)となっています。
電通は労働時間が7時間であるため、他社よりも所定労働時間は短いです。
そのため残業時間が多少長くても8時間労働で考えるとそこまで長くはないと感じる人もいます。
②退職率が高い
ネット上には業績の悪化などを受けて優秀な社員が次々と退職しているのではないかという声があります。
しかし、実際は自己都合による退職率を確認すると5%程度の水準です。
そのため離職率は高くはありません。
人気企業「電通」への内定を獲得しよう!
就職活動をする上で、企業研究は欠かせないステップです。
どれだけ企業のことを理解できているかが、内定を勝ち取れるかどうかを左右するといっても過言ではありません。
誰もが知る企業だけに新卒の就職先として人気の高い電通は、非常に狭き門。
できる限り早めに取り組んで、しっかりと研究しておきましょう。
就活市場では他にも業界研究や企業研究についての記事を多く掲載しています。
是非参考にしてください!
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