SPIの非言語で毎年のように出題される「損益算」は、公式と頻出パターンさえ押さえれば短時間で得点源にできる分野です。原価・定価・売価・利益といった用語が入り混じるため難しく感じますが、計算そのものは中学レベルの割合の延長にすぎません。
この記事では、2028年3月卒業予定の大学3年生(28卒)のあなたに向けて、SPI損益算を得点源に変えるための公式早見表と、原価・定価・割引という頻出3パターンの解き方を、例題つきで一つずつ丁寧に解説します。
いまは2026年の夏。サマーインターンの選考が本格化し、秋(9〜11月頃が目安)にはインターン経由の早期選考も動き始めます。Webテストや適性検査でSPIを課す企業は多いため、損益算のような頻出テーマを早いうちに固めておくと、後々の対策がぐっと楽になります。
「公式を覚えても文章題になると解けない」「本番で時間が足りなくなる」という悩みを持つ人でも、この記事を読めば解き方の型(テンプレート)が身につき、初見の問題でも手が止まらなくなります。
- 損益算の基本用語(原価・定価・売価・利益)の関係と、覚えるべき公式早見表
- 頻出3パターン(原価を求める・定価を求める・割引後の売価を求める)の具体的な解き方
- 例題を使った計算過程を一行ずつ追う実戦トレーニング
- 本番で時間を短縮する速解のコツと、やりがちなミスの回避法
- 大学3年生(28卒)で、サマー・秋インターンや早期選考に向けてSPI対策を始めたい人
- 公式は知っているのに文章題になると解けなくなってしまう人
- 損益算に時間を取られてしまい、本番で解ききれない人
目次[目次を全て表示する]
SPIの損益算とはどんな問題か
まずは損益算がSPIの中でどんな位置づけの問題なのか、どんな用語が登場するのかを整理します。全体像をつかむことで、後の解法がすんなり頭に入ります。
損益算はSPI非言語の頻出テーマ
損益算とは、商品の仕入れ値(原価)と売り値(売価)、そこから生まれる利益や損失を計算する文章題です。SPIの非言語分野では、割合・比・料金の計算などと並んで出題頻度が高いテーマの一つとされています。
出題形式はテストセンター・WEBテスティング・ペーパーテストいずれでも見られ、単独で1問出ることもあれば、割合の問題の一部として組み込まれることもあります。パターンが決まっているため、対策すれば確実に得点しやすいのが特徴です。
難しく見えるのは、原価・定価・売価・利益という似た言葉が同時に出てくるからです。逆に言えば、これらの言葉の関係さえ図で整理できれば、あとは割合の計算をするだけになります。
まず押さえる4つの基本用語
損益算では次の4つの用語が繰り返し登場します。この言葉の意味を取り違えると、公式を知っていても答えがずれてしまうため、最初にしっかり区別しておきましょう。
原価(仕入れ値)は、お店が商品を仕入れたときの値段。定価は、原価に利益を上乗せして「これで売ろう」と決めた値段。売価(売値)は、実際に売れたときの値段で、定価から割引されることもあります。利益は、売価から原価を引いた儲けを指します。
ポイントは、「利益や割引は必ず原価や定価に対する割合で表される」という点です。何を基準(100%)にしているかを毎回確認する癖をつけましょう。
利益と損失の関係
損益算では利益だけでなく「損失(赤字)」を問う問題も出ます。売価が原価を下回った場合、原価−売価がそのまま損失額になります。利益と損失は表裏一体で、売価が原価より高いか低いかで符号が変わるだけです。
たとえば原価1,000円の商品を800円で売れば、200円の損失。逆に1,200円で売れば200円の利益です。問題文が「損をした」と書いていても、計算式は「売価−原価」で統一して考えれば、答えがマイナスになったときが損失だと機械的に判断できます。
この統一ルールを持っておくと、利益と損失が混在する問題でも式の立て方に迷いません。符号の管理だけに集中すればよくなるからです。
「原価 → 利益を乗せて定価 → 割引して売価」という一方向の流れをイメージすると混乱しません。仕入れてから売れるまでの時間の流れと一致しているので、図に矢印を書いて整理するのがおすすめです。
損益算で使う公式早見表
ここでは損益算を解くために必要な公式を一覧にまとめます。丸暗記するより、「基準×割合」という考え方で導けるようにしておくと応用が効きます。
覚えるべき基本公式
損益算の公式は、すべて「基準となる金額 × 割合」の形に帰着します。下の早見表の関係を頭に入れておけば、問題文がどの値を聞いていても対応できます。
| 求めたいもの | 公式 |
|---|---|
| 定価 | 原価 ×(1 + 利益率) |
| 売価(割引後) | 定価 ×(1 − 割引率) |
| 利益 | 売価 − 原価 |
| 利益率 | 利益 ÷ 原価 |
| 原価 | 定価 ÷(1 + 利益率) |
たとえば「原価の2割の利益を見込んで定価をつける」なら、利益率は0.2なので定価=原価×(1+0.2)=原価×1.2となります。「割合を小数に直して1にたす・1からひく」ことがすべての基本です。
割合を小数・分数に直すコツ
損益算では「2割」「15%」「3割引」といった表現が入り混じります。これらを瞬時に小数へ変換できると計算がスムーズです。1割=0.1、1%=0.01と覚え、2割5分=0.25のように分解して考えましょう。
暗算が不安なら分数を使うのも有効です。たとえば「2割引」は5分の4(=0.8)を掛ける、と覚えておくと、割り切れない小数の計算を避けられます。自分が速い方法を選んでください。
基準を取り違えないことも大切です。「利益率は原価に対する割合」「割引率は定価に対する割合」というように、それぞれ基準が異なる点を必ず意識しましょう。
損益算の最大のミスは、利益や割引が「原価基準」か「定価基準」かを取り違えることです。利益は原則として原価に対して、割引は定価に対して計算します。問題文の「〜に対して」の部分に必ず線を引いて確認しましょう。
頻出パターン1:原価を求める問題
1つ目の頻出パターンは、定価や利益から逆算して原価を求める問題です。「割り算で基準に戻す」感覚をつかむのがカギになります。
逆算の考え方
定価は「原価×(1+利益率)」で作られています。したがって定価がわかっている場合、原価はその逆で「定価÷(1+利益率)」で求められます。掛けて作ったものを割って戻す、という発想です。
ここで大切なのは、割る数を間違えないこと。利益率が2割なら1.2で割り、3割なら1.3で割ります。「1+利益率」で割るという形を固定して覚えておくと、迷いがなくなります。
例題1:定価から原価を求める
実際に解いてみましょう。次の例題はこの記事のために作成したオリジナル問題です。
【例題1】ある商品に原価の3割の利益を見込んで定価をつけたところ、定価は2,600円になった。この商品の原価はいくらか。
【解き方】定価=原価×(1+0.3)=原価×1.3という関係が成り立ちます。定価が2,600円なので、原価×1.3=2,600。両辺を1.3で割ると、原価=2,600÷1.3=2,000円です。
検算しましょう。原価2,000円の3割は600円なので、定価は2,000+600=2,600円。問題文と一致するので正解は2,000円です。「掛けて作った定価は、割って原価に戻す」という型がそのまま使えました。
割り算を間違えないための注意
逆算型でよくある失敗は、「定価から利益率ぶんを引いて原価にする」という誤った処理です。2,600円から3割(780円)を引いて1,820円としてしまうと不正解になります。定価は原価の1.3倍なので、引き算ではなく1.3で割らなければなりません。
なぜ引き算ではダメなのかというと、3割の利益は「原価に対する3割=600円」であって「定価に対する3割=780円」ではないからです。基準が原価であることを見失うと、この落とし穴にはまります。
迷ったら必ず検算しましょう。求めた原価に利益率を掛けて定価に戻し、問題文の定価と一致するかを確認すれば、割り算の向きが正しかったかが一目でわかります。
頻出パターン2:定価・利益を求める問題
2つ目のパターンは、原価から定価や利益を求める問題です。パターン1の逆で、こちらは「掛けて上乗せする」向きの計算になります。
利益を上乗せする方向の計算
原価に利益を乗せて定価を決めるのが基本の流れです。定価=原価×(1+利益率)を使えばよく、求めるのが利益額なら「定価−原価」または「原価×利益率」で計算できます。
問題によっては「見込んだ利益」と「実際の利益」がずれることがあります。定価どおりに売れたのか、割引して売れたのかで実際の利益は変わるため、どの段階の利益を聞かれているかを読み取りましょう。
例題2:原価から定価と利益を求める
こちらもオリジナルの例題です。段階を追って計算します。
【例題2】原価1,500円の商品に、原価の4割の利益を見込んで定価をつけた。定価と、見込んだ利益額をそれぞれ求めよ。
【解き方】まず定価を求めます。利益率は0.4なので、定価=1,500×(1+0.4)=1,500×1.4=2,100円。次に見込んだ利益は、定価−原価=2,100−1,500=600円です。
利益は「原価×利益率=1,500×0.4=600円」と直接求めても同じ結果になります。答えは定価2,100円・利益600円。上乗せの方向では「1+利益率」を掛ける、と覚えておけば迷いません。
「利益額」だけを聞かれたら原価×利益率でOK。「定価」を聞かれたら原価×(1+利益率)を使います。求められているのが上乗せ分なのか、上乗せ後の合計なのかを一瞬で判断できると、計算式を立てる速度が上がります。
頻出パターン3:割引後の売価を求める問題
3つ目は、定価から割引して実際の売価を求めるパターンです。ここで基準が原価から定価に切り替わる点に注意しましょう。
割引は定価に対して計算する
割引率は原則として定価を基準に計算します。定価の2割引なら、売価=定価×(1−0.2)=定価×0.8です。「割り引く=1から割引率を引いた数を掛ける」という形で覚えましょう。
複数段階の割引が出ることもあります。「定価の2割引からさらに1割引」といった場合、0.8×0.9のように順に掛けます。0.2+0.1=0.3引き(=0.7を掛ける)としないよう注意が必要です。
例題3:定価・割引・利益をまとめて処理する
3つのパターンを組み合わせた総合問題を解いてみましょう。これもこの記事のためのオリジナル問題です。
【例題3】原価2,000円の商品に、原価の5割の利益を見込んで定価をつけた。しかし売れ残ったため定価の2割引で販売した。このときの利益(または損失)はいくらか。
【解き方】まず定価を求めます。定価=2,000×(1+0.5)=2,000×1.5=3,000円。次に割引後の売価は、定価×(1−0.2)=3,000×0.8=2,400円です。
最後に利益を計算します。利益=売価−原価=2,400−2,000=400円。よって400円の利益が残ります。定価どおりなら1,000円の利益でしたが、割引によって利益が圧縮されたことがわかります。「原価→定価→売価→利益」の順に一つずつ処理するのが確実です。
「2割引したあとにさらに1割引」を「3割引」と処理すると誤りです。1段階目で0.8倍、2段階目でその0.8倍にさらに0.9倍するため、最終的には0.72倍になります。割引は必ず掛け算で重ねる、と覚えておきましょう。
損益算を速く解くためのコツ
本番では時間との勝負になります。ここでは計算スピードを上げ、ミスを減らすための実戦的なコツを紹介します。
原価を1(または100)とおく
原価が具体的な金額で与えられていない問題では、原価を「1」または「100」と仮定すると計算が一気に楽になります。割合だけで答えが出る問題では、この置き換えが強力な武器になります。
たとえば「定価の2割引で売っても原価の1割の利益が出るとき、利益率はいくらか」といった問題は、原価を100として順に計算すれば、具体的な数値で処理できて混乱しません。抽象的な文字式が苦手な人ほど効果的です。
図と流れ図で整理する
問題文を読んだら、まず「原価→定価→売価」の矢印を書き、その上に「×1.5」「×0.8」のように操作を書き込みます。視覚的に整理すると、どの計算をすればよいかが一目でわかります。
頭の中だけで処理しようとすると、基準の取り違えやかけ忘れが起こりがちです。数十秒の図示が、結果的に見直し時間を短縮してくれます。慣れれば図を書く時間はほとんどかかりません。
検算を1手で済ませる習慣
時間が限られていても、答えを出したら一度だけ逆算で検算しましょう。原価を求めたら定価に戻す、売価を求めたら利益を確認する、といった一手で多くのケアレスミスを防げます。
SPIは1問あたりにかけられる時間が短いため、見直しに何分もかける余裕はありません。だからこそ、瞬時にできる検算の型を持っておくことが得点の安定につながります。
選択肢を使った絞り込み
テストセンターやペーパーテストは選択肢式のことが多いため、選択肢を逆算のヒントに使えます。求めた答えの候補を問題文に当てはめ、条件を満たすかを確かめれば、細かい計算を省いて正解にたどり着けることもあります。
たとえば原価を問う問題なら、選択肢の金額に利益率を掛けて定価に戻し、問題文の定価になるものを選べば済みます。全部を正攻法で解くより速いケースがあるので、時間が足りないときの奥の手として覚えておきましょう。
ただし、選択肢が近い数値で並んでいる問題では絞り込みが効きにくいこともあります。基本は正攻法で解き、行き詰まったときの補助手段として使うのが賢い使い方です。
損益算対策の進め方と注意点
最後に、28卒のあなたが今の時期にどう損益算対策を進めるとよいか、実際の勉強の流れと注意点をまとめます。
いまの時期にやるべきこと
2026年の夏はサマーインターンの選考が本番を迎え、秋(9〜11月頃が目安)にはインターン経由の早期選考も動き出します。この時期にSPIの頻出テーマを固めておくと、選考が本格化してから慌てずに済みます。
損益算のようなパターンが決まっている分野は、短期間で伸ばしやすい「コスパの良い」対策です。まずは公式早見表を覚え、この記事の例題のような基本問題を何度も繰り返して型を体に染み込ませましょう。
問題演習で意識したいこと
市販の問題集やアプリで演習する際は、答えの数字だけでなく「どのパターンだったか」を毎回言語化する癖をつけましょう。原価を求める逆算型か、割引の重ねがけ型か、を意識すると初見の問題にも対応できます。
間違えた問題は必ず解き直し、どこで基準を取り違えたのか、どの掛け算を忘れたのかを記録しておくと効果的です。同じミスを繰り返さないためのメモを作っておくと、本番直前の見直し材料にもなります。
また、電卓が使えるWEBテスティングと使えないテストセンターでは、暗算の負担が変わります。志望企業がどの形式を課すか事前に調べ、電卓なしでも1.3で割る・0.8を掛けるといった計算に慣れておくと安心です。
なお、テストのボーダーや通過率、所要時間などは企業や年度によって異なり、公表されていないものも多いため、ここで示す時間感はあくまで編集部推定の目安です。実際の受検では、まず解ける問題から確実に取ることを優先してください。
テストセンターやWEBテスティングでは、非言語1問にかけられる時間は1分前後が一つの目安とされます(編集部推定)。損益算は型が決まっているので、演習では「1問1分以内で解ききる」を意識して時間感覚を養っておきましょう。
まとめ
SPIの損益算は、用語の関係と公式早見表を押さえ、頻出3パターンに当てはめて処理すれば確実に得点できる分野です。難しく見えても、やっていることは割合の計算にすぎません。
本記事では、原価を求める逆算型、原価から定価・利益を求める上乗せ型、定価から割引して売価を求める割引型という3つのパターンを、オリジナルの例題つきで解説しました。いずれも「原価→定価→売価→利益」の流れを一つずつ追うことが解法の型になります。
速く解くには、原価を1や100とおく、流れ図で整理する、一手で検算する、という3つのコツが有効です。演習では答えだけでなく「どのパターンか」を言語化し、初見問題への対応力を高めていきましょう。
損益算は一度型を覚えてしまえば忘れにくく、本番でも安定して得点できる心強い味方になります。焦らず一つずつパターンを潰していけば、必ず得点源に変えられます。
2026年夏のいまはサマー・秋インターンの選考が動く大切な時期です。損益算のような頻出テーマを早めに固め、SPI対策を一歩リードして選考に臨みましょう。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート











