はじめに
普段の生活で直接名前を聞くことは少ないかもしれませんが、橋やトンネル、ダム、都市計画など、地図に残る仕事の「計画・調査・設計」を担うのが建設コンサルタントです。
理系学生を中心に根強い人気を誇りますが、その実態や選考の難易度はあまり知られていません。
専門性が高く、プロフェッショナルな世界であるこの業界の「就職偏差値」を紐解きながら、内定を勝ち取るための戦略をお伝えします。
就職偏差値とは
企業の人気や採用難易度を偏差値形式で数値化した指標です。
学生の間での志望度、企業の採用倍率、業界での地位などを総合的に加味して算出されます。
特に人気企業や大手企業ほど高い数値となる傾向があり、毎年注目されています。
就職先を選ぶ際の目安として活用されることが多いですが、あくまで参考指標のひとつに過ぎません。
建設コンサルタントの就職偏差値ランキング
建設コンサルタントの就職偏差値は、業界全体として非常に高い水準にあります。
特に上位の「総合建設コンサルタント」と呼ばれる企業群は、スーパーゼネコンや国家公務員(土木職)と併願する優秀な学生が多く、激戦区となっています。
その最大の特徴は「高度な専門性」が求められる点にあり、採用のメイン層が理系の大学院卒(修士・博士)であるため、学歴や知識レベルでの競争が激化しやすいことです。
文系職種も枠が極端に少なく、数百倍の倍率になることも珍しくないため、決して侮れない難関業界と言えます。
【建設コンサルタント】SSランク(就職偏差値78以上)
- 国家的インフラ整備を担う高度専門領域で、技術士など上位資格が重視される
- 土木・構造・河川・防災・交通計画など、多様な専門領域でトップ技術者が集結する
- 官公庁案件が中心で、責任の大きい大規模プロジェクトに携われる
- 高度な数理能力・論理思考・プレゼン能力が採用で重視される
【80】日本工営(独立系最大手)
【79】建設技術研究所(河川・防災のトップ企業)
【78】オリエンタルコンサルタンツ(道路・橋梁・都市計画)
SSランクは建設コンサルの中でも国家プロジェクトを担う最上位企業が中心で、専門性・責任ともに圧倒的に高い領域である。
採用選考では研究内容の深さや技術への理解、論理的説明力が細かく評価されます。
国土保全・防災・インフラの質向上など公共性の高い業務が多く、使命感を持って働ける点も魅力です。
若いうちからプロジェクトに関われるため、技術者として飛躍的に成長できる環境が整っています。
【建設コンサルタント】Sランク(就職偏差値75〜77)
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- 大手建設コンサルが中心で、道路・橋梁・港湾・上下水道など幅広い分野を扱う
- 官公庁向けの説明力が求められ、ロジカルなコミュニケーション力が重視される
- 技術職の需要が高く、理系学生の人気が強い領域
- 福利厚生が手厚く、安定的に長期キャリアを築きやすい
【77】パシフィックコンサルタンツ(総合建設コンサル)
【76】八千代エンジニヤリング(環境・防災分野)
【75】復建エンジニアリング
Sランクは国内インフラの中心を担う総合建コンが多く、専門性と安定性を両立した企業群である。
採用ではプレゼン力や資料作成スキルが評価され、研究内容の社会実装力が問われることもあります。
現場と机上設計を行き来しながら経験を積むため、技術者としての成長機会が多いです。
プロフェッショナル志向の学生に特に人気の高いゾーンです。
【建設コンサルタント】Aランク(就職偏差値70〜74)
- 地域インフラを支える中堅建コンが多く、働きながら専門知識を磨ける環境が整う
- 設計・調査・測量など複数領域を経験しやすい
- 自治体案件が多く、社会貢献性の高い仕事に携われる
- 実務を通じて資格取得を目指せるため、技術者の育成が盛ん
【74】日本工営都市空間
【72】エイト日本技術開発
【70】中央コンサルタンツ
Aランクは技術と地域密着のバランスが良く、建設コンサルとして現実的に狙いやすい領域である。
採用では工学的基礎力と、自治体との調整力が重視されます。
公共性の高い案件が多く、仕事の成果が街づくりに直結する点が魅力です。
長く働きながら専門性を磨きたい学生に適したゾーンです。
【建設コンサルタント】Bランク(就職偏差値65〜69)
- 中堅〜小規模の建コンが多く、育成型の技術職ポジションが中心
- 測量・調査・簡易設計などの実務経験を積みやすい
- 地方自治体との案件が多く、地域貢献性が高い
- 専門知識は入社後に学べるため挑戦しやすい
【69】地方測量・調査企業
【67】地域インフラ設計企業
【65】建設現地調査・簡易設計企業
Bランクは実務を通じて技術を身につけるスタイルが中心で、建コン業界の入り口として非常に適した領域である。
選考では専門知識よりも誠実な姿勢やチームワークが評価されます。
地域インフラの更新に関わるため、社会への貢献度が高い仕事です。
働きながら資格を取得し、上位企業へのキャリアアップを目指すことも可能です。
【建設コンサルタント】Cランク(就職偏差値60〜64)
- 小規模事務所や測量会社が中心で、基礎的な技術を学べる
- ルーティン作業が多く、未経験でも挑戦しやすい
- 資格取得支援があり、成長意欲が重視される
- 地域に密着した働き方ができる企業が多い
【64】地方測量企業
【62】中小建設調査会社
【60】地元インフラ点検企業
Cランクは技術への入口として挑戦しやすく、働きながら専門性を高めたい学生に人気の領域である。
採用では経験よりも継続力が重視され、丁寧な作業姿勢が評価されます。
地域密着で安定して働きたい学生には特に適しています。
基礎を身につけた後、A・Sランク企業に移るキャリアアップも狙いやすいです。
【建設コンサルタント】Dランク(就職偏差値55〜59)
- 調査補助・資料整理・測量補助などシンプルな業務が中心
- 未経験採用が多く、人物重視の選考が一般的
- ワークライフバランスを取りやすい働き方が多い
- 専門知識は入社後に習得するスタイルが主流
【59】小規模建設調査企業
【57】地方測量補助企業
【55】地域インフラ点検協力企業
Dランクは建設コンサル業界の補助的業務が中心で、専門知識がなくても挑戦しやすいゾーンである。
採用では協調性や丁寧さなどの人物面が評価されます。
働きながら必要な知識を身につけるため、ゆっくり成長したい学生に向いています。
地域密着企業が多いため、安定した勤務を希望する学生にも適した領域です。
【建設コンサルタント】Eランク(就職偏差値50〜54)
- 測量補助・簡単な点検作業など、シンプルな業務が中心
- 採用倍率が低く、未経験でも入りやすい
- 地域インフラ運営の補助を担う企業が多い
- 働きやすく、長期的な安定を求める学生に向いている
【54】地元測量補助企業
【52】地方インフラ補助会社
【50】建設点検補助企業
Eランクは建設コンサル業界への入口として最も挑戦しやすいゾーンで、未経験者にも門戸が広い。
簡易業務が中心のため、働きながら徐々に専門知識を習得できます。
地域に根ざした働き方が可能で、安定した勤務環境が多い点が魅力です。
経験を積めば資格取得や上位企業へのキャリアアップも十分に可能です。
建設コンサルタントの就職偏差値ランキングから見る業界別の傾向
建設コンサルタント業界の就職偏差値ランキングを見ていくと、企業の規模や得意とする分野、そして成り立ちによって、難易度や求められる人物像が大きく異なることが分かります。
「建設コンサルタント」と一口に言っても、全てのインフラを網羅する巨大企業から、橋梁や河川など特定の技術に特化した職人集団のような企業まで様々です。
また、親会社を持つ系列系企業も独自の立ち位置を築いています。
ここでは、ランキングから読み取れる業界の傾向を4つの視点で解説します。
就職偏差値が高い企業には、それなりの理由と背景があります。
単に偏差値の高い順に受けるのではなく、各企業の「技術的な強み」や「事業の安定性」がどのように評価されているのかを理解することが重要です。
自分が関わりたいインフラは何なのか、どのような働き方を望むのかを照らし合わせながら、業界地図を頭に入れていきましょう。
特にこの業界は、企業ごとの専門分野と自分の研究内容のマッチングが合否に直結するため、詳細な分類を知っておくことは必須です。
総合建設コンサルタント大手がトップを牽引
就職偏差値ランキングの上位を独占しているのは、「総合建設コンサルタント」と呼ばれる大手企業群です。
日本工営、建設技術研究所、パシフィックコンサルタンツなどがこれに該当します。
これらの企業は、河川、道路、ダム、鉄道、都市計画、環境アセスメントなど、インフラ整備に関わるほぼ全ての領域をカバーしており、国内外の巨大プロジェクトを元請けとしてリードする力を持っています。
圧倒的な技術力と実績を持ち、国や自治体からの信頼も厚いため、経営基盤が極めて安定しています。
また、海外ODA(政府開発援助)案件にも強く、グローバルに活躍できるフィールドが整っている点も、優秀な学生を惹きつける大きな要因です。
待遇面でも業界トップクラスであり、福利厚生や研修制度も充実しています。
そのため、土木・建築系のトップ層である旧帝大や有力工科大の院生たちがこぞって志望し、ハイレベルな頭脳戦が繰り広げられます。
ここを目指す場合は、高い専門知識はもちろん、プロジェクトマネージャーとしてのリーダーシップも求められることを覚悟しておきましょう。
鉄道・電力・通信系の「系列系」も人気
大手私鉄やJR、電力会社、通信会社などのグループ会社として機能する「系列系建設コンサルタント」も、安定志向の学生から高い人気を誇り、偏差値ランキングでは上位に食い込んでいます。
例えば、JR東日本コンサルタンツや東京電力設計などが挙げられます。
これらの企業の最大の特徴は、親会社という巨大で安定した顧客(発注者)を持っていることです。
親会社のインフラ設備の維持管理や更新業務が恒常的に発生するため、景気の波に左右されにくく、経営が非常に安定しています。
また、親会社の福利厚生制度に準じているケースが多く、働きやすさや休みの取りやすさといった面で評価が高い傾向にあります。
「ガツガツと新規案件を取りに行くよりも、一つのインフラをじっくり守っていきたい」と考える学生にとっては理想的な環境です。
転勤の範囲も親会社の事業エリア内に限定されることが多いため、ライフプランを立てやすい点も魅力となり、倍率が高くなる傾向があります。
ただし、業務範囲が親会社の事業領域に特化しがちなので、幅広い技術に触れたい人には物足りない可能性もある点は注意が必要です。
特定分野に強い「専門特化型」の実力派
総合系とは対照的に、橋梁、トンネル、港湾、地質調査など、特定の分野に経営資源を集中させている「専門特化型」の建設コンサルタントも存在します。
長大(橋梁に強み)や応用地質(地質調査トップ)などが代表格です。
総合的な知名度では大手に劣る場合もありますが、その分野においては世界レベルの技術や特許を持っており、業界内では「〇〇と言えばこの会社」と一目置かれる存在です。
こうした企業は、自分の専門分野を極めたい「職人気質」の学生や、大学での研究テーマが直結する学生から熱烈な支持を受けています。
ニッチな分野で圧倒的なシェアを持っているため利益率が高く、社員への待遇も大手総合系に引けを取らない優良企業が少なくありません。
採用人数が少ないことが多いため、ピンポイントでその分野を志望する優秀層が集まると、実質的な難易度は総合系大手を超えることもあります。
「何でも屋」になるのではなく、「この道のプロフェッショナル」になりたいという明確な意思を持つ学生にとっては、最高のキャリアフィールドとなります。
「発注者支援業務」中心の企業との違い
建設コンサルタント業界を見る際に注意が必要なのが、「設計・計画」をメインとする企業と、「発注者支援業務」をメインとする企業の違いです。
発注者支援業務とは、国交省や自治体の職員に代わって、工事の監督補助や積算資料の作成などを行う仕事です。
就職偏差値ランキングにおいては、高度な設計技術を要する「設計・計画」メインの企業の方が偏差値が高く出る傾向にあります。
発注者支援業務は現場に近い立ち位置で仕事ができ、公務員に近い働き方ができるため人気はありますが、求められるスキルセットが異なります。
設計職が「ゼロから図面や計画を生み出す力」を問われるのに対し、支援業務は「現場を円滑に回す管理能力」や「コミュニケーション力」が重視されます。
採用ターゲットとなる大学層も広くなる傾向があるため、偏差値だけで判断せず、業務内容をしっかりと確認することが大切です。
自分が「技術的な計算や設計」をしたいのか、「現場でのマネジメント補助」をしたいのかで、選ぶべき企業は全く異なります。
建設コンサルタントの就職偏差値が高い理由
建設コンサルタント業界の就職偏差値が高い、つまり「入社が難しい」とされる背景には、この仕事特有の構造的な理由があります。
それは単に人気があるからというだけでなく、仕事のレベルが非常に高く、誰にでもできる仕事ではないという「参入障壁」の高さに起因しています。
土木工学や建築学、環境学などの専門知を駆使し、何十年も先に残るインフラを作る仕事は、高い倫理観と責任感が求められます。
ここでは、なぜこの業界が多くの優秀な学生を惹きつけ、そして選考が厳しくなるのか、その理由を4つに分けて解説します。
専門性、社会貢献性、そして待遇面など、多角的な視点からその魅力を深掘りしていきます。
難易度が高いということは、それだけ市場価値の高い人材になれるチャンスがあるということです。
表面的な偏差値に怯むのではなく、その裏にある「選ばれた人だけが挑戦できるフィールド」としての価値を感じ取ってください。
圧倒的な専門性と「院卒」中心の採用市場
建設コンサルタントの仕事は、自然条件や社会条件を分析し、物理法則に基づいて安全な構造物を設計するという、極めてアカデミックな要素を含んでいます。
そのため、大学の学部レベルの知識だけでは太刀打ちできない場面も多く、採用ターゲットの中心はどうしても大学院(修士課程)修了者になります。
実際、大手コンサルの技術職採用における院卒比率は8割〜9割に達することもあります。
このように、母集団の学歴レベルが最初から高いため、必然的に就職偏差値も高くなります。
単に頭が良いだけでなく、研究活動を通じて培った論理的思考力や、専門分野への深い知見を持っていることが前提条件となります。
学生時代に学会発表を行っているような強者たちがライバルとなるため、選考のレベルは非常にハイレベルです。
「専門性を活かして働きたい」と願う理系学生にとって、自分の知識がダイレクトに社会実装されるこの業界は、メーカーやゼネコン以上に魅力的な選択肢として映るのです。
国家プロジェクトに関わるスケールの大きさ
建設コンサルタントが扱う案件は、国道や高速道路、巨大ダム、新幹線の整備、防災計画の策定など、国家予算が動く巨大プロジェクトが中心です。
自分が引いた図面や提案した計画が、数年後、数十年後に巨大な構造物として形になり、何万人もの人々の生活を支えることになります。
この「地図に残る仕事」の最上流工程に携われることは、エンジニアとして無上の喜びです。
また、日本の高い土木技術は海外でも求められており、ODAなどを通じて途上国のインフラ整備に貢献するチャンスもあります。
「国を作る」「世界を助ける」という壮大な使命感を持って働ける点は、他の業界にはない大きなやりがいです。
社会への影響力が大きい分、責任も重大ですが、そのプレッシャーを楽しめるような野心的な学生が集まってきます。
単なるビジネスとしての利益追求だけでなく、公益のために技術を振るうという誇りを持てる点が、高い志を持つ学生を引き寄せています。
公共事業主体の安定したビジネスモデル
建設コンサルタントの主な顧客は、国土交通省や地方自治体などの「官公庁」です。
売上の大半が公共事業で成り立っているため、民間企業の設備投資に左右されるメーカーなどに比べて、景気変動の影響を受けにくいという特徴があります。
特に日本は災害が多く、国土強靭化や老朽化したインフラの更新需要が尽きることはありません。
このビジネスモデルの堅実さは、安定志向の学生にとって非常に魅力的です。
「会社が潰れる心配が少ない」「長く腰を据えて技術を磨ける」という安心感は、人生設計を描く上で大きなアドバンテージになります。
また、公共事業は年度ごとに予算が組まれるため、仕事の流れが予測しやすく、計画的にキャリアを積んでいける点も評価されています。
公務員のような安定性と、民間企業のような技術的挑戦の両方を手に入れられる「いいとこ取り」のポジションであることが、人気を下支えしています。
高年収と専門職としての高いステータス
高度な専門職である建設コンサルタントは、平均年収も比較的高水準です。
特に大手企業では30代で年収800万円〜1000万円に到達することも珍しくありません。
また、独身寮や住宅手当、資格取得報奨金などの福利厚生も手厚く、経済的な満足度は高いと言えます。
これは、技術力がそのまま会社の利益に直結するため、人材への投資を惜しまない企業文化があるからです。
さらに、業界内では「技術士」という国家資格を持つことが一種のステータスとなっており、資格を取得すれば名実ともにプロフェッショナルとして認められます。
「手に職をつける」どころか、「国に認められた技術者」として一生食べていけるスキルが身につく環境は、将来への不安を感じる学生にとって強力な魅力です。
専門知識を武器に高収入を得るという、理系職種としての成功モデルが明確に見えていることが、偏差値を押し上げる要因の一つとなっています。
知的な労働に対して正当な対価が支払われる環境は、優秀な頭脳を持つ学生にとって納得感の高い職場なのです。
建設コンサルタントの高偏差値企業に内定するための対策
高偏差値である建設コンサルタント業界、特に大手企業の内定を勝ち取るためには、一般的な就活対策に加えて、技術者としての資質を証明するための専門的な準備が必要です。
「土木が好き」という熱意だけでは不十分で、「私は御社の技術力を高める戦力になります」ということを論理的にプレゼンできなければなりません。
ここでは、難関企業を突破するために必要な4つの具体的な対策を紹介します。
理系特有の研究概要の伝え方から、業界必須の資格への意識、そして意外と見落としがちなゼネコンとの差別化まで、採用担当者の視点に立ったアドバイスをお届けします。
この業界は「即戦力に近いポテンシャル」を求めています。
学生気分を抜け出し、一人の技術者の卵として対等に話ができるレベルまで視座を高めておきましょう。
準備の深さが、そのまま面接での自信に変わります。
研究内容と企業の得意分野をリンクさせる
技術職の採用面接では、必ずと言っていいほど「今の研究内容」について詳しく聞かれます。
ここで重要なのは、専門用語を並べ立てて難しく話すことではなく、「自分の研究が、社会やその企業のビジネスにどう応用できるか(あるいは、どのような基礎能力の証明になるか)」を分かりやすく伝えることです。
企業の技術者が面接官になることが多いため、技術的なツッコミにも耐えられるよう、論理構成を完璧にしておく必要があります。
また、志望する企業の得意分野(河川が得意なのか、道路が得意なのか等)と、自分の研究分野や興味関心がマッチしていることをアピールしましょう。
もし分野が異なる場合は、「研究で培った解析手法やデータ分析のアプローチは、御社の〇〇分野でも活かせると考えている」といった応用力を示すことが大切です。
「なぜうちでその研究を活かしたいの?」という問いに対して、企業のプロジェクト事例などを交えて具体的に答えられるように準備してください。
自分の専門性が企業の利益に繋がるイメージを持たせることが、内定への第一歩です。
「技術士」取得への意欲とキャリアプランを語る
建設コンサルタント業界において、技術系最高峰の国家資格である「技術士」は絶対的なパスポートです。
管理技術者としてプロジェクトを統括するためにはこの資格が必須であり、企業側も「将来的に技術士を取れる人材かどうか」を厳しく見ています。
そのため、面接やESでは、資格取得への強い意欲と具体的なキャリアプランを示すことが非常に有効です。
単に「頑張ります」と言うだけでなく、「入社後は実務経験を積みながら、〇年目までに技術士補、〇年目までに技術士(建設部門)を取得し、将来的には〇〇のようなプロジェクトを任される管理技術者になりたい」といった具体的なロードマップを語りましょう。
これにより、業界への理解度が高いことと、長く働き続ける覚悟があることを同時にアピールできます。
向上心のある学生は好まれます。
資格取得は会社にとってもメリットが大きいため、そこに向けた努力を惜しまない姿勢は強力な武器になります。
ゼネコン(施工)や公務員(発注)との差別化を明確にする
建設コンサルタントを志望する際、必ず聞かれるのが「なぜゼネコン(実際に作る人)でもなく、公務員(発注して管理する人)でもなく、コンサル(計画・設計する人)なのか」という質問です。
この3者の役割分担を正しく理解し、自分のやりたいことがコンサルでしか実現できない理由を論理的に説明する必要があります。
例えば、「ゼネコンはものづくりの最前線だが、私はより上流の、何を作るか、どう作るかを決める『最適解の探求』に携わりたい」「公務員は広く管理する立場だが、私は一つの技術を深掘りして、技術者としての専門性を極めたい」といった比較が有効です。
「技術的な提案力で課題を解決したい」「何もない白紙の状態から絵を描きたい」というコンサルならではの醍醐味を強調しましょう。
どっちつかずの回答は致命的です。
自分の適性と志向が、コンサルの業務特性と最も合致していることを納得させられるロジックを組み立ててください。
インターンシップで実務体験と早期選考を狙う
建設コンサルタントの仕事は、デスクワークでの計算や図面作成、現地調査など多岐にわたりますが、学生にはイメージしづらい部分もあります。
そのため、インターンシップに参加して実務を体験することは、業界理解を深める上で極めて重要です。
大手各社は夏や冬に数日から数週間のインターンを開催しており、実際のプロジェクトの一部を体験させてくれます。
インターンでの評価が高いと、早期選考ルートに案内されるケースも多く、内定への近道となります。
現場の社員と交流することで、社風や働き方のリアル(残業の実態など)を聞けるのも大きなメリットです。
成果物に対するフィードバックをもらうことで、自分の技術レベルや不足しているスキルを客観的に知ることもできます。
「現場を知っている学生」は面接での発言に重みが出ますので、志望度が高い企業には必ずエントリーし、能動的に学ぶ姿勢を見せつけてください。
建設コンサルタントの就職偏差値に関するよくある質問
建設コンサルタント業界を目指すにあたり、学生の皆さんが抱きがちな疑問や不安について、Q&A形式で解説します。
特に「激務」という噂や、「文系でも入れるか」といった点は、エントリーを迷う要因になりやすい部分です。
インターネット上の古い情報や偏見に惑わされず、現在の業界のリアルな姿を知っておくことが大切です。
ここでは、就活アドバイザーとして多くの学生を見てきた経験から、現場の実情に即した回答をお届けします。
ネガティブな要素も含めて正しく理解し、ミスマッチのない企業選びに役立ててください。
不安を解消して、自信を持って選考に臨めるようにしましょう。
学部卒でも建設コンサルタントに就職できるか?
結論から言うと、学部卒でも就職は可能ですが、大手総合職の「設計・技術職」に関しては院卒が圧倒的に有利であることは否定できません。
高度な専門知識を求められるため、採用枠の多くが院卒で埋まってしまうのが現実です。
しかし、中堅・中小規模のコンサルタントや、施工管理に近い発注者支援業務を行う企業であれば、学部卒の採用も積極的に行っています。
また、大手であってもポテンシャル採用枠や、専門職以外の職種で学部卒を採用するケースはあります。
学部卒で技術職を目指すなら、大学での成績を高く保つことや、関連する資格(測量士補など)を取得しておくこと、そして何より「学ぶ意欲」を猛烈にアピールすることが重要です。
入社後の勉強量は院卒以上に必要になりますが、実力主義の世界なので、努力次第で追いつき追い越すことは十分に可能です。
最初から諦めず、学部卒を歓迎している企業や職種を丁寧にリサーチしてみましょう。
「激務」「残業が多い」という噂は本当か?
かつては「不夜城」と呼ばれるほど残業が多い業界でしたが、現在は働き方改革によって状況は劇的に改善されています。
国交省が主導して「ウィークリースタンス(週末は休む、定時退社を推奨するなど)」の取り組みを進めており、無理な納期設定の見直しや、長時間労働の是正が業界全体で行われています。
PCのログ管理や強制消灯など、企業側の管理も厳格になっています。
とはいえ、年度末(1月〜3月)の繁忙期には、どうしても業務が集中し、残業が増える傾向にあります。
これは公共事業のサイクル上、避けられない側面です。
しかし、その分4月〜6月は長期休暇を取りやすくするなど、年間を通じたメリハリのある働き方が定着しつつあります。
「一年中激務」というのは過去の話ですが、「納期前の集中力と体力は必要」という認識でいるのが正しいでしょう。
面接や座談会で、繁忙期と閑散期の差について率直に質問してみるのも良いでしょう。
文系でも建設コンサルタントに就職できるか?
理系のイメージが強い業界ですが、文系学生にも活躍の場は用意されています。
一つは、総務、人事、経理、広報といった「事務系総合職」です。
もう一つは、営業職です。
コンサルの営業は、技術者とペアを組んで自治体などに提案を行う重要な役割を担います。
さらに、「都市計画」や「まちづくり」、「交通計画」といった分野では、社会学や経済学、法学の知識を持つ文系出身者がコンサルタントとして活躍している事例もあります。
文系採用は人数が少ないため倍率は高くなりがちですが、「インフラを通じて社会貢献したい」という熱意や、専門家集団をまとめるコミュニケーション能力は高く評価されます。
最近では、PPP/PFI(官民連携事業)など、金融や経営の知識を必要とする案件も増えており、文系人材のニーズは多様化しています。
「文系だから関係ない」と思わず、自分の専攻が活かせるフィールドがないか探してみる価値は大いにあります。
転勤や海外勤務はどの程度あるのか?
総合職として入社する場合、全国転勤の可能性は基本的にあると考えてください。
大手建設コンサルタントは全国に支店を展開しており、各地のプロジェクトに対応するために技術者が配置されます。
ただし、ゼネコンのように「工事現場ごとに数ヶ月単位で移動」というよりは、「支店単位で数年腰を据えて勤務」というケースが一般的です。
また、海外展開に力を入れている企業では、海外勤務のチャンスも豊富です。
特にODA案件が多い企業では、東南アジアやアフリカ、南米などに駐在し、インフラ整備の指揮を執ることがあります。
グローバル志向の学生にとっては望ましい環境ですが、逆に「絶対に地元を離れたくない」という人は、エリア限定職や、地域密着型の中小コンサルを選ぶ方が無難かもしれません。
自分が将来どのようなライフスタイルを送りたいか、選考の段階でしっかりとイメージしておくことが大切です。
海外勤務は若手から抜擢されることもあるので、英語力や異文化適応力は大きなアピールポイントになります。
まとめ
建設コンサルタントの就職偏差値ランキングをテーマに、業界の特徴や難易度が高い理由、そして内定への対策を解説してきました。
この業界は、高度な専門性を武器に、地図に残り、歴史に残るようなスケールの大きな仕事ができる唯一無二のフィールドです。
就職偏差値は確かに高いですが、それは「社会への責任の重さ」と「プロフェッショナルとしての誇り」の裏返しでもあります。
明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート











