はじめに
新規学卒者の面接において、採用担当者はこれまでの仕事の実績などを判断できません。
そのため、面接ではしばしばビジネスと直接関係のない質問をされることがあります。
それは就活生の人柄や性格を知り、企業に合うか・活躍してくれるポテンシャルがあるかをはかりたいと考えているからです。
学生時代にどんな活動をしていたか・自分の長所や短所は何かといった質問に加え、将来の夢についても質問されることがあります。
面接官が将来の夢を問う意図はなんでしょうか。
就活の面接で将来の夢について聞かれたときの答え方や注意点を紹介します。
面接で将来の夢を聞かれる意図とは
最初に、就職活動の面接で将来の夢を聞かれる理由について考えましょう。
もちろん、本当に面接官が就活生の将来の夢に興味をもっているわけではありません。
あくまで就職面接の質問なので、そこには就活生の性格をチェックしたいという意図が必ずあります。
将来の夢を問う質問は、特に就活生の性格や価値観のどんな部分を見ているのでしょうか。
以下の見出しで、就職面接で将来の夢を聞く場合に面接官がチェックしているポイントを3点紹介します。
自社とマッチしているか
企業が将来の夢を就活生に聞く大きな理由は、自社と就活生がマッチしているかを見るためです。
具体的には、就活生の話す将来の夢が自社で叶えられるものであるかを判断します。
たとえば社会の役に立てるサービスを開発したいという夢は、娯楽など人を楽しませることがメインの業界では難しいでしょう。
もちろんエンタメ系の業界でも社会貢献事業を行うことは多いですが、企業側はまずメインの事業で活躍できる人材を求めています。
就活生の将来の夢と自社の事業内容・社風がマッチしない場合は早期退職などの理由になることがあるので、一次面接・二次面接の段階でふるいにかけなければなりません。
このように、自社でやりがいを感じて働いてくれる方を採用するのに、将来の夢に関する質問は役立っています。
自社にメリットがあるか
当たり前ですが、企業が社員を採用するのは、それが自社にとってメリットとなると判断したからです。
面接で将来の夢を聞くのは、就活生が将来に関してどんな思いをもっているか・どんな気持ちで働いてくれるかを聞きたいからでもあります。
就活生に「御社でこのように活躍します」と決意表明をしてほしいと考えているので、答える側はこの点を意識しましょう。
「将来の夢は御社で社長になることです」「御社を日本一の会社にすることです」など、ストレートに企業を持ち上げる答えでなくてもかまいません。
「人の役に立てる社会人になりたい」「多くの人の輪・絆を作れる人間になりたい」といった目標を、その企業で働くことによりどう実現するか・したいか答えるようにしてください。
矛盾していないか
面接官は定型質問が終わったあと、就活生一人ひとりに気になることを質問していく場合があります。
それは、就活生の答えが終始一貫しているか・付け焼き刃で準備したその場しのぎの回答ではないかを見ていくためです。
そこで、追加質問として将来の夢をたずねることがあります。
志望動機と将来の夢に一貫性があれば、企業でどんな活躍をしたい・どんなビジネスマンになりたいという答えに矛盾が生じることはありません。
しかし企業に気に入られようと、付け焼き刃で準備した答えを用意すれば、予想外の追加質問に正直に答えた際、矛盾が生じる場合もあります。
この失敗をしないためには、就活前にしっかり自己分析をしておくことが大切です。
自分の性格や目標に明確な軸があれば、どんな質問をされても矛盾しない答えを返せるでしょう。
面接で評価される将来の夢とは
続いて、面接で将来の夢を聞かれたときに高い評価を得るためのポイントを紹介します。
あらかじめこの質問の回答を準備しておくなら、次の見出しで紹介する2点に気をつけてください。
ただし回答を事前に考えておくことは大切ですが、あまりに文章を固めすぎると、棒読みになってしまいがちです。
特に面接に慣れてくるほど、前に話した内容をもう一度話すことになるため、より棒読みになりやすくなります。
すらすら話すというより、自分の気持ちや熱意が伝えられる話し方を練習しましょう。
具体的であること
面接では、将来の夢に関する質問に限らず、具体的な答えを返すことが大切です。
具体的でなければ面接官もピンと来ませんし、具体性があるほど説得力が出ます。
将来の夢はかなり答えが分かれるので、具体性があるほど自分の個性を打ち出せるのもメリットです。
また、自分がこうなりたいとはっきり口にできる方は、自己成長欲のある方・努力できる方という評価にもつながるでしょう。
そのため「仕事のできるビジネスマンになりたい」といった抽象的な答えだけでは、あまり面接官に響きません。
「幅広いビジネススキルを高いレベルで身につけ、困ったときはいの一番に同僚や後輩から頼りにされる存在になりたい」とすれば、自分がリーダー志向をもっていることが伝わります。
企業理念とマッチしていること
企業が就活生にもその理念を知ってほしい・共感してほしいと思うのは当然です。
社員はそれぞれが企業理念を大切に仕事をしており、採用担当の方は理念にマッチする学生を採用しようと目を光らせます。
そのため、就活生の話す将来の夢は企業理念とマッチしていなければなりません。
「地域創生・地域貢献」を大切にしている企業なのに「海外に目を向けて仕事をしたい」という夢を話すのは、企業研究が足りないと評価されても仕方ないでしょう。
特に二次面接以降で、企業はより自社の理念にマッチした就活生を見極めることが重視されます。
面接前に企業のホームページや説明会でもらった資料などを再確認し、自分が企業の理念についてよく知っていることをアピールできるようにしてください。
面接における将来の夢の答え方とは
次に、面接で将来の夢を答える際の答え方について解説します。
面接の受け答えは、簡潔でわかりやすいことが重要です。
長くなるほど面接官は何を言いたいのかつかみにくく、就活生のアピールポイントを理解しにくくなってしまいます。
また、長い答えは就活生が話下手・論理的思考力が低いと判断される一因になる可能性が高いです。
1~2分程度で将来の夢とその理由、それが志望動機やキャリアビジョンとどうつながるかを簡潔に伝えられると良いアピールになります。
結論
面接の受け答えは、結論ファーストで話す話し方が基本です。
将来の夢を答えるときも、まず結論から話し始めましょう。
「私の将来の夢は〇〇です」と、言い切り口調で明快に話してください。
要点を最初に述べることで、面接官は話の概要をつかみやすくなります。
面接は回答の内容だけでなく、話を相手にわかりやすく伝える能力をもっているかも同時にチェックするテストです。
要領を得ない話やだらだら長く続く話は、どんなに良い内容の答えでも、マイナス評価をつけられると考えてください。
特にアピールしたい気持ちが強く焦っている方は、あれもこれも話そうとして話が長くなりがちです。
最初に短く結論を言い切ってしまい、話をできるだけ簡潔にまとめましょう。
理由
結論を述べた直後に、どうしてその夢をもつようになったかの理由を述べます。
結論と理由はセットであるため、夢の内容と理由がしっかり接続関係になるよう説明しましょう。
ここも結論と同じく、自分の主張を早く相手に伝えるのがおすすめです。
「私の夢は〇〇です」のあと、「私は大学で〇〇部に所属しており、〇〇部ではxxという習慣があり」などと続けてしまうと、また話が長くなってしまいます。
しかし「私がその夢をもったのは、〇〇部で習慣になっているxxがきっかけでした」と話し、そのあとに補足をつなげれば、理由に関する説明も簡潔でわかりやすくなります。
この結論→理由の流れは、面接でどんな質問を答えるときにも効果的です。
模擬面接などで練習し、この話し方をいつでもできるようにしておきましょう。
どうしていくのか
結論と理由を述べたあとは、具体的に夢を実現するために、どうしていきたいか行動計画を話します。
結論と理由は簡潔に伝えますが、ここはできるだけ具体的にするのがおすすめです。
具体性を出す方法の1つに、数字を使って具体性を出すことがあげられます。
たとえば「〇年後までに営業成績1位になる」「SNS上で〇件いいねがもらえるコンテンツを作る」などです。
夢を実現する手段が資格取得であれば、資格名を出すことも計画の具体性・説得力を高めるのに役立ちます。
もちろん、この行動計画は企業で働くうちに実現できるものでなければいけません。
ここは就活生が企業でどのように活躍してくれるかをイメージさせるための回答なので、必ず志望する企業のビジネスと絡めた回答をしてください。
面接で将来の夢を述べる際の注意点とは
次に、面接で将来の夢について回答する際の注意点を紹介します。
次の見出しで2点紹介するポイントに当てはまってしまうと、的外れな答えと評価され、マイナスイメージになる可能性が高いです。
基本的に、就職面接における将来の夢とはビジネスマンとしての最終目標・自分の理想の姿を聞かれていると思ってください。
ビジネスマンになる心構えがきちんとできていれば、この質問で困ることはないはずです。
自己分析をするときは、5年後・10年後の自分の目標まで踏み込んで考えましょう。
プライベートなこと
就職面接では、将来の夢を質問されても、プライベートな自分の夢を答えるのは良くありません。
たとえば結婚して幸せな家庭を築く・立派なマイホームや憧れの外車を買うといった回答です。
面接官は私的な将来の夢を知りたいわけではないので、あくまで社会人・ビジネスマンとしてどうなりたいかを答えましょう。
ビジネスに関連していても、独立して起業したいなど志望先の企業と関係ない目標を答えるのも、避けるべき回答です。
面接では「ぜひその企業で一生懸命働きたい」という熱意が採用担当者の心を動かします。
プライベートに関する夢・独立したり会社員以外の道を目指したりしたいという夢を答えるのは、仕事に対してあまり前向きではないと評価されても仕方ありません。
スケールが大きすぎる
スケールが大きすぎて現実味のない夢も、就職面接で避けるべき回答です。
先述の記事で将来の夢を話す際は、具体的な行動計画を示すようにすすめましたが、スケールの大きな夢ではそれができません。
たとえば「世界平和を実現したい」という願いは素晴らしいことですが、それを一企業の社員が実現するのはまず不可能です。
企業でどのように活躍することが世界平和につながるのか、相手に納得してもらえる話をすることはできないでしょう。
自分自身に関することでも、総理大臣になりたい・日本一の長者になりたいといった地に足のついていない回答は、相手に呆れられてしまいます。
高い目標があることをアピールしたい場合も、あくまで企業での活躍が夢の実現につながることを説明できる内容にしてください。
面接で将来の夢以外のよくある質問
就職面接では、志望動機・ガクチカ・自己PR・キャリアプラン・自分の長所と短所といった質問がかなりの割合で聞かれます。
しかしそれ以外の追加質問も頻出するものがあり、将来の夢に関する質問も、その中の1つです。
以下の質問はよく聞かれるため、聞かれたときに困らないよう、ある程度準備しておくことをおすすめします。
「これまでに挫折した経験を教えてください」「大学で学んでいることを教えてください」「就活の軸を教えてください」などです。
これらはいずれも、就活生がどんな人柄をしているか・仕事で活躍できるポテンシャルがあるかを問うための質問です。
最後にできるだけ、志望先企業の業務内容・入社後の意気込みと絡められる回答を考えましょう。
まとめ
就職面接では、事前にどんな質問をされるのか、ある程度予想できます。
しかし予想しない質問が出されると、慌ててしまう就活生はかなり多いです。
将来の夢を聞かれるのは意外に思うかもしれませんが、実は就職面接においてしばしば聞かれることがあります。
なぜなら、リーダーになりたい・人の役に立ちたい・仕事で何かを成し遂げたいなど、夢の方向性で就活生の人柄が見えてくるためです。
ビジネスに関する自分の目標が明確に決まっていれば、この質問に答えるのは決して難しくありません。
入社後の決意表明まで話をつなげられれば、面接官に良い印象を与えることも可能です。
一次面接から将来の夢を聞かれる可能性があるので、面接が始まる前に自己分析や回答の準備をしておきましょう。