海外留学組の就活事情

海外留学組の就活事情

はじめに

このコロナ禍で、色々と大学生活の計画が狂ってしまった方も、多いのでは無いでしょうか?

特に、海外留学や交換留学を予定していた皆さんは、大打撃を受けているのでは....

しかし留学生経験者として、皆様に留学のチャンスを諦めて欲しくありません。

なので今回は、現在アメリカに留学中の僕が、海外留学組の就活事情を通して「留学経験が就活でどのように役に立つのか」と言うことを、ここにまとめて書いていきたいと思います。

【留学組の就活】自己紹介

現在僕は、アメリカのボストンにある某大学へ正規留学している学部の3年生です。

コロナの感染拡大の結果、授業がリモートになりました。生活費を節約するために、日本に一時帰国しており、授業をアメリカと時差のある中で取り続けるわけにも行かないので、1年間の休学措置をとっています。その間、日本国内の国公立大学に逆長期留学中という、ちょっと変わったことをしています。ダブルメジャーという専攻を複数持ちながら、異なる学部を掛け持ちできるアメリカ特有のシステムに惹かれ、日本からの海外進学を決めました。現在は物理学系と経済学系の専攻を掛け持ちしています。

日本国内での文系と理系両方の就職進路をここ一年調べていると、留学中の就活生なりに、いくつか気づいたところがあります。特に、僕の留学先のアメリカから帰国した場合の就活との違いをいくつか見つけたので、ここでまとめていきたいと思います。

【留学組の就活】海外留学組って?

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「正規留学とか何生意気に気取ってんの?」

と思われがちかもしれませんが、留学と言ってもさまざまな形態があります。実際、就職活動となると、この違いが結構重要になることに最近気づいてきました。リクルーターからすると、留学には大きく分けて三種類ある様です。

短期留学

短期留学とは、一般的には1ヶ月以上6ヶ月以下、又は1学期や1年以下の海外留学の事を指します。学校経由での交換留学などもこれらに含まれます。1年以下の語学留学もここに含まれることが多いです。大抵の大学で実施されている留学プログラムは、長くても1年ちょうどなので、就活となると短期留学に含まれる事が多いようです。

長期留学

長期留学とは、日本の大学を拠点としつつ、1年以上海外の大学に在籍した場合のことを指します。一般的な留学のみならず、訪問学生や研究生としての在籍もこれに含まれます。また、長期的に海外大学に在籍していても、何かしらの学位を取得しなかった場合は、長期留学として捉えられます。

正規留学

正規留学とは、入試の段階から海外大学に受験し、現地の生徒と同様に海外の大学に籍をおいている生徒のことを指します。海外進学とも呼ばれるパターンです。例えば学部生なら、4年間ずっと海外で過ごしていることになります。結果的に、海外大学で学位を取得する一方で、日本国内の大学に在籍することも、学位を取得することもできません。

僕は、正規留学生に分類されるので、今回するお話は正規留学生寄りの話になります。しかし、他の留学生にももちろん当てはまることだと思うので、参考になると嬉しいです。

【留学組の就活】海外留学者の2大就活ルート

海外留学をする生徒は、その後の就活を二つのルートから選ぶことができます。

一つは、留学での経験を強みにして、日本に帰国して就職するパターン

そして、もう一つが留学先などの現地などの海外で就職するパターン

割合としては、ビザの関係や国籍の問題から、前者が圧倒的に多いです。また、僕の様に新卒枠を使っての就職を狙っている学生は、たとえ後者の海外進出が最終的な目標であったとしても、まずは母国に帰国して、ある程度のキャリアを積み上げてからの海外進出や、日本拠点の企業に就職した後に、転勤といった形での海外進出を考える人が多い様です。

今回は、海外留学を経験したのちに、日本に帰国しての就職を前提とするルートをメインとしてお話をしています。実際、このルートの方がある程度就職活動のパターンが出来上がっており、なおかつ海外経験を最大限に活かせるので、多くの留学生が歩むパターンになっています。また、現地に残っての就活となると、就活のみならず移民ビザなど、それはそれで別の記事を書くことのできる量の就職活動とは全く異なる困難に立ち向かうことになるので、今回は割愛します。

【留学組の就活】ここが助かる!海外留学後の就活

海外留学という経験自体、誰もが経験することができるものではありません。その結果、留学という経験から得たスキルを武器に、就活を有利に進めることができます。ここでは、就活真っ只中の僕が、留学生であったことが助かったと思ったり、有利であったと思うことを書いていきます。

チャンスが増える!

まず、語学力と海外滞在経験があること自体で、応募できる業種やポジションがグッと増えます。語学力を必要とするポジションはもちろんのこと、海外勤務なども、海外での留学経験を生かすことができ、その経験が重宝されるポジションの一つと言えるでしょう。

もちろんみなさんは、語学力が1番の武器となり、その結果就活を有利に進められると考えているかもしれません。しかしながら、正規留学生として一番感じた強みは、語学力ではありません。多国籍なチームや企業の中で仕事をすることができるかどうかといったところが、留学経験から証明され、その経験とポテンシャルこそが、留学組の経験の強さであるということに気づきました。語学を必要とするポジションのみならず、グローバル化が進む今、異文化交流に慣れている留学生だからこそ、スムーズかつ効率的に成せる仕事が増えているということを知りました。その結果、留学生としての経験が、グローバルなポジションを必要とする採用側から重宝され、留学が就活でのチャンスに繋がってきます。留学組は、いわゆるグローバル人材としての活躍が期待されるのでチャンスが増えます。

人脈が広がる!

海外にいるというだけで、自然と自分の価値観や知見が広がっていきます。その結果、普段出会うことのないような人に出会うことができます。僕が正規留学をしていて一番実感したことで、なおかつ一番役に立っていると思うのがこれになります。もちろん、これは就活にも役立ち、今後の自分のキャリアビジョンを考えるにあたって一番ためになっていると感じます。

海外という異国の地にいることにより、日本人というだけで、現地の日本人コミュニティやアジア人コミュニティに溶け込みやすいです。その結果学部生という立場上、普段なら近づきにくかったり、入り込みにくいコミュニティや人々の輪に比較的簡単に入りやすく、なおかつ相手も快く受け入れてくれます。結果、就活に役立つような人脈を作る事ができたり、話をさまざまな人から聞くことができます。

具体な例を挙げると、僕の場合ボストンという土地柄、日本からの研究者が数多く集まっています。本来であれば、学部生でなおかつ、研究職にあまり興味のなかった僕ですが、日本人ということで、現地の日本人研究者コミュニティに参加することができ、そこの皆様も暖かく受け入れてくれました。そのおかげで、大学入学当時は、考えてもいなかったような、研究職やアカデミア関連の方々との繋がりを得ることができました。異国で頑張る日本人という繋がりが、日本国内にいては巡り会うことのないような出会いをもたらしてくれます。

限定選考枠を使える!

海外留学をしていると、バイリンガルや海外経験のある学生向けの限定枠に応募することが可能になります。さらには正規留学生となると、企業側が日本に帰国する前提の正規留学生向けの限定説明会や選考枠を設けていることがあります。留学経験が採用側の求めているスキルを持っている証拠になり、そのおかげで限定選考に参加することができるのです。

留学という経験が、グローバル人材としての扱いに直結し、語学力のみならず多国籍なチームの中や、異文化交流のある中で活動することができるという、他の就活ライバルにはないスキル身につけさせてくれるのです。そのおかげで、これらを持つ人材限定の選考枠の多くは、全体的に倍率や応募人数が一般的な就活イベント経由よりも低く、また企業側との交流もよりマンツーマンに近い物を経験することができることが多いです。

留学生専用枠という物や、さらには留学生専用のボスキャリといった就活イベント経由で選考に参加できるのも、圧倒的に有利なポイントの一つです。ライバルも少ないため、自然と倍率も下がりますし、同時に海外留学中ということも考慮されるため、日本国内で開催される説明会や面接などに参加しにくいことを、採用側も理解しています。そのため、選考プロセスが比較的スピーディーに進んだり、選考段階の一部が省略されるなどの利点もあります。

【留学組の就活】ここが辛い!海外留学後の就活

留学をしていると、色々と有利になる点はもちろんあります。一方で、正規留学などは一般的な進路ではないため、就活時にも多少不利になるところもあります。同様に一般的な留学だとしても、似たような苦労があるということを、知人から耳にします。

タイミングがズレる!

正規留学となると、ほぼ100%の確率で9月入学組と同じサイクルになります。その結果、4月スタートをスタンダードとしている日本社会で、帰国後に就職活動をするには、周りとのタイミングがずれているので、多少苦労するところがあります。結果、一般的な4月入社の新卒枠に参加できなくなります。似たように、正規留学でなくても、プログラムなどに組み込まれていない自主的な留学を行う場合、自然と早期卒業が可能なレベルでの単位取得や、半年や一年遅れての卒業などが必要となることがあります。結果的に、なにかしらの留学経験を積もうとなると、自然と4月スタートのサイクルからずれてしまうことが多々あります。

その結果、一般的な就活の選考枠などに参加することができない事が多々あります。9月入社を設けている企業ももちろんありますが、やはり新卒枠となると自然と4月入社の枠の方が数倍多いです。もちろん留学生向けのボスキャリなどといった就活イベントも、もちろんあります。しかしながら、日本国内での新卒としての就活を行う場合は、4月スタートのサイクルに合わせておくのが、一番効率的だと感じました。実際、自主的な長期または短期の留学経験を積もうとする際に直面する問題の一つが、このサイクルの違いだということを多々知人から耳にします。

選考枠が少ない!

これは特に正規留学生が経験する苦労です。上記の卒業と入社のタイミングがズレるということで、選考に参加できる枠の選択肢が減るのはもちろんですが、日本国内の大学に籍を置いていないがために、参加できる選考枠が減ることもあります。

例えば、友人らからの話を聴いていて感じるのが、大学のOB訪問経由で参加できる選考枠などについてです。もちろん、留学先のOBのつてを辿ることもできます。しかしながら、日本国内での就職や、特に日系企業となると、大学OBの派閥的な文化が比較的まだ残っているように感じます。結果、それらの大学に属さない正規留学組は、そういった選考枠に参加できないことが多いです。他にも、会社説明会に出席した学生のみが参加できる選考枠など、日本国内に物理的にいることで参加できることができる選考枠なども多々存在します。

結局、正規留学生は、良くも悪くも留学生向けの専攻にしか参加できない事が大半です。そのため留学生向けの枠を選ぶか、日本国内向けの枠を選ぶかという二択になります。もちろん両方を選ぶことを、長期・短期留学の方は選べますが、最終的にはどちらかに本腰を入れる必要があるのではないか、というのが今の所の感想です。

知名度が低い!

正規留学生あるあるの一つとして、学校によっては知名度が全くないというのがあります。外資系などであれば、自分の留学していた大学について採用側が知っていることが多いですが、その他の場合は、海外大学で名の通っている大学は、ハーバードやスタンフォード程度です。レベル的には十分に良い大学に通っていたり、学歴ブランドがあまり関係のない専攻などだったとしても、海外大学というだけで、あまり相手にされなかったり、過小評価されてしまったりすることが多々あります。簡単にいうと、海外大学の情報が日本の就活市場内にないがために、本来ならば学歴フィルターで通過できる選考を通過することができないことがあるということです。

これを回避するために、一般的なら学歴フィルターで通過する選考を、ガクチカなど自己PRに力を入れて進んで行ったり、あえて自分の経験を確実に評価してくれる外資系やグローバルな企業を選んで応募する必要があるといったところもあります。どのような進路を進んでいたとしても、最終的には自分のスキルを最大限に生かしてくれる企業に就職するべきなのは間違いありません。しかしながら、留学組の就活は、新卒の時点でそれをある程度見極めなければならないのだと思います。

【留学組の就活】帰国就活の具体例

留学経験者が、帰国後に日本国内で就職活動を行う場合、大きく分けて二つの具体例があります

一つ目が、一般的な日本の就活イベントや選考に参加して、就職する方法。

もう一つが、ボスキャリなどの留学生専用の就活イベントに参加して就職する方法。

これらの違いは、留学の種類と、どの程度自分の留学経験を選考の際に全面的に持ち出したいかによります。前者の日本の就活イベント経由での就活については、皆さん既にご存じだと思うので、正規留学生の観点ならではの、後者の留学生向け就活イベント経由での就活をお話したいとおいもいます。

留学組の就活といえばボスキャリ

正規留学組が、卒業後日本で就職しようとする場合は、ボスキャリという就職イベントに参加すること一択になります。ボスキャリとは、毎年アメリカで開催される日英バイリンガル向けの就活イベントです。ボスキャリがどういったものなのかについては、下記の記事に書いてあるので、興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

【最新情報】
今年度2021年のボスキャリは、オンラインでの開催が決定しました!
今までボストンに行けなかった方も、この機会にオンラインボスキャリに参加して、留学組の就活事情を体験してみてはいかがでしょうか?

今回は、ボスキャリを正規留学組はどのように活用しているかについてです。ボスキャリに参加する留学生は、アメリカ組のみでなく、英語圏全般の留学組になります。なので、イギリスやカナダに留学している友人とボスキャリでばったり再会なんてことが多々あります。しかしながら、僕のようにボストンに住んでいない限り、毎年参加するのは難しいです。なので、多くの正規留学組は4年間の大学生活で、2回ボスキャリに参加することが多いです。

1回目の参加は、2・3年生時の夏休み中の長期インターン目当ての参加になります。というのも、正規留学生の多くは、欧米の大学のスケジュール上、夏休みが3ヶ月前後あることが大半です。結果、多くの生徒が日本に一時帰国することが多く、その際に日本国内で長期インターンに参加することが定番になっています。ボスキャリに参加する海外経験のある人材を求めている企業は、このことを把握しているため、大半の大手企業、特に外資系などは、夏期の長期インターン求人と正社員求人両方を設けていることが多いです。2・3年生の秋にボスキャリに参加し、翌年の夏長期インターンを確保し、レジュメなどを磨くといったのが、正規留学生の定番パターンとなっています。

2回目の参加は、3・4年生の就活本番になります。日本国内への進学組の同期とは、9月入学の正規留学組は卒業が半年ずれるので、若干早め、または遅れての就活スタートとなります。夏の長期インターンに参加した企業に再度、正社員として応募したり、全く別のポジションに応募したりと十人十色です。ボスキャリ自体が正社員求人の方が多いので、この2度目の参加がボスキャリ本番といったところでしょう。ここで多くの留学生が内定をゲットします。大抵の場合が、9月入社になるので、ボスキャリから大体10ヶ月後の入社になります。

もちろん、僕のように偶然ボスキャリ開催地が近所であったり、金銭的に簡単にボストンまで足を運べる米東海岸組は、1・2年生の段階でボスキャリに見学程度の気持ちで参加しています。そこで、ボスキャリの雰囲気を理解し、あわよくば1年生の段階で、夏休みの長期インターンをゲットできれば、なんて思いながらの参加です。実際問題、正規留学生の就活はボスキャリ一強といった感じなので、実際に参加する回数が増えることは良いことだと思います。

簡単にまとめると、アメリカ正規留学生の就活はボスキャリというイベントに2回ほど参加して行われます。全体的に数の少ない、正規留学人材向けの唯一の大規模就活イベントがボスキャリだからです。1回目の参加で長期インターンを確保し、その次の年の参加で、本腰の正社員内定をゲットしに行くといった形です。その後、卒業後の9月に帰国して入社といったパターンが定番となっています。

【留学組の就活】現地就活の具体例

記事冒頭で説明した通り、日本国籍の就活生が海外進出を目指して留学先の現地や、日本国外で新卒として就活をしようとすると、ビザの問題など就職とはまた別の課題につきあたります。結果、海外進出を目標としている就活生でも、多くの就活生は日本国内で就職したのちに、その後のキャリアとして海外進出をする人が多いと感じます。なので、新卒で海外に残る前提で、就活を行う日本国籍の学生は少数派とも言えるでしょう。

一方で、実際に留学先を卒業した直後に、現地で就職する留学生ももちろんいます。大抵の場合、特にアメリカなどの場合は、ハーフであったり、米国籍持ちのことが多いですが、もちろん日本国籍で同じことを成し遂げる超人もいます。今回は、アメリカを例に説明します。

アメリカの場合は、OPTという期限付き就労ビザに応募し、アメリカでの就職先を見つけます。この場合の就活は、現地の生徒と同様に行われます。休学や早期卒業といったことがごく一般的なアメリカでは、日本と異なり、就活シーズンや新卒向けの就活が何月といった規定や定番のパターンがあまりありません。代わりに大学主催の就活イベントなどに参加して、内定をゲットします。

無事に現地の学生と同様に就活を終えて、新卒として無事働き始めたとしても、留学組はその後に本当の困難に立ち向かいます。OPTは1年程度という期限付きなので、この期間後もアメリカに残って働く場合は、再度ビザを取得しなければなりません。大抵の場合はHビザという、抽選制の別の就労ビザに応募する必要があります。これに応募するには、企業側がスポンサーとして、社員を法的な面からサポートしなければならないのです。そのスポンサーに企業がなってくれるためには「自分がアメリカ国籍を持つ他の社員とは代理が効かない」ということをアピールしなければならず、そこでまた驚異的な倍率と実力を求められる選考が社内で行われます。ここで無事スポンサーとして企業の支援を得られても、最終的にビザを取得できるかは抽選制になっています。結果、多くの就活生は、海外進出を考えている場合は、このような不確定要素の多いルートよりも、日本国内で就職してからの転勤といった形での海外進出を選ぶようです。

まとめ

僕の経験から、留学生としての経験を武器に就活する際に感じることを僕なりにつらづらと書いてみました。

結果的には、海外正規留学生の就活事情の話になってしまいましたが、部分的には、短期留学だろうと長期留学だろうと、なにかしらの海外経験を積もうと思っている方には当てはまる内容なのではないかと思います。留学という大きな投資をする前に、その経験がどのように就活に影響するかどうかを少しでもこの記事を読んで把握できれば、留学することを迷っている方などの検討材料になるのではないかと思います。この記事に書き下ろしてある僕の経験を元に、留学を検討している方や留学中の方の、就職活動に少しでも役立てば幸いです。

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