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はじめに
第二新卒の就活は新卒の就活ではなく、あくまで中途採用者の就活と認識することが大切です。
つまり履歴書や職務経歴書でアピールすべきは社会人としての経験なのですが、実際にはまだ就業年月が浅いことは否めないため、そこが難しい点と言えるでしょう。
ほとんどの場合目立った実績はなく、高いスキルが身についているわけでもない、そんな中でも効果的に相手に響く自己PRとはどのようなものなのでしょうか。
【第二新卒の履歴書に書く自己PRとは】まずは自己PRを作る流れを理解しよう
効果的な自己PRを作るなら、まず全体の構成をしっかり考えることが大切です。
また、相手企業が求める人物像に合わせ、強みやスキルを選んで何パターンか作っておくほうが良いでしょう。
ある程度フレームを作っておけば、その流れに合わせて適した自己PRを生み出すことが可能となります。
それでは構成するうえで重要となる基本的な作業の流れを解説します。
自分のアピールポイントを5つ考える
自己PRを考える際には、誰しも自分のアピールポイントを考えるでしょう。
ただそのときに、1つのアピールポイントを見つけただけで終わってしまわないことが重要です。
相手企業に合わせるという意味もありますが、より自己分析を深めるためにも最低5つのアピールポイントを見つけ出してください。
自分自身の長所を探し出す作業は想像以上に難しいものですが、同じ行動も見る角度を変えれば違った面が見えて来ることも多いので、冷静に第三者の目で自分を見直してみることが大切です。
どうしても見つからない場合は、友人や家族など周りにいる親しい人に聞いて回るのも良い方法です。
過去の経験からアピールできる理由を考える
アピールポイントが5つ見つかったら、それぞれがなぜアピールできる内容だと感じたのか、その理由を過去の経験から考えてみましょう。
たとえばリーダーシップをアピールできると感じた場合、過去にリーダーシップを発揮したことで、何らか良い結果が得られたという経験があったはずです。
ただし、こうした経験は子供の頃のような大昔のことではいけませんし、すでに社会人として働いた以上、学生時代にも戻るべきではありません。
社会に出て就職し、社会人として仕事をする中で得た経験から、そのアピールにつながるものを見つけることが重要なポイントです。
選考する企業が求めている人物やスキルから、アピールポイントを決める
最初に選んだ5つのアピールポイントについてそれぞれを支える経験が見つかったら、次は本格的に絞り込む作業に入ります。
正しく絞り込むためには応募する企業がどのような人物像を求めているかを知る必要がありますので、公式サイトや各種メディアなどからできる限り情報を集めましょう。
チームワークを重要視するのか、単独でも主体的に動ける能動性を重視するのか、各企業が求める人物像は想像以上に多岐にわたります。
ここでのマッチングを間違えると、相手にとってあまり魅力的ではない人材に見えてしまう恐れがありますので、まずは相手の好みに合う自分を探すことが重要です。
必要とされるスキルが提示されていることもありますので、それも併せてチェックしたうえで、自分がアピールすべき内容を選んでください。
アピールポイントと理由を構成に当てはめて自己PRを作る
自分のアピールできるポイントがわかり、アピールできる理由が明確になったうえで、相手企業のニーズにも合致させることができれば、自己PRづくりの8割はすでに完了したと言えます。
あとはその要素をいかにわかりやすく魅力的に第三者に伝えることができるか、テクニックに関する課題をクリアするだけです。
就活において履歴書も職務経歴書もビジネス文書の1つですから、単に内容が合っていれば良いというわけではありません。
相手がその人物に興味を持ち、ぜひ一度会ってみたいと思える文書になっていなければなりませんので、それを可能にする文章構成はとても重要です。
ただ、最初に正しくフレームを切っておけば、あとはそれに合わせて内容を当てはめていくだけで自己PRは作れますので、安心してください。
【第二新卒の履歴書に書く自己PRとは】自己PRで落ちないためのオススメの構成
自己PRで落ちてしまわないためには、わかりやすく効果的な構成が必須です。
どう書けばいいかわからないという人は、何もないところからいきなり文章を作ろうとしていることが大半です。
また、自己PRを作成しているつもりで自己紹介をしてしまう人がいますが、それも正しく構成できていないことが理由でしょう。
自分の強みやスキルをPRし、人間性やキャラクターが相手企業にマッチすることを明確に伝える構成になっていれば、こうした間違いは起こりにくくなります。
それではオススメの構成に沿って紹介しましょう。
結論:私の自己PRは〇〇があることです(アピールポイント)
ビジネス文書ですので、アンサーファーストとなります。
最初に明確にアピールポイントを述べることで、読み手との齟齬が起こりにくくなります。
そもそも自己PRですので、何を置いてもまずは自分を売り込むのが正解です。
自分にはこのスキルがある、こうした長所があるといった結論から書き出すことで、相手はその理解を持った状態で先の文章を読み進めることが可能となり、内容をより理解しやすくなります。
ただ、まだ就業経験のない学生とは違いますので、元気や勢いだけでは到底受け入れられません。
大風呂敷を広げてもあとで回収できなくなりますので、あくまでビジネスマンとして礼儀を尽くし、相手にも配慮したアピールの仕方に従事してください。
理由:なぜならば、〇〇で〇〇ということがあったからです
最初に述べた結論に至った理由を述べるフレームです。
なぜそのような強みや長所があると自分で気づくことができたのか、その根拠となる出来事の概要を述べてください。
ここで注意したいのが、社会人としての経験からピックアップすることです。
時系列で今現在の自分に一番近いことから返答するのが基本ですので、何年も前のことを掘り返して来るのでは説得力が半減します。
新卒と異なるのは、学生時代のことでは通用しないということでしょう。
社会に出てこのようなことがあった、このような経験をしたという展開を意識してください。
エピソード:私は〇〇で〇〇をしていました
先のフレームで挙げた根拠となった出来事を、実体験を踏まえたエピソードで紹介するフレームです。
自己PRはどこまでも自己申告制ですので、前項で述べたことが本当のことかどうか、相手企業は真偽を量ることはできません。
受かるために口から出まかせを言っているのではないか、根も葉もないことではないか、企業の人事は常にチェックする目で見ていますので、具体的なエピソードで根拠を支えるのはとても重要です。
ここから先のフレームは、事実に基づき導き出した結論に説得力を持たせるための展開となりますので、まずはそこを意識してください。
問題:その経験で〇〇という問題に直面しました
具体的に挙げたエピソードの中で、いかにして自分が自分の強みに気づくことになったかを述べるためのフレームです。
何事もない日常の中で長所が活かされることももちろんありますが、第三者に一番わかりやすく伝わるのは、やはり何らか起きた問題を強みを活かして解決に導いたときです。
そのため、経験のトリガーとなる問題を挙げることで、わかりやすい展開にするのがセオリーとなります。
ただし会社を揺るがすような大問題や大事件はそうそう起こりませんし、そんなエピソードを求めているわけではありません。
どんな職場でも毎日のように処々の問題に直面しますし、それを都度判断しながら業務を正しい方向へ導くのが仕事です。
そうした一見些細なことでも、真摯に向き合い解決に導いたなら、エピソードとして十分に活用できます。
行動:私は〇〇と考え、〇〇を行いました
直面した問題に対してどう行動したかを述べる重要なフレームです。
ここは自分の強みやスキルだけでなく、人となりも含めて伝えるべき場面ですので、そこを十分に意識して文章を固めてください。
仕事において問題の解決の仕方は無尽蔵にあり、結果的にどれが正解だったのか最後までわからないことも数多あります。
だからこそ企業は理念や哲学を中心に据えて、それを自社の正しい物差しとして社員が業務にあたれるようにしているのです。
そのためここでの考えや行動は、その企業の社風や方針にマッチするかが問われる重要な内容でもあります。
極論を言えば、たとえそのときの行動で問題が収められたとしても、企業の方針とはマッチしない選択だった場合は、縁はない人物という判断になる場合もあります。
結果:その結果、〇〇となり、〇〇に大きく貢献しました
自分が起こした行動がプラスに働いたことを証明する結果フレームです。
これは自己PRですので、基本的には自分を全肯定する結論で構いませんが、可能な限り数字で成果を現すことが評価につながります。
わかりやすいのは売上~%アップ、クレーム率~%減といった業績に直結することですが、職種によってはダイレクトに業績に関わらない場合もあるでしょう。
バックオフィスなら消耗品費昨対~割削減、遅刻者0人といった社内環境に関することも実績になります。
自分1人の力で成し遂げられることはほとんどありませんが、チームの一員として貢献した、アイディアを出した、自分なりに努力や工夫をしたといったことで構いません。
結論:その経験を活かして貴社では〇〇で貢献していきたいと考えております
このフレームはエピソードの結論ではなく自己PRの結論ですので、相手企業に自分を売り込む内容で締めとなります。
実際には第二新卒者で、企業の業績を左右するほど大きな実績を納めたり、多大な貢献をしたりできる人はほとんどいません。
それは採用側も理解していますので、ひたむきに貢献できる、企業のために努力や工夫ができる姿勢自体が大いにアピール材料になります。
自分を売り込むために「自分はこんなにすごい」「こんなに実績を上げた」と自信満々に言いたいかもしれませんが、そこはビジネスパーソンとして立場をわきまえ、謙虚にアピールするほうがより効果的です。
【第二新卒の履歴書に書く自己PRとは】自己PRでNGな5つのポイント
ここまで成功する自己PRについて解説してきましたが、同時に知っておきたいのがNGな自己PRについてです。
企業人事が「こういう第二新卒は採りたくない」と感じてしまう5つのポイントがありますので、それはぜひ肝に銘じておいてください。
「自分はそんなことはしない」と思っていても、無意識のうちに言動に表れてしまうこともありますので十分に注意が必要です。
自己PRの根拠が抽象的
自己PRでは明確に自分を売り込む必要がありますが、そこには必ず根拠がセットになっていなければなりません。
何年か社会人として働いた事実はあっても、ビジネスの世界で「実績」と言えるほど素晴らしい成果を残せることは非常に稀です。
自分はもっと活躍できると自信を持つことは良いことですが、根拠なく話を盛ったり大きなことを言ったりするのはNGです。
抽象的で具体性を欠く場合、人事は「たいした実績ではないのに」「そこまでのスキルはないのに」とかえって評価を下げてしまう結果になりかねません。
意気込みや夢を自由に語ることと、ビジネスパーソンとして事実を伝えることは分けて考える必要があります。
前職の批判をしている
第二新卒の退職理由や志望動機などでも同じことが言えますが、新卒入社した会社をすぐに辞める以上、何らかの不満やフラストレーションがあることは誰もが承知していることです。
ただそれはあくまで自分の中で処理すべきことであり、これから新たに就職を目指す先の企業にはまったく関係のないことです。
前職にどれだけの不満があったとしても目の前の企業には一切漏らすべきではありませんし、ましてや批判や愚痴などを顕わにすることは絶対に避けてください。
これはビジネスマナーでもあり、商談や折衝の席で他社を批判しないことは後々自分の身を守る技にもなりますので、ここで徹底して身につけておいて損はありません。
自己PRが企業の求めているポイントとずれている
最初に自分のアピールポイントを選び、その中から相手企業に合致するものを選ぶよう書きましたが、就活で何より重視すべきなのが企業とのマッチングです。
どんな人物像が求められているかを事前に調べることも重要ですが、ビジネスにおいては相手がどんな答えを求めているか常に意識することはとても大切です。
求めるポイントとずれた答えしかできない場合どうしても魅力は半減してしまいますし、採用側も意図が伝わらない、コミュニケーションが成り立たない人物と感じてしまいます。
履歴書に書かれている内容がちぐはぐだったり、矛盾が起こっていたりするような場合にも信頼性が落ちますので、書くことは全体を通して首尾一貫するようにしてください。
学生時代のエピソードは選ばないようにする
いくら第二新卒とは言え、中途採用者が学生時代のエピソードをアピールしてきたら、やはり人事としては不可解な印象を抱きます。
たとえ入社してすぐに辞めてしまったとしても、もはや立場は大学生ではなく、一社会人であることを肝に銘じなければなりません。
自分をPRするために社会人生活の中で良いものが思いつかないとつい頭が学生時代に遡ってしまうかもしれませんが、新卒と変わらない就活は成り立ちません。
厳しいようですが、なんとか前職で得た経験から絞り出す必要があります。
苦肉の策で、資格関係であれば学生時代から継続して有効に使えるものはあるでしょう。
TOEIC高得点や武道の段位などは、社会人になってからも続けているのであれば使える内容です。
【第二新卒の履歴書に書く自己PRとは】第二新卒の自己PRの例文
それでは具体的に第二新卒の自己PRを紹介します。
ここに挙げるのはあくまで例文であり、作成する際には前述したフレームワークに従い、自分を表現できるPRを作成してください。
意欲や熱意を伝えることも大切ですが、ビジネスパーソンとしてわきまえるべき礼儀やマナーを意識し、勢いだけで書かないようにすることも大切です。
全体を通してきちんとした構成になっていれば、読み手にわかりやすく魅力的な文章になるでしょう。
例文①
私には、目標を立ててそれを達成するというビジネスマインドがあります。
前職では~株式会社で食品の販売職に従事し、月間売上目標は2年半達成し続けました。
入社してすぐに新規顧客開拓を命じられ、名刺交換など基本的なビジネスマナーを学びながら試行錯誤を繰り返していました。
そんな中、指導にあたっていた先輩が急に退職となり、先輩の顧客の一部も担当しなければならない状況になりました。
頼れる人が周りにいなくなった私は、部署をまたいで可能な限りたくさんの人たちに教えを請い、傾聴力と提案力を磨き、月間目標を達成することだけに全力を尽くしました。
その結果、2年目に入った段階で全営業でベスト5の売上を達成し、営業部に大きく貢献することができたことが自信です。
御社は業界でトップシェアを誇りますので、自分のこうした経験を活かし、これまで以上に貢献させていただければ幸いです。
例文②
私は情報収集力と分析力があります。
大学を卒業して株式会社~に入社し、その強みを活かして20代女性をターゲットとしたアパレル販売部門で2年間、Webマーケティング業務に携わりました。
その会社はECサイトを立ち上げていましたが業績が思わしくなく、商品アピールの方法などを模索していましたが、売上に直結する集客が達成できていませんでした。
そこで私は実態把握ができていないのではないかと考え、アクセスデータの詳細な分析を提案し、自ら顧客の行動をデータ化する作業に取り組みました。
その結果、実際にサイトを訪問しているのは40代女性が圧倒的に多いことがわかり、商品ラインナップを変更することで月間売上を40%アップさせることに成功しました。
こうしたWebマーケティングの実務経験を活かし、培った仮説思考力と実行力で貴社に貢献したいと考えています。
例文③
私は英語力に自信があり、前回のTOEICでは900点をマークしました。
語学力を活かし海外で対外折衝業務に携わることを志望し~株式会社へ入社しましたが、配属された部署は一般事務職で願いは叶いませんでした。
そこで私は貿易業務を学びながらプライベートで英語の勉強に力を入れることにしました。
総合職社員のサポートや受発注業務など実務を積極的に受け持つことで総合職の専門知識も身につけ、海外のスタッフとも連携を深めることで信頼関係を築きました。
その結果、1年が終わる頃には不在の多い営業職社員の代行を任されるようになり、海外拠点からも赴任の誘いを受けるまでに成長できたことが喜びです。
御社は海外に数多くの拠点を展開しておられますので、ぜひそちらに駐在し、現地スタッフとして一日も早く御社の利益に貢献したいです。
まとめ
第二新卒の自己PR作成においては、いくつか注意すべきポイントがあります。
たとえ新卒入社してすぐに辞めてしまったとしても、立場はあくまで社会人であり、企業にとっては中途採用者であることを忘れてはいけません。
アピールするのはきちんと根拠のある内容であり、エピソードは前職で得た経験から選ぶことも重要です。
そして、相手先企業がどのような人物、スキルを求めているか、ニーズをきちんと把握して応える意識を持つことも大切なポイントです。