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はじめに
これらから転職活動をスタートする、もしくはすでに初めている人は、しっかりとした転職の「軸」を定めているでしょうか。
軸は言い換えれば「コアとなる転職動機」です。
仕事探しにおいては自分が真に求めるものを自分で理解することが大切であり、それをせずに転職してしまうと後悔するケースも少なくありません。
ここでは、より的確に自分の転職の軸を定めるための方法を解説します。
【転職の軸が定まらない】転職の軸が見つからない4つの原因
いざ自分の転職の軸を定めようとすると、気になることが多すぎて頭の中が堂々巡りになってしまう人もいるでしょう。
そんなときには原点に立ち戻り、自分がどのように働きたいのか、何を実現したいのかを考えるのが一番です。
日々の仕事や生活に追われ、自分にとって一番シンプルなことが見えづらくなっている場合もあります。
転職の軸が見つからないときに、その原因になりやすいものを4つ紹介しましょう。
自己分析ができていない
自己分析は転職活動においてもとても重要です。
単に興味のある業種業界はあるかもしれませんが、そこが本当に自分が理想とする働き方のできる場所かどうかは別問題です。
自己分析ができていないと自分の適性がわからないため、本当に自分に向く職場を見つけにくくなります。
新しい職場を探してやみくもに外に目を向ける前に、まずは自分の内部に目を向けましょう。
転職にあたって自己分析することは、本当に転職すべきかどうかも含めて、自分の真意を考えることができます。
すでに何年か社会人として働いた実績があるわけですから、それをもとに自分のことを客観的に見てみましょう。
そして、できること・したいこと・すべきことの3つをリストアップし、自分の考えをまとめるのがオススメです。
キャリアビジョンが定まっていないため
自分が将来どのような働き方をしているか、キャリアビジョンが定まっている人は転職の軸をすぐに見つけることができます。
今の状況が嫌だという後ろ向きな考え方ではなく、将来どんな自分でいたいかをメインに目標を定めてみましょう。
海外に駐在したい、専門スキルを身につけてスペシャリストになりたいなど、キャリアビジョンは人それぞれです。
重要なポストに就いて給与もアップしたいという人もいれば、ワークライフバランスを整えて時短勤務をしたいという人もいます。
キャリアビジョンの設計は、5年後、10年後に自分がどうなっていたいかをイメージするところから始まります。
これまでに得たあらゆる経験をベースに、こうありたいと願う自分の理想をまずは描いてみましょう。
やりたい仕事が見つかっていないため
前述のキャリアビジョンにも通じますが、自分がどうありたいかが見えていないと、やりたい仕事もなかなか見つけることができません。
単にお金がいというのではなく、どのようにしてお金を稼ぐかが大きな問題ですので、まずはそこを明確にするため考えてみましょう。
ただしやりたい仕事は、仕事とは一見関係のないところから見つかる場合も少なくありません。
プライベートの自分の生活も振り返ってみて、心が動くもの、挑戦したいものなどがないか考えてみてください。
スキルや資格面からアプローチすることもできますし、趣味の旅行やボランティア活動の中にヒントがあるかもしれません。
また人脈から生まれることもありますので、出会った人、友人など身の回りの人にも目を向けてみましょう。
業界や企業に対する理解度が低いため
仕事の軸ですので、どの業界や企業に軸足を置くべきか考えるためには、その業界や企業を理解する必要があります。
学生の就職活動でも業界研究、企業研究は欠かせませんが、これは転職においてもまったく同じです。
すでに働いているのだから関連業界については詳しいはずだと思っても、実は目の前の仕事に追われるだけで業界知識は逆に狭まっていることも多いです。
ましてまったく違う業界であれば、自分の理解度は著しく低いと思ったほうが賢明です。
それだけに転職においては業界研究や企業研究がとても重要ですし、真摯に情報収集に取り組むことが大切です。
そうした得た情報をもとに自分が働きたいと思える場所が見つかれば、その転職がうまくいく確率もおのずと上がるでしょう。
【転職の軸が定まらない】転職の軸が見つからないときの4ステップ
転職の軸を探すプロセスは、自分の現状と未来を知るためのプロセスです。
何より大切なのは、転職の軸探しは転職の言い訳探しではないことを理解することです。
中にはどうしても現状の不満に目がいってしまう人もいますが、不満から逃れるのではなく、満足できる形を見つける意識を持ちましょう。
自分はどういう状況になれば満足して働けるのか、そのスタイルを見つけるための4つのステップを紹介します。
ステップ①:自己分析で過去の経験を棚卸しする
自己分析は、仕事に対する適性を知るためにとても重要なステップです。
社会人として働いて得たことも踏まえて、過去の経験を棚卸ししましょう。
職歴のように役職や立ち位置で判断するのではなく、どのような仕事にどのように取り組んだかまとめてみましょう。
成功した際にはどんな努力をしたか、失敗した際はどのように克服したかをまとめ、そのときの行動もなるべく詳しく書き出すのがオススメです。
職務経歴書を作る際にも役立ちますので、丁寧に進めていきましょう。
まず3ヶ月前・半年前・1年前というように順を追ってやってきた仕事を書き出し、そこに覚えている業務やエピソードを添えます。
小さなことでも構いませんので、そのとき自分がどんなことを考えて仕事をしたかも添えましょう。
スキルが活かされた場面があればそれもまとめます。
そしてそこに、プライベートでどんなことをしたかも書き添えます。
趣味はもちろん、節約や資産運用、SNSなども含めて様々な観点で自分の経験を言葉に表すことがポイントです。
ステップ②:棚卸しした経験から自分の価値観を見つける
ある程度書き出せたら、そこから自分の仕事に対する価値観を見つけ出します。
仕事の価値観を知ることは、自分が仕事をする上で何を大事に考えるかを客観的に知ることです。
転職を考える理由に企業との価値観のズレを挙げる人はとても多いですが、自分が大切に考えることと企業の判断が食い違うことは大きなストレスになります。
転職後に同じようなミスマッチを起こさないようにするためには、まず自分が物事をどう捉えてどう判断するかを理解し、合致する企業を探さなければなりません。
たとえば何事もチャレンジ、革新的な取り組みにこそ大きな価値があると考える人が、保守的で新しいことには消極的な企業に合うはずもないでしょう。
ただしそうしたミスマッチに気付くためには、自分が本心でチャレンジを望んでいることを知らなければなりません。
自分の経験を棚卸しし、自身の価値観を見つけることは、転職を成功させるためにはとても大切なステップといえます。
ステップ③:自分の将来についてじっくり考えてみる
自分の価値観が理解できたら、将来自分がどのような姿になっていれば理想なのかを考えてみましょう。
転職者の面接では、5年後、10年後にどうなっていたいかキャリアビジョンを聞かれることが多いですが、これは単に夢や希望を語らせるための質問とも限りません。
一概にいえませんが、一定の社会人経験がある人は、無意識にもプレイヤー志向かマネージャー志向かどちらかに傾向が出ることが多いです。
プレイヤーは年齢を重ねてもあくまで現場に立つことを望み、マネージャーは現場を離れ組織をマネジメントする立場を望みます。
どちらが向くかは適性により千差万別ですし、正解があるわけではありませんが、少なくとも自分でそれを理解していること、企業側が求める人材にマッチしていることは重要なポイントです。
この先どのような業種業界で働くかも重要ですが、どのような立場でどのような働き方をするのが望みなのか、その点も踏まえて自分の将来をじっくり考えてみてください。
ステップ④:今の職場と理想のギャップを考える
ここまでのステップで、自分が何を求めているのか、どのような状況になれば満足して働けるのかが理解できたはずです。
それを踏まえ、現状を改めて見直すのが最後のステップです。
今の職場にはどのようなギャップがあるのか、理想とはどのような違いがあるのかを考えてみましょう。
ここで重要なのは、転職ありきではなく、現状を冷静に判断することです。
もしそれまで漠然と転職したいと考えていただけなら、こうしたステップを踏み、一度立ち止まってじっくり考えることで、より鮮明に未来への道が見えてくるでしょう。
ギャップが明確にわかれば、そのギャップを埋めることはできないのか、何か方策はないのかも検討してみることができます。
場合によっては、部署異動を願い出ることで叶うこともあるかもしれません。
スキルが足りないなら、必要なスキルが身につくまでもう少し踏みとどまるという選択も考えられます。
それでもあらゆる角度から客観的に見て転職を判断するのであれば、おのずと次の目標も見えてきているでしょう。
自分で自分を理解できていれば、もう転職の軸がブレることもありません。
【転職の軸が定まらない】転職の軸の例
転職先でどんな働き方を希望するか、待遇や環境はどのようなものなら理想なのかは、一人ひとり千差万別で正解はありません。
同じ職種での転職を目指す人もいれば、まったく異なる業界に飛び込む人、バリバリ仕事をしたい人やプライベートに重きを置きたい人など様々です。
そのまま当てはまることはないにしても、もし同じような気持ちを持つ人がいれば、考え方を参考にすることもできるでしょう。
転職希望者や転職を成功させた人たちが、実際にどのような転職の軸を定めて活動しているか紹介します。
働き方に関する転職の軸
働き方を軸にするのは、王道中の王道といえます。
今の仕事が忙しすぎるのでもっとプライベートを持ちたいという人ばかりでなく、もっとハードな環境で仕事にガンガン打ち込みたいと希望する人も実は非常に多いです。
転職エージェントに寄せられる声で多い例は以下の通りです。
・もっとハードな環境でチャレンジングな仕事がしたい
・海外駐在したい、海外で活躍したい
・よりスキルを磨いてスペシャリストとして仕事がしたい
・経験を活かしてキャリアアップしたい
・まったく新しい業種業界に挑戦したい
・ワークライフバランスを整えてプライベートを充実させたい
これだけ見ても、実に様々な人が様々な価値観や軸を持って転職活動をしていることがわかるでしょう。
一人ひとりに正解があり、その人の軸がその人の転職を成功に導く重要なカギとなります。
いずれにせよ、軸を決めるときに「やりたい」ことだけでなく「ありたい」姿も同時にイメージすることが大切です。
待遇面に関する転職の軸
待遇は比較的シンプルな軸であり、多くの人が多かれ少なかれ希望として持ってはいるものです。
ただ前述の通り新しい仕事にチャレンジする人は、たとえ待遇が劣るとも挑戦することのほうを選ぶケースもあります。
転職といえば待遇アップ以外にないだろうと考える人もいるかもしれませんが、待遇のみを軸のすべてに据える人ばかりではありません。
そうしたことも含めて、待遇面を軸にするときの例を挙げてみましょう。
・給与をアップしたい
・残業を減らしたい
・時短勤務できる仕事に就きたい
・フレックスタイム制のある企業に就職したい
・リモートワークができる仕事に就きたい
こうした声を見ると、待遇面は給与だけでなく、時間に関する内容が多いことに気付きます。
人生のライフステージには様々な変化があり、育児や介護など時間を割かなければならない事情も発生します。
働く時間を減らすことだけでなく、働く時間を自由に選びたいという要望も、実は少なくないのです。
職場や環境に関する転職の軸
職場環境は、職種など業務そのものではないものの、仕事に対してとても大きな影響力を持ちます。
人間関係なども含まれますが、もっと大きな社風や風土をはじめ、組織の考え方や事業の方向性なども含めて様々な転職の軸が存在します。
どんなにやりたい仕事であっても、企業の方針と価値観が合わなければ理想の働き方はできません。
それだけに業界研究や企業研究は大事ですし、転職活動の段階でなるべく詳細な情報を得る必要があるといえるでしょう。
転職の軸としては以下のような内容があります。
・社会貢献性の高い仕事に携わりたい
・若い社員に裁量を持たせる環境で働きたい
・マネジメントができる環境で仕事をしたい
・新しい企業でスタートアップに取り組みたい
・チーム一丸となって目標を達成する仕事に就きたい
職場環境に何を求めるか、その価値観は一人ひとり本当に様々です。
もちろんその人の価値観に合う仕事がその人の正解ですので、自分が真に求めるものを明確にすることが重要といえます。
【転職の軸が定まらない】それでも転職の軸が見つからないときは転職エージェントに相談しよう
ここまでのステップを踏んでも、どうしても転職の軸を見つけることができない、そんなときもあります。
何度掘り下げても頭の中が整理できないなら、第三者である転職エージェントのアドバイスを利用するのはとても良い手段です。
人は他の人のことはわかっても、自分自身のことはどうしてもわからないということがままあります。
考えれば考えるほど自分のマイナスの部分ばかりが目について、良い点や強みを引き出せない人もいるでしょう。
転職エージェントは一人では難しいキャリアの棚卸しをサポートし、第三者の立場から理想の追求を助けてくれます。
あらゆる業種業界の新しい情報を持ち、企業の内情にも詳しいので、ぜひ一度相談してみましょう。
まとめ
転職活動で大切なのは「軸」を持つことですが、それは他でもない自分自身で見つけ、定めなければならないものです。
やみくもに新しい職場を探す前に、まずは自分の内面を掘り下げ、価値観を理解しましょう。
現状への不満にばかり目を向けるのではなく、5年後、10年後に自分がどんな働き方をしていれば理想的なのか、リアルにイメージしてみてください。
そのビジョンが明確に描けたときに転職の軸は定まり、きっと成功につながる転職活動ができるはずです。