商社はどこに就職すればいいの?項目別の商社のランキング

商社はどこに就職すればいいの?項目別の商社のランキング

大学生が就活を始めるにあたって毎年のように話題になるのが、どの業種に人気があるかということです。

さまざまな業種がありますが、とりわけ学生たちに人気があるのが商社で、中でも大手総合商社は特に人気があります。

実は総合商社と呼ばれる企業に明確な規定はなく、どのような会社なのかが非常に漠然としているのが特徴です。

そもそもトレーディングと呼ばれる需要者と供給者を介する役割によって、手数料や口銭で稼ぐ方法で企業活動を行っている会社を商社と呼んでいたのですが、現在では食品を手掛ける一方でロケット開発まで行うなど、その取り扱う分野が実に幅広くなっています。

学生たちが総合商社に憧れる理由の最たるものは、さまざまな事業の中に自分の可能性を見出せるところでしょう。

そこで、総合商社をさまざまな要素から分析した場合、どこに就職すればいいのかという疑問の答えを項目別にし、そのランキングから検証するのが良さそうです。

【商社のランキング】そもそも商社とはどんな業界?

就活生の間では昔から高い人気を誇る商社業界ですが、その業種や職種に関して正しい知識を持っている学生はそれほど多くはないのではないかと思います。

そこで、ここでは商社という業界や仕事内容について詳しく見ていきましょう。

業界について

商社と呼ばれる企業には大きく分けて「総合商社」と「専門商社」の2つがあります。

総合商社は「ラーメンからミサイルまで」と例えられるようにありとあらゆる商品を扱っているのが特徴で、その多くは財閥の中核企業として大きな事業規模を誇っています。

特に「三菱商事」「三井物産」「伊藤忠商事」「丸紅」「住友商事」は5大総合商社と呼ばれ、その事業規模で同業他社を圧倒しているのが実情です。

一方、専門商社はある特定の分野に特化して取引を行う企業のことです。

総合商社と比べると就活生の人気は高くありませんが、特定の分野について圧倒的なシェアを持つ優良企業も含まれています。

商社の仕事内容

商社の中でも総合商社という形態は日本で独自に発展してた経緯がありますが、その仕事内容は時代とともに少しずつ変化してきています。

ここでは商社の仕事内容を「トレーディング業務」と「事業投資業務」に分けて説明していきます。

トレーディング業務

商社の仕事としてのもっとも基本的な業務であり、おそらくほとんどの人が商社の仕事としてイメージするのが「トレーディング業務」ではないでしょうか。

例えば、クライアント企業が石炭を必要としていれば商社がクライアント企業に代わって海外で安く石炭を調達して売り渡し、その差額や仲介手数料で利益を得るのがビジネスモデルとなります。

以前の商社というとエネルギー分野の比重が非常に大きかったのですが、リーマンショックの影響により資源価格が一時的に暴落したことから、最近ではエネルギー分野から非エネルギー分野へのシフトチェンジしてきているのが特徴です。

事業への投資

商社の事業のもう一つの軸となっているのが事業投資です。

事業投資とは簡単に言えば「ある企業に対して出資を行って、その企業を成長させることで利益を生み出す」というビジネスモデルです。

事業投資の例としてよく用いられるのがコンビニです。

国内では現在、「セブンイレブン」「ローソン」「ファミリーマート」と3つのコンビニが激しい競争を繰り広げていますが、セブンイレブンには三井物産、ローソンには三菱商事、ファミリーマートには伊藤忠商事が投資を行っています。

コンビニの場合、例えばお弁当に必要な食材や容器の調達、各店舗への輸送などについては商社ならではの幅広いネットワークを利用することでシナジー効果が得られるため効率的な経営が可能になるというメリットがあります。

このようにシナジー効果を考慮した事業投資は今後もさらに拡大していくと考えられます。

商社の有名企業

商社の中でも特に事業規模が大きく就活生にも人気があるのは「三菱商事」「伊藤忠商事」「三井物産」の3つの総合商社です。

ここではその3つの総合商社の特徴を見ていきます。

それぞれの企業の違いをしっかりと把握することは魅力的な自己PRや志望動機につながりますので、他の学生に差を付けられるでしょう。

三菱商事

三菱商事は総合商社の中でも随一の事業規模を誇り、人気実力ともに業界トップを走っています。

三菱商事はどのような会社で、どのような強みがあるのでしょうか。

企業紹介

三菱商事は三菱財閥の中核企業の一つであり、古くから政府との結びつきが古いことから「社員は半分公務員だ」と言われることもあるほどです。

また、「組織の三菱」という言葉あるように個よりも組織を重んじる傾向があります。

どこに強みがあるのか

三菱商事の強みは一言で表現するならば総合力と言えるでしょう。

インフラ事業をはじめとして金融や機械、エネルギー事業など幅広い分野で事業を展開しています。

その中でも特に強みを持っているのがエネルギー事業であり、日本の液化天然ガス(LNG)の生産・輸出の10%以上に三菱商事が携わっています。

伊藤忠商事

伊藤忠商事も国内を代表する総合商社であり、就活生からの人気も絶大です。

伊藤忠商事を目指す学生は特徴や強みをしっかりと理解しましょう。

企業紹介

伊藤忠商事はかつて繊維商社として世界最大であった伊藤忠財閥の中核企業であり、創業者の伊藤忠兵衛からその名前が付けられました。

戦前は住友系列と近い関係にありましたが、現在はみずほグループの一員となっています。

近江商人のDNAを持つ伊藤忠商事では「三方良し」が哲学であり、商売によって売り手・買い手・世間の皆が幸せになるという精神を受け継いでいます。

また、チャレンジ精神が豊富な社風にも定評があります。

どこに強みがあるのか

伊藤忠財閥が世界最大の繊維商社だったこともあり、繊維関係については現在でも強みを維持しています。

世界の有名ブランドとのつながりも強く、繊維事業で大きな成功を収めています。

また、バナナで有名な「ドール」やミネラルウォーターの「エビアン」など食品関係でも強みを発揮しています。

三井物産

三井物産は事業規模では三菱商事に劣りますものの、就職人気ランキングでは業界内でトップを走る人気の企業です。

その人気に理由はどこにあるのでしょうか。

企業紹介

三井物産は三井財閥の中核企業の一つであり、三菱商事と同様に政府関連の仕事も多く担ってきました。

しかしながら、三菱商事の社員が公務員的だと言われるのに対して三井物産の社員には一般的にお堅いイメージがありません。

なぜなら、三井物産は「人の三井」と言われるように個を重んじる自由な社風が特徴で、能力を最大限に発揮でいる環境が整っているからです。

どこに強みがあるのか

三井物産の強みは石炭や原油などのエネルギー分野です。

数年前までは同業他社に比べると圧倒的にエネルギー分野への比重が高くなっていました。

しかしながら近年はエネルギー価格の変動が激しく、2016年度にはエネルギー価格の急騰により創業以来初めての連結赤字となったことから、現在では構造改革が進んでいます。

特に鉄道などの社会インフラ事業やヘルスケア事業への投資が目立ちます。

【商社のランキング】売上ランキング

総合商社選びの一番の情報として重視されるのが、何といっても企業の業績の良し悪しを端的に物語る売上高です。

5大総合商社すべてが連結決算において巨額の売上高をあげていますが、その中でも特に業績堅調なところを選びたいという気持ちは、就活学生にとっては非常に強くなります。

三菱商事

5大総合商社の一つである三菱商事は、総合商社の筆頭に名乗りを上げるといっても過言ではない総合商社で、売上においては5大総合商社はもちろん、すべての総合商社のトップに立っています。

巨大な三菱グループの中に属する総合商社で、その売上は堂々の第1位です。

三菱商事は総合商社として幅広い分野において事業展開を行っているものの、その盤石な基盤を築いたのは、1970年代から手掛け始めた天然ガスや鉄鉱石、石炭などの投資資源で、これに積極的に取り組んだことが一番の要因です。

これによって開発投資型ビジネスの基礎を築き上げた三菱商事は、現在もこれらの投資資源を核と位置付け、大きな収益源としています。

2000年代には、世界において変わりゆく資源エネルギーに対応するため、資源ビジネスの更なる拡大に臨んでいるのも特徴です。

1980年代にはグループ傘下の三菱食品を通して、食料流通におけるバリューチェーンを構築し、1990年代はローソンを通して消費者マーケットにおける開拓を行うなど、その巨大な組織力を活かした総合商社として、他部門にわたってさまざまな体質変化を遂げてきました。

この巨大資本こそ、三菱商事を総合商社最大手であり、売上1位にしている理由です。

伊藤忠商事

グループ傘下の総合商社が多い中、独立系の総合商社です。

戦前に数多くの紡績会社をもっていた伊藤忠財閥が祖となっており、かつては世界最大の繊維商社でした。

そのため、現在も繊維部門における売上が多くを占めているのが、伊藤忠商事の最大の特徴です。

この特徴は、伊藤忠商事における非資源分野の割合を高める結果となり、資源を多く扱う他の総合商社に比べて経営の不安定要素を非常に低くしています。

これが売上において、総合商社大手の筆頭といえる三菱商事に次ぐ、第2位の売上高となっている理由です。

現在は繊維にとどまらず、グループの傘下に金融や保険、情報通信といった業種から、生活資材や食品といった多彩な分野で有力な企業を持っていることが、総合商社の伊藤忠商事全体の売上に大きく寄与しています。

丸紅

旧安田財閥や浅野財閥、大倉財閥といった財閥系の流れを引き継ぐ芙蓉グループで中核となる総合商社の丸紅は、元々は伊藤忠と起源が同じで、その後それぞれが分割して現在に至るという歴史を持っています。

1997年にタイからアジア各国に起こった急激な通貨下落危機、通称アジア通貨危機起は、元々はアメリカのヘッジファンドによる空売りから起こった金融危機ですが、このアジア通貨危機によって総合商社の多くが莫大な負債と不良債権を抱え込むことになりました。

中でも丸紅は一時、倒産が危ぶまれましたが、Action21 A Planと呼ばれる中期再建計画が功を奏してV時回復を果たし、総合商社の売上において第3位となるまでの業績回復を成功させています。

紙やパルプに食料、電力といった部門は生活に欠かせませんが、これらの部門において伝統的に強かったことが丸紅を救い、現在の売上に結び付いているといえます。

【商社のランキング】平均年収ランキング

総合商社の上位3位にランクインしてくるところはすべて、平均年収は1,000万円以上が当たり前といっていいでしょう。

ただ、売上高との連動においては、必ずしも常に同じとはいえないのも特徴です。

三菱商事

三菱商事における平均年収は、およそ1,390万円から1,540万円台となっています。

売上高において総合商社トップに君臨する三菱商事だけに、三菱商事の商社マンになり、持てる力を最大限に発揮すれば高収入につながるといえます。

学生たちにとって総合商社が人気の就活先になるのも、この年収を見れば無理もないところです。

売上高においてトップに君臨し、その業績の良さが平均年収のランキングにおいてもトップに反映されているとあって、三菱商事を選べば間違いないと学生に思わせるだけの実績が、三菱商事を5大総合商社の筆頭と言わしめる所以でしょう。

伊藤忠商事

平均年収の第2位にランクインしたのが伊藤忠商事で、こちらも売上高におけるランキング第2位と連動しています。

平均年収は1,380万円から1,450万円台で、三菱商事と同様に堅調な売上高が年収にも反映されています。

独立系総合商社であり、傘下に有力企業を多く抱えることと、非資源分野におけるセグメントが多いということが安定した経営につながっている伊藤忠商事では、商社マンの平均年収も安定して高い傾向にあるのは確かです。

三井物産

平均年収において第3位にランクインしたのが三井物産で、平均すると1,210万円台から1,410万円台となっています。

売上高ランキングにおいては第3位に入っているのは丸紅で、三井物産はその下の4位に入っていますが、平均年収においては逆転しているのがわかります。

この逆転現象からいって、売上高が高ければ年収も高くなるという1位の三菱商事と2位の伊藤忠商事の例が、5大総合商社すべてに当てはまるわけではないことは明らかです。

平均年収の多さを理由に総合商社を選ぶのであれば、丸紅ではなく三井物産になるとあって、どのような部門を持ち、何に強みを持っているのかを知り、そこで自分がどう活躍できるのかを踏まえて考えることが、高い年収を得ることにつながってきます。

【商社のランキング】人気ランキング

売上高や平均年収など、総合商社の価値を判断する要素はいろいろありますが、仕事のやりがいも重視すべきところです。

そのため、さまざまな要素を総合的に見た結果、就活を行う学生たちにもっとも人気の高い総合商社はどこかが見えてきます。

伊藤忠商事

総合商社における人気ランキングで堂々の第1位となったのが、伊藤忠商事です。

伊藤忠商事が人気において第1位となった理由としては、社員一人ひとりが攻めの気概を持っており、個人の力によって切り開いていくことを後押しする社風にあります。

個性的かつ負けず嫌いな社員が多いことも、こうした先輩社員に憧れる就活生を惹きつけることになり、ここでなら自分が決めた目標に向かって努力できると感じさせるからでしょう。

忌憚なく意見を言える雰囲気や、仕事に意欲的な社員が多いといった雰囲気を肌で感じ取る学生が非常に多いことが、伊藤忠商事を人気ランクにおいて第1位にしているのは確かです。

三菱商事

売上高と平均年収においてトップに君臨する総合商社最大手の三菱商事だけに、その人気の高さは当然です。

人気トップとなった伊藤忠商事との最大の違いは、組織が非常に大きいだけあって、組織や集団の中で果たすべき役割が求められるところでしょう。

総合商社最大手として、日本を代表するリーディングカンパニーであることに魅力を感じるならば、組織の中で役割を果たすことにやりがいを感じることができますが、個々の持ち味を発揮したいと考える場合には組織に縛られる可能性もあります。

さまざまな分野においてトップをひた走る三菱商事ですが、大きすぎる組織であるがゆえに、人気においてはわずかにブレーキをかけているといえるでしょう。

三井物産

組織に縛られる可能性がある三菱商事は、しばしば組織の三菱と呼ばれます。

伊藤忠商事の個を活かす社風に対して、組織の一員となることに抵抗を覚える学生が多いことが、三菱商事が人気ランキングで第1位にならない最大の理由ですが、これと似た要素を持っているがゆえに、人気ランキングの第3位にランクインしているのが三井物産です。

組織の三菱に比較してよく引き合いに出されるのが人の三井であり、傑出した逸材を多数輩出してきたことで知られています。

この人の力によって日本で最初に商社を作りあげたのも三井物産であることから、組織の一員として見るのではなく、社員一人ひとりを評価してくれるのではないかという期待から、三井物産への人気が高いと考えて良いでしょう。

まとめ

高い年収と社会的ステイタスが得られるとして人気の総合商社への就職は、就活に励む学生たちにとって、これまでの勉学への取り組みの集大成として臨むにふさわしい就活先となっています。

目指すは5大総合商社のうちのどれかだという人もいれば、それぞれの商社の特徴や違いを事細かく分析し、安定した経営や平均年収の高さから選ぶか、それとも仕事の内容や仕事の進め方の違いなどから自分に適した商社を選ぶかを決める人もいます。

いずれにしても高い人気を誇る業種だけあって、事前の情報収集はより多いに越したことはありません。

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