就活生の中には、金融業界の具体的な仕事を知りたい!という人がいるでしょう。
一言で金融業界といっても、勤める会社や職種によって仕事はさまざまです。
仕事内容を理解しないまま就職すると、せっかく入社した会社をすぐに退職するといったことになりかねません。
自分に合った仕事を見つけるために、仕事内容を知っておくことが大切です。
入社後にミスマッチが起きないように、金融業界への就職を検討している就活生はぜひチェックしてください。
- 金融業界にどのような仕事があるのか
- 仕事をしていく上での金融業界の収入源は何か
- 金融業界での働き方
- 金融業界の仕事内容を知りたい就活生
- 金融業界に興味がある就活生
- 金融業界への就職を検討して
金融業界の基本
金融業界とは、銀行をはじめ保険会社や証券会社などの金融商品を取り扱う仕事を行う企業のことを指します。
その仕事内容はさまざまですが、営業やフィナンシャルプランナー、事務職などが主な職種として挙げられます。
また、最近ではネットバンクやネット証券など、金融業界にもIT業務が必要不可欠になってきました。
この金融とITを組み合わせた新しい技術は「フィンテック」と呼ばれ、金融業界でなくてもIT技術を駆使して金融業界に参入するといったケースも見られるようになりました。
そんな金融業界ですが、具体的にどんな仕事をしているのでしょうか。
今回はそんな金融の仕事に関する疑問やITとの関わりについて紹介をいたします。
特にこれから金融業界の選考を受けようと思っている新卒学生の人は、金融の仕事について正しく理解し、面接での話題や対策などに役立ててください。
金融業界の仕組み
金融業界には銀行をはじめとして証券会社、生命保険会社、損害保険会社などがあります。
金融業界のそれぞれの会社は企業活動により得られる収益を財源としています。
銀行は預金金利と貸出金利の差で生じる利ざやと決済業務などに関わる手数料が主な収益です。
また、証券会社は株式など金融商品の販売を収益とし、生命保険会社や損害保険会社は保険商品の販売が主な収益です。
このように金融業界はそれぞれ取り扱う金融商品から発生する収益を財源としています。
金融業界のビジネスモデル
金融業界と聞くと銀行が1番に思い浮かぶ人が多いかもしれませんが、金融業界には銀行の他にも証券会社やクレジット会社なども入ってきます。
ここでは金融業界におけるそれらの会社のビジネスモデルについて詳しく解説していきます。
証券会社
証券会社とは、有価証券の仲介や、株式の運用を行うことで利益を上げている会社です。
具体的な証券会社の収入源は、以下のように多岐にわたります。
販売収益 |
個人や企業に対する株式や債券などの販売や資金調達支援、保険商品の販売など。 |
金融収益 |
信用取引に関する金利収入や株券に対する金利による収益など。 |
トレーディング損益 |
証券会社が自ら取引相手となって行う売買に関する取引など。 |
委託手数料 |
取引手数料やサービス手数料など、顧客に対する手数料収入。 |
その他受入手数料 |
IPOや投資信託の販売手数料、信託報酬、助言料など。 |
さらに証券会社は、上記の収入源を活用してビジネスを展開しています。
例えばSBI証券では、国内株式売買手数料が一部無料です。
しかし金融収益やトレーディング損益、委託手数料などの事業部門から、収益を上げています。
とくに昨今では手数料無料化が進み、顧客獲得を目的とした戦略を重要視している状態です。
各証券会社は競争力を維持するために、新たなビジネスモデルを模索しています。
生命保険会社
生命保険会社とは、生命保険商品の販売や購入者へのアフターフォローを行っている会社です。
主な生命保険会社の収入源は、以下の2つです。
保険料収入 |
保険加入者が支払う保険料ー企業が支払う保険金=利益 |
資産運用益 |
保険料収入を国債や社債などの資産運用に充て、その運用益から得る利益 |
生命保険会社は保険加入者の予定死亡率や予定事業費率などを元に保険料を設定し、将来の支払いに備えて資産を運用しています。
とくに生命保険会社が利益を得ているのが三利源と呼ばれる以下の3つです。
-
死差益
-
費差益
-
利差益
とくに死差益からは、収益の大半を得ています。
このように生命保険会社は、顧客のリスク管理と資産運用を通じて収益を上げているのです。
損保保険会社
損保保険会社は、交通災害や火災、自然災害などに対する保険商品を販売している会社です。
また保険加入者への説明や補償対応など、アフターフォローも行っています。
損保保険会社の主な収益源は、以下の2つです。
保険料収入 |
保険加入者から受け取る保険料をもととした利益 |
資産運用益 |
保険料収入を資産運用に充て、その運用益から得る利益 |
損害保険会社は保険加入者に対して、リスクへの備えと補償を行っています。
大切なのは、保険料やサービス内容のバランスです。
各損保会社は、競争力を維持するために適切なサービス提供と資産運用が求められています。
クレジットカード会社・信販会社
クレジットカード会社は信販会社とも呼ばれ、加盟店からの取引手数料やカードの年会費などが主な収益源です。
具体的に、クレジットカード会社は以下の2つから収入を得ています。
手数料 |
カード利用者や加盟店から支払われる手数料 |
資産運用益 |
保有する資産を運用して得た運用益 |
クレジットカードは、カード利用者・加盟店・カード会社の信頼関係が非常に重要です。
多くのクレジットカード会社がVisa、Mastercard、JCBなどの国際ブランドと提携し、信頼性や決済機能を向上させています。
またクレジットカード会社が収益を上げていくためには、利用者や加盟店の増加がひつようです。
そのためさまざまなサービスや特典を提供することで、顧客獲得や維持に努めています。
加えて資産運営も、クレジットカード会社の重要な資金源です。
クレジットカード会社は手数料や年会費などから得られる利益を利用し、サービス提供や資産運用などを行い業績向上を図っています。
政府系金融機関
政府系金融機関とは、中小企業への支援や経済の発展を目的に日本政府が設立した機関です。
出資金のほとんどが政府から出されているため、政府系金融機関と呼ばれています。
具体的には、政府系金融機関は以下の5つです。
-
日本銀行
-
日本政策投資銀行
-
日本政策金融公庫
-
商工組合中央金庫
-
住宅金融支援機構
政府系金融機関の主な収入源は、以下の2つです。
財政投融資 |
政府が特定の政策目的や、産業振興などのために提供する融資金 |
手数料収入 |
一部の政府系金融機関は、手数料やサービス料などからも収益を得ている |
政府系金融機関は公共性を持ちながら運営されており、国家の政策目的や社会的使命を達成するために活動しています。
主な業務は、特定の産業や地域に財政投融資を提供し、経済発展や社会福祉の向上を支援することです。
政府系金融機関は特定の政策目的に基づいて資金提供や支援を行うことが多く、活動の多くは国家の経済政策や産業振興などに密接に関連しています。
政府系金融機関の活動の多くは、国家全体の発展が目的です。
資産運用会社
資産運用会社は、顧客から預かった資産の運用・管理を行う会社です。
主な資産運用会社の収益は、以下の2つです。
運用手数料 |
顧客から受け取る運用手数料が主な収入源 |
パフォーマンス料 |
一定の利益を上げた際に徴収するパフォーマンス料 |
資産運用会社は投資家との信頼関係を築きながら、彼らの資産を適切に運用して利益を上げます。
適切に資産を運用するためには、 市場動向や投資対象の情報収集が重要です。
収集した情報をもとに投資先のリスクを評価し、リスクとリターンのバランスを考慮しながら運用を行います。
近年では、ESG投資や持続可能な投資への関心が高まってきました。
資産運用会社もこれらの要素を取り入れた運用を行うことが重要視されています。
持続可能性や情報収集なども重要な要素としてビジネスモデルに組み込み、資金運用することが資産運用会社の主な業務です。
ベンチャーキャピタル、PEファンド
ベンチャーキャピタルとPEファンドは、投資会社です。
投資家から受託した運用資金をさまざまな資産に投資し、投資利益を上げて分配します。
ベンチャーキャピタルとPEファンドの違いは、投資対象が異なる点です。
ベンチャーキャピタルは、成長の可能性のある企業へ投資をします。
一方PEファンドは、主に業績が安定しビジネスモデルが確立した企業が投資の対象です。
投資会社の主な収入源は、以下の2つです。
投資元本 |
スタートアップや成長企業に資金を提供し、その際に一定の株式や経営権を取得します。投資元本から得られる資金が、主な利益です。 |
成功報酬 |
成長企業が成功し、株価が上昇した際には、その利益の一部を成功報酬として受け取ることがあります。 |
ベンチャーキャピタルやPEファンドは、潜在的な成長性や収益性が高い企業を選定し、資金提供を行います。
投資後は、経営支援や戦略立案などを通じて、投資先企業の成長を支援するのです。
同時に投資先企業のリスクを適切に評価し、リスクヘッジ戦略を立てて運用を行います。
また 成功した企業からの利益を最大化するために、適切なエグジット戦略(株式売却やIPOなど)を計画・実行することも怠りません。
ベンチャーキャピタルやPEファンドは、成長企業への投資を通じて収益を上げるビジネスモデルを展開しています。
投資元本と成功報酬から収益を得る一方で、投資先企業の成長支援やリスク管理に重点を置きながら事業展開するのです。
不動産金融
不動産金融とは、その名の通り不動産と金融を合わせた業界のことです。
主な収入源は、以下の2つとなっています。
ローン利息 |
提供したローン利息から出た収益 |
手数料 |
ローン手数料や手続き手数料などの手数料 |
不動産金融は、不動産取引において資金を提供し、顧客が不動産を購入する際の資金調達を支援します。
その際に借り手の信用リスクや担保価値などを適切に評価し、リスク管理を欠かしません。
またローン利息や手数料などから収益を上げるために、適切な金利設定やサービス提供を通じて収益を最大化します。
顧客の不動産取引を支援し収益を上げる一方で、リスク管理や収益最大化のための戦略立案を寝ることが、不動産金融にとっては重要です。
リース会社
リース会社とは、取引先に商品を貸す代わりにレンタル代金を得ている会社です。
主な収入源は、以下の2つとなっています。
リース料 |
購入した製品や機器を取引先に貸し出す際のリース料 |
手数料 |
取引や手続きに伴う手数料 |
リース会社は製品や機器を購入し、それらを顧客にリース提供します。
顧客はリース料を支払い、製品や機器を利用するという仕組みです。
レンタル時に借り手の信用リスクや担保価値などを適切に評価することで、リース会社はリスク管理を行っています。
また リース料や手数料から収益を得るために、常に価格調整を欠かしません。
リース会社は製品や機器を顧客に貸し出すことで収益を上げるビジネスモデルを展開しています。
リース料や手数料などが主な収入源であるリース会社にとって、融資提供やリスク管理、収益最大化のための戦略が重要です。
金融業界各職種の仕事内容
金融業界と一言で言っても、その仕事内容はさまざまです。
例えば、銀行であれば預かったお金を企業や個人へ貸し出し、その際の金利から収入を得ています。
証券会社や保険会社の場合、株式・債券などを運用することで収入を得ており、その資金源となるのは保険料であったり金融商品を買う際の仲介手数料です。
以前はそれぞれの業務が棲み分けされていましたが、昨今では銀行と証券会社、銀行と保険会社などで連携をする動きが強まり、自社グループ内で複数の金融会社を設立している企業もあります。
いずれにしても顧客の資産を取り扱う仕事となりますので、顧客の要望や状況に合わせた提案力、そして金融商品について情報を収集したり新商材について勉強する勤勉さが求められる仕事と言えます。
金融業界は給与や福利厚生などの待遇が良く、安定しているイメージが強いため、就活においても高い人気を誇る業界です。
ですが、会社や顧客の資産を扱うというプレッシャーや月々のノルマなどシビアな面もありますので、いきたいと思う企業については採用ホームページなどを通し、仕事内容が自分に合うかどうか良く調べておくようにしましょう。
また、ここでは金融業界における職種についても簡単に紹介をいたしますので、参考にしてください。
営業
金融業界における営業職は、法人や個人を対象として、融資や金融商品の提案、顧客開拓など幅広い業務を担当します。
法人と個人相手の、具体的な営業内容は以下です。
法人営業 |
事業設備資金や事業運転資金の貸付け 預金取引 融資の提案 新規顧客の開拓 事業承継のサポート |
個人営業(外勤/窓口) |
定期顧客訪問 金融商品の提案 取引のサポート 新規顧客獲得 |
金融の営業は、数字目標達成力や新規顧客開拓能力が求められる職種です。
顧客ニーズに合わせたサービス提供や、資産運用アドバイスが必要となってきます。
また営業成績によって収入が上がる、出来高制を取り入れている会社も少なくありません。
特に外資系などでは、成績が良ければ数百万や数千万単位で年収やボーナスに反映されることがあります。
しかし反対に、成績が悪いと減給や降格、場合によっては解雇など、厳しい評価基準が設けられていることがあります。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、人々のライフプランや将来設計に対して最適な資産計画をアドバイスする仕事です。
国家資格や民間資格があり、金融業界の中で比較的人気のある仕事となっています。
また、資産運用という点では、以下の2つもファイナンシャルプランナーと同列の仕事です。
プライベートバンキング |
富裕層の顧客を対象に最適な資産計画をアドバイスする |
ファンドマネージャー |
法人から預かった資産を投資運用する |
ファイナンシャルプランナーは、 顧客の資産状況や目標に基づいて、適切な資産配分や投資戦略を提案します。
また顧客のリスク許容度や保険ニーズを評価し、リスクマネジメントのアドバイスを行うことも仕事のひとつです。
さらに税金の最適化や節税対策を提案し、顧客の財務状況を最適化します。
他にも相続税対策や資産承継、資産に関するアドバイスをするなど、ファイナンシャルプランナーはお金のエキスパートです。
ファイナンシャルプランナーは、顧客のニーズや目標に合わせて個別の資産計画を立案し、将来に向けた財務戦略をサポートします。
プライベートバンカー
プライベートバンカーは顧客1人に専属で配置され、資産の総合的なコンサルティングをする仕事です。
プライベートバンカーの主な仕事内容は、以下の通りです。
資産管理 |
顧客から数億円といった高額な資産を預かり、適切な運用や投資アドバイスをする |
マーケット分析 |
市場動向や投資機会を分析し、顧客の資産を最適化するための戦略を立案する |
税務アドバイス |
税金に関するアドバイスや節税戦略を提供し、顧客の財務状況を最適化する |
プレミアムサービス |
一人の顧客に対して特別で高級感あふれるサービスやカスタマイズされた金融ソリューションを提供する。 |
プライベートバンカーは、資産運用や金融戦略に関する専門知識を活かして、高額な資産を持つ顧客の財務状況をサポートします。
ファンドマネージャー
ファンドマネージャーは、ファンド運用をその目的や運用方針にあわせて管理する仕事です。
ファンドマネージャーの主な仕事内容は、以下の通りです。
資産運用 |
投資ファンドや顧客の資産を適切に運用し、リスクとリターンのバランスを考慮しながら収益を最大化する |
市場分析 |
市場動向や投資機会を分析し、適切な投資戦略を立案する |
ポートフォリオ管理 |
複数の資産を組み合わせてポートフォリオを構築し、リスク分散や収益最大化を図る |
顧客サービス |
投資家や顧客に対して適切なアドバイスや情報提供を行い、信頼関係を築きながら資産運用をサポートする |
ファンドマネージャーは、市場動向や投資機会を常に把握し、顧客のニーズに合わせた運用戦略やアドバイスを提供します。
高度な金融知識と市場洞察力が求められ、顧客の資産を効果的に管理・運用することが重要な仕事です。
アクチュアリー
アクチュアリーは、主に生命保険や損害保険などの金融商品を設計する仕事です。
具体的な仕事内容は、以下の通りです。
保険商品の設計 |
死亡率や事故発生率の調査・統計などを行い、適切な保険商品を設計する |
保険計理人 |
保険会社の決算時の確認を行う |
算定にあたっては、企業の収支バランスや経済状況、医療などの統計データを加味します。
そのためアクチュアリーは、数理的な知識の他に統計学や確率論などの幅広い知識が求められる職種です。
その他の仕事
営業や運用の他にも、金融業界にはさまざまな仕事があります。
具体的には、以下のような仕事です。
-
ホールセール
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リテール
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保険外交員
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ディーラー
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トレーダー
-
証券アナリスト
-
エコノミスト
-
金融事務
例えばエコノミストは、世界経済や日本経済の動向を調査して情報提供を行う仕事です。
近年は金融業界においてもIT業務が必要不可欠となってきており、IT業務の専門知識を持つ人材が重宝されます。
金融に向いている人の特徴
では、金融の仕事に向いている人はどのような人なのでしょうか。
経済学部や商学部、経営学部といった経済や商業系の学生をはじめ、証券アナリストを目指す人の中には分析力に強い理工学部系の学生も少なくありません。
一方、文学部や教育学部、社会学部などの出身で金融業界を目指す人もいます。
経済や金融に関する学部でなくても仕事ができるのか、金融の仕事に向いている人の特徴を紹介します。
数字やお金に強い
金融業界で仕事をする以上は、やはり、数字やお金に強いことは必須です。
数学が苦手、数字を見るだけでも寒気がする、計算が苦手といった人は向いていません。
顧客の大切なお金を預かり、運用などをしていく仕事ですから、1円たりとも間違うことは許されず、責任をもって取り扱うことが求められます。
そのため、数字やお金に強いことはもちろん、責任感や倫理観、正義感があり、誠実で緻密で正確性が高い人が求められる仕事です。
文系出身者でも数学が得意という人、子どもの頃、そろばんなどを習っていて暗算が得意な人には向いています。
数字が苦手という人も、学生時代から簿記の勉強をはじめて、簿記3級、2級レベルまで合格できれば、金融業界に進む素養ができます。
交友関係や人脈が広い
金融の仕事は法人リテール、個人セールスと営業の仕事も多く、銀行の窓口でさえ、預貯金の受け払いといった事務手続きだけでなく、保険商品や投資信託などの金融商品を提案営業するケースが増えてきました。
営業力をつけることの一環として、交友関係や人脈が広いことも不可欠です。
今の時代、企業への飛び込み営業や個人宅を巡っての営業先開拓には限界があります。
信頼を得て企業や個人客を紹介してもらう、異業種交流会などに参加して積極的に名刺交換を行い、ビジネスチャンスを広げるといったことが大切です。
そのためにも、学生時代から交友関係や人脈が広い積極的でコミュニケーション力が高い人は、金融の仕事に向いています。
金融業界に必要なスキル
金融業界で働くために必要なスキルにはどういったものがあるのでしょうか。
就職活動をしているとさまざまな業界を見る機会があると思いますが、金融業界に就職するために特に必要なスキルについて詳しく解説していきます。
厳密に言えば、その業界で特別必要なスキルというものは少ないというのが現実ですが、それぞれその業界で働くために特に必要なスキルというものは違います。
ここでは、特に金融業界で働く上で必要になるスキルについて詳しく解説していきます。
顧客との信頼関係を築くコミュニケーションスキル
金融業界では、商材によって変わりますが基本的にお客さまのお金を預かる仕事である場合が多いです。
お客さまの大切なお金を預かる以上、きちんとした信頼関係を築くことが重要になります。
そのためにもお客さまとしっかりとしたコミュニケーションを取ることによって信頼関係を構築していく必要があります。
また、ただ信頼関係を結ぶだけでは友達で終わってしまいます。
あくまでも就職したその企業の業績を伸ばす必要があるため、信頼関係を築いた後にはお客さまにお金を預けてもらうための論理的な説明能力も求められます。
コミュニケーションスキルを磨くことでお客さまの状況に合わせて求めている商材を提案することができるようになります。
新しい情報を継続して学べるスキル
金融業界では株価や為替、商品先物市場など世界を見渡せば、24時間365日、価格が変動し動き続けています。
世界各国の動きや国際情勢、経済変動をはじめ、戦争や災害、感染症の拡大などあらゆることに敏感に反応して動きます。
金融の仕事をしていくうえでは、こうした目まぐるしい動きに冷静に対応し、顧客にアドバイスをしたり、顧客の資産を守るように提案を行ったり、態勢を整えなくてはなりません。
そのため、日頃から経済情報をはじめ、政治や国内外の動きといったマクロの動きから、少子高齢化や地域の課題、企業の動きや市場トレンドなどミクロの動きに至るまで、敏感に情報をキャッチアップすることが求められます。
学生時代のうちからニュースに敏感になり、ある情報によって、経済がどのように動くのかをよく観察しておきましょう。
忍耐力をもってメンタルを管理するスキル
特に営業職はお客さまと企業の窓口です。
時にはクレームを受けることや、ノルマが達成できず上司から叱られるといったような経験をすることもあるかもしれません。
こうしたことが起きるたびに神経をすり減らしていては今後の長い社会人生活で疲れてしまうかもしれません。
そうなってしまってはせっかく採用したにも関わらず早期離職につながってしまい、企業としても採用計画に影響が出るだけでなく、採用コストが無駄になってしまいます。
そうしたことのないように、企業は選考段階で就活生に忍耐力があるかどうかについてもチェックしているのです。
時代の変化に適応する柔軟性
金融業界はどうしても硬いイメージがありますが、最近ではクールビズやリモートワークの導入を進める企業が増えてきていることもあり、徐々に働き方も変化しつつあります。
その他にも、PayPayやLINE Payの普及によってオンライン決済が急速に浸透してきており、そうした時代背景も踏まえて変化に対応する柔軟性が求められているのです。
こうした柔軟性をもたずに働いていると、突然の変化に対応できず社会から取り残されてしまう危険性があるため、たとえ新卒だとしてもこうした柔軟性が求められています。
金融業界のメリット・デメリット
それでは、金融業界ならではのメリットやデメリットについて紹介しましょう。
一見するととても稼げそうな金融業界ですが、実はメリットもデメリットもあります。
金融業界のメリット
まず、金融業界のメリットについて紹介しましょう。
金融の現場で働くからこそ得られるメリットというのは、実は結構あるものです。
高収入
まず、その1つはやはり高収入であることでしょう。
金融系の人はお金もちの傾向があり、それは間違いないものでしょう。
というのも、金融業界に就職すると初年度の500万円からのスタートということも多く、新卒でもがっつり大きな収入を得られるのは間違いないでしょう。
また、年収のベースアップも大きな傾向があり、比較的大きな収入を得られるため、とにかく収入を狙いたい人にはオススメの業界となっています。
類似して、福利厚生も安定している傾向があります。
もし収入よりも福利厚生を重視という人でも、金融業界はオススメです。
金融に関する知識が身につく
もう1つは、金融に関する知識が身につく点でしょう。
働いていると自然と金融や資産運用、お金についてのさまざまな物事や情報に詳しくなります。
知識がないと勧誘ができなかったり、時代の流れに取り残されてしまったりする可能性がありますので学習は必要です。
法改正や技術進化による変動が今後もあり得るのもまた、金融業界ならではの側面と言えるでしょう。
金融業界のデメリット
その一方で、金融業界には意外なデメリットもあります。
強靭な人でもつい潰れてしまうことがあるので、よく気をつけておきましょう。
精神的に疲れる
まず、精神的に疲れる側面が大きいことです。
具体的にノルマがある、決まりがあるという点が多く、法規制が厳しかったり、積極的にお客様が見つからなかったりするなどの精神的なストレスがかなりある点が強くなっています。
特に人の金銭に関わることですから、大きなストレスが発生しやすい傾向があるでしょう。
時に自分が売った金融商品が大暴落し、誰かの人生を大きく狂わせる可能性もあるかもしれません。
この点がとても大きなストレスになりがちなのです。
チャレンジがしづらい
もう1つは、チャレンジがしづらい点です。
金融の場合は積極的に斬新なことをすることが難しく、実際には何かしようとしても安全性や安定性を重視する人が多いため、どうしても新しいことをやるという点では二の足を踏みがちな業界なのです。
このため、自分の裁量がなかったり、自分が自由にやることや改善することができなかったりで、仕事に対してやりがいを感じづらいという人もいます。
そのため、「給料が高く福利厚生が良い」という側面はあるものの、仕事で「自己実現をしたい」「名を上げたい」という人にとっては、あまり好ましくない業界かもしれません。
異動が他の業界よりも多い
最後に、移動が他の業界よりも多い会社もあります。
これは1つの仕事に固定させると、そのまま会社の特定のお客様と仲良くなりすぎるあまり不正を働いたり、情報を流出させたりするなどの可能性もあるためです。
他の業界と違って、金融業界では明確に不正防止をしなくてはならないという大義名分がありますから、異動が他の業界よりも多く、地域をまたいだ大きな異動なども多いのです。
金融業界へ就職するためには
前述のように、金融業界は就活でも新卒学生に人気が高い仕事です。
他の業界と比較しても選考に応募している人数が多かったり、面接の回数が多かったりするのが特徴といえます。
それでは、そんな金融関連の仕事に就くためには、どうすれば良いのでしょうか。
まず、インターンシップや説明会など、3月1日の就活解禁までに可能な限り沢山動いておきましょう。
その際、最初から「自分は銀行だけを志望したい」と絞り込みすぎず、できるだけ色々な企業を見て回りましょう。
もちろん、金融業界以外の企業でも構いません。
色々な企業を見ることで比較検討ができ、自分に合っているかどうか、なぜ金融業界が良いのかなどの自己分析・業界研究を効率的に進めることができます。
次に面接対策ですが、資格が必要な専門職を志望しない限りは、他の業界と大きな違いはありません。
新卒の場合、知識や経験は入社してから教育できると考えている企業が多いので、重視されるのは新卒学生の性格や特徴が自社に合うかどうか、そして入社後に活躍する姿がイメージできるかどうかです。
自己分析や業界研究はもちろん、その企業の採用ホームページやOB・OG訪問を通し、企業のことをしっかりと研究しておきましょう。
金融業界で有利になる資格
金融業界で内定を得るためや、入社後にバリバリと仕事をこなし、自分のポジションを確立していくうえで、どのような資格があると有利なのでしょうか。
銀行や証券会社、保険会社など金融業界で仕事をしていくうえで、もっておきたい資格や目指したい資格について紹介します。
中には大学生のうちに取得できる資格もありますし、大学時代から勉強をスタートできる資格もありますので、自分が志望する業種や職種に合う資格を検討してみましょう。
ファイナンシャル・プランナー
ファイナンシャル・プランナーは家計のかかりつけ医などと呼ばれ、人生の夢や目標を実現するために経済的な側面からアドバイスをし、総合的な資金計画を立てる専門家です。
さまざまな金融商品は保険、住宅ローンの知識、不動産や相続、年金制度や税制まで幅広い知識を学び、顧客への提案へと活かしていけます。
銀行や保険会社、証券会社など業界全体で取得者が増えています。
ファイナンシャル・プランナーは金融財政事情研究会と日本FP協会が認定する資格があり、試験への合格と一定の実務経験を積むことで、1級ファイナンシャル・プランニング技能士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士・3級ファイナンシャル・プランニング技能士の国家資格も同時に得られます。
AFPと呼ばれる初級資格であれば、大学生でも取得可能です。
銀行業務検定
銀行業務検定は銀行や保険会社、証券会社などの金融機関の行職員を対象にした検定なので、大学生のうちは受験ができませんが、入社後に積極的に受けたい検定の1つです。
業務の遂行に必要な実務知識や技能・応用力を学ぶとともに、その習得度を測る基準となっています。
23系統36種目もの検定が用意されており、法務・財務・税務・外国為替・金融経済・証券・信託実務といった分野や、法人融資渉外・個人融資渉外・窓口セールス・年金アドバイザー・経営支援アドバイザー・預かり資産アドバイザー・相続アドバイザー・事業承継アドバイザーなどの各職種や担当する仕事別、営業店管理・融資管理・事業性評価といった管理部門、投資信託・保険販売・金融商品取引・デリバティブ・金融リスクマネジメントなど商品別の知識を学んだり、実力を確認できたりする検定が用意されています。
証券アナリスト
証券アナリストは専門知識と分析技術を応用して、各種情報の分析や投資価値の評価を実施し、投資のアドバイスや投資管理サービスを提供するエキスパートです。
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)になるには証券アナリスト第1次レベル講座、第2次レベル講座を受講し、3年間の実務経験を積まなくてはなりません。
大学生でも証券アナリスト講座を受講でき、第2次試験まで合格している人もいます。
実務経験がないため、CMAの認定は受けられませんが、満25歳になるまで検定会員補の登録料と登録継続費が免除される制度が用意されており、入社後の実務経験を経て正式な認定が受けられます。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営面での診断と助言をする仕事です。
経営戦略に詳しいため、企業の中核部門でリーダーシップを発揮し、経営的な視点から活躍できます。
また中小企業診断士の資格は、独立開業や転職にも有利です。
資格手当が支給されることが一般的であるため、収入面においても優遇されています。
また一般企業の平均年収が約606万円というデータがあるため、比較的高収入な仕事と言えるでしょう。
中小企業診断士は大企業やベンチャー企業でも活躍できるため、幅広い分野でのキャリア構築が可能です。
この資格は経験によって培われた経営全般の知識や能力を提供します。
そのためセルフブランディングや企業内での活用が容易です。
金融業界に就職するための選考対策
さまざまなメリット・デメリットはあるものの、金融業界はやはり人気のある業界です。
この金融業界に就職するためには、適切に選考対策をする必要があるでしょう。
自己PR対策
まず、自己PR対策です。金融業界の場合は、とにかく信頼できる人間であり、信用に値する人間だと信じ込ませる必要があるでしょう。
不正が起こったり何かあったりすると、それこそ会社の信用にすら影響を及ぼしかねません。
クリーンで正義感が強い、口が堅いなど、その人の信頼性が大きく存在するような個性が求められます。
このため、対策には時間が必要です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
志望動機対策
次に、志望動機対策です。
金融業界の場合、もっともやってはいけないのが「お金が欲しいから」「高収入だから」というようなアピールです。
金融業界はお客様の資産も扱いますから、お客様の資産にまで手をつけてしまいそうな人は好まれません。
以下の記事で志望動機対策についてチェックしましょう。
面接対策
最後に、面接対策です。
金融業界はお客様とやり取りをする窓口として、その人の外見や個性、人柄を重視します。
見た目がクリーンで信頼ができそうな人という印象を与えることは大事ですが、その他にもコツがあります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
金融業界の今後
ICT(情報通信)の進展はあるゆる方面に大きな変革をもたらしました。
現在ではICTからさらに進んでDXが企業にインパクトを与えている状況です。
金融業界もICTやDXの影響を大きく受け、これらに対応した企業経営が求められています。
金融業界の今後はAI技術の進歩によるオートメーション化、デジタルマネーの進歩、取引の海外展開の3つのファクターによって変貌を遂げようとしています。
ここからは、この3つのファクターをそれぞれ解説していきます。
AI技術の進歩によるオートメーション化
金融業界はAIの進展によるオートメーション化によって大きな変容を遂げました。
その1つとして銀行業務があります。
今まで人が行っていた銀行業務が機械によるオートメーション化に代わるようになりました。
その影響はコストカットによる人員削減やリストラにつながっていきます。
今後もオートメーション化がさらに進むことによって、支店の統廃合など経営にまで影響を及ぼす要因になります。
デジタルマネーの進歩
AIとオートメーション化の進展とともに、デジタルマネーの進歩は金融業界の決済業務を大きく変える画期的な手法となりました。
預金通貨からデジタルマネーへの変更は新たな通貨の形態を生み出しています。
デジタルマネーは金融業界に大きなインパクトを与え、今までの常識では考えられない変革をもたらしました。
取引の海外展開
AIとオートメーション化そしてデジタルマネーの進展は海外取引を展開する要因の1つになりました。
さらに、企業の海外進出が活発化する中で、金融業界も海外展開を進め、支店などの拠点をおいています。
世界規模での取引が可能となることは銀行や保険会社だけではなく金融業界全体に見られることです。
金融とITの融合~フィンテックとは~
フィンテック(FinTech)とは、金融(Finance)とIT(Information Technology)を組み合わせた造語です。
アメリカを中心に世界各国で注目を集めており、金融各社がIT分野に精通した人材を採用したり、IT業界の企業が金融業界へ参入したりと、さまざまな変化が起きています。
フィンテックによって生まれたサービスの代表的な例が、クレジットカードによる決済や仮想通貨などです。
これらは金融とIT、両方の技術が融合したことによって生まれたサービスで、今では多くの顧客が利用しています。
また、転職市場でもIT業界経験者が金融業界に転職をするケースが増えてきています。
例えばネット証券の場合、ネットでの注文システムや投資情報を顧客に提供するためのツール開発、セキュリティ対策など、IT技術が必要となる場面が数多くあります。
そのため、ITに関する知識や技術をもっている人材は、金融会社においても魅力的なのです。
フィンテックはまだ具体的な定義づけこそされていませんが、今まさに社会構造の変化を起こしており、今後に注目が集まっている新しい金融サービスの形といえるでしょう。
フィンテックの特徴
フィンテックに力を入れている企業にはさまざまな事例があります。
ここでは金融業界の将来的な発展としてフィンテックについて詳しく解説していきます。
大企業がIT人材を採用することによってフィンテックに乗り出す他、IT系ベンチャーでも革新的なサービスによって金融業界に参入してきています。
キャッシュレス決済
金融業界に興味のある人なら1度は利用したことがあるかもしれません。
キャッシュレス決済の普及によって財布をもたずに買い物に行ったり、コロナ禍によって接触のないレジ業務の推進などによって急速に普及していきました。
ここではいくつかの有名な企業を例に出して業務内容などを解説していきます。
仮想通貨
仮想通貨とは、インターネット上でやり取りができる資産のことをさし、代表的なものではBitcoinなどが例に挙げられます。
インターネット上で価値が変動することから投資的な側面ももっています。
最近では1Bitcoin=500万円以上で取引されており、その資産データはブロックチェーンと呼ばれるセキュリティシステムを採用しています。
IT業界とはどんな業界なのか理解を深めよう
今回は金融業界の仕事内容や採用について、そしてIT業界との関連性についてご説明をさせていただきました。
金融の仕事は厳しいノルマやプレッシャー、高い専門知識など決して楽な仕事ではありません。
ですが、待遇や企業の方針など魅力的な金融会社が多くあるのも事実です。
また、IT技術との融合や新しい商材の開発、海外への進出など、これからの社会に必要不可欠なサービス展開を行っていますので、仕事を通して社会に貢献することもできます。
これから金融業界の選考を受けることをお考えの新卒学生の人は、自分が受けようとしている企業が自分の志望に合っているか、また入社後にどう企業に貢献していくかなど、具体的にイメージして臨んでください。