就活を続ける途中で内々定が出ても、そこでやめずに引き続き別の企業で面接を受ける学生がいます。彼らが就活を続ける意味は何なのでしょうか。内々定を辞退する方法についても紹介します。
内々定が出ても就活を続ける意味とは?
マイナビが公表している「2018年卒大学生内定調査率調査」によると、就活を続ける途中で内々定が出ても、そこで満足してやめる学生は3月の時点で全体の2割程度しかいません。
8割以上が何らかの理由で就活を継続しています。7月に入るとさすがに逆転しますが、それでも2割近くの学生がまだ他の企業の面接を受けようとしています。
日本の就活は日経連(日本経済団体連合会)の指針によって、卒業する年度の10月1日以降にならないと内定を出せません。
けれども就活は前年度の3月1日から解禁になるので、10月1日まで待っていると他の企業に優秀な学生を取られる可能性があります。
そこで企業側は内々定を出して学生を採用する意向を明確にするのです。10月1日までお互いの意思が変わらなければ、あらためて内定を通知します。
内々定には法的な拘束力がありませんから、学生がその間に他の企業の面接を受けても責められませんし、逆に企業側の気が変わって内定を断られる場合もあります。企業も学生もまだ安心できません。
企業の中には内々定を出さず、10月1日の解禁日以降にいきなり内定を出すところがあります。それに合わせて会社説明会も面接も遅くなるので学生は就活を続けなければいけません。そこが本命だったらなおさらです。
他にも内々定をくれたところが自分に合っているのか、他の企業と比較しながら検討したい学生もいます。実際に7月の時点で学生がもらっている内々定の数は平均で2社以上に及ぶほどです。
さらに内定を受けても、まだ納得しておらず就活を続ける学生も少数ながらいます。他に良い企業に受かれば内定を辞退するつもりです。
こうした学生の姿勢には賛否両論があります。企業側にとっても入社してくれるものと思い込んで準備を進めているので、辞退が遅くなるほど迷惑をかけてしまうかもしれません。
実際にマイナビの「2018年卒企業新卒内定状況調査」によると半分以上の企業で内定辞退率は3割を超えます。
ただし就活の主役は学生であり、これ以上恵まれた条件で就職できる機会は今後ありません。たとえ就活を続ける途中で内々定をもらっても、納得いかなければ妥協しないで続けるべきでしょう。
なお、企業の中には囲い込みをしようと内々定を出した学生に対して「オワハラ(就活終われハラスメント)」をしてくるところがあります。
例えば他社の面接の日に研修をぶつけて出席しないと内定は出さない、内定を出すから他社の選考は辞退して欲しいといった具合です。辞退したら二度と同じ大学から採用しないと露骨に脅迫してくる場合もあります。
そのような目に遭ったときは、一人で悩まず学校の就職課に相談しましょう。アドバイスしてくれたり、採用担当者との交渉をシミュレーションしてくれたりします。
内々定後でも就活を続けて辞退できる?
先述のとおり内々定には法的な拘束力がありません。就活を続ける途中で辞退したくなっても、それは学生の自由です。たとえ書面で通知されていたとしても、それは口約束と変わりありません。
ただし辞退するときは速やかに企業へその旨を連絡しましょう。特に10月1日を過ぎると企業は内定を出してしまいます。それまでには意向を伝えておきたいものです。自ら辞退を申し出るのは気が重いかもしれませんが、半分以上の企業は3割以上の辞退者がいるので、こうした連絡には慣れています。
先ほどのマイナビの「2018年卒企業新卒内定状況調査」によると、突然連絡が取れなくなって内々定を辞退する学生は2割近くいるそうです。その時は良かれと思っても、いずれその企業と接点ができるかもしれません。謝罪はしっかりとしておきたいものです。
内々定を辞退する方法はいろいろありますが、電話なら確実に伝えられるでしょう。メールはうっかり見落とされる恐れがあります。電話口では辞退する旨を話し、理由を聞かれたら素直に答えましょう。
採用担当者は多くの学生と接していますから、嘘をついてもすぐに見破られてしまいます。最後に感謝の気持ちを伝えて終了です。
例文にすると以下のとおりになります。
いつもお世話になっております。先日、内々定をいただいた○○大学〇〇学部の〇〇と申します。採用担当の○○様はいらっしゃいますでしょうか。
(採用担当者に電話が転送される)
私、〇〇大学〇〇学部の〇〇と申します。お話があるのですが、お時間をいただいてもよろしいでしょうか。
(相手が了解する)
この度は内々定をいただき、ありがとうございます。大変申し訳ございませんが、辞退させていただきたく、お電話を差し上げました。
(理由を聞かれる)
あらためて適性を考えたとき、別の企業に縁を感じたからです。心苦しい限りですが、そのような結論に至りました。
(辞退を承諾される)
この度は私のために貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございます。それでは失礼いたします。
(相手の返事が終わるのを待って、先に電話を静かに切る)
もしメールで辞退を伝えるなら、例文は以下のとおりとなります。
件名:内々定辞退の件について(〇〇大学〇〇学部 〇〇 〇〇)
○○株式会社 人事部 採用担当 〇〇 様
いつもお世話になっております。
〇〇大学〇〇学部の〇〇と申します。
この度は内々定をいただき、ありがとうございます。
誠に申し訳ございませんが、あらためて適性を考えたとき別の企業に縁を感じ、貴社の内々定を辞退する結論に至りました。せっかく貴重なお時間を割いていただいたのに心苦しい限りです。
本来であれば直接お伺いしてお詫び申し上げなければいけませんが、メールでのご連絡となりますことをご了承願います。
○○様をはじめ、貴社の皆様にお世話になりましたことをお礼申し上げます。
貴社の益々のご発展をお祈りいたします。
〇〇大学〇〇学部 〇〇 〇〇
まとめ
就活を続ける途中で内々定が出ても、まだそれは確定したものではなく拘束力もありません。他に気になる企業があるなら就活を続けても問題はありません。ただし、内々定を辞退する場合は速やかに連絡しましょう。電話であれば確実に意向を伝えられます。
企業側は入社してくれることを期待して内々定を出しているため、行き過ぎて「オワハラ」のようなトラブルに発展する場合もあります。そんなときは一人で悩まず誰かに相談しましょう。就活市場でも内々定に関する情報が豊富ですからヒントになるはずです。