希望していた会社から内々定の通知が来ることは、学生にとって喜ばしいことでしょう。しかし、問題は複数の企業にエントリーして、いくつかの企業から内々定を受けた場合です。
内々定が重なったとき、保留にすることはできるのでしょうか。内々定を保留にする方法と注意点を詳しく確認してみましょう。
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内々定の保留についての説明前に:内々定って一体なに?
内定は、企業が採用する意思を示すことですが、似たような言葉に内々定というものがあります。内々定の定義について確認してみましょう。
■内々定=内定ではない
内定と内々定、言葉は似ていますが内定と内々定は同一ではありません。内定は採用を約束するものですが、内々定は内定を約束するものです。
企業が採用する意思を持っているという点では同じですが、法的な面だと、どうしても内定より内々定のほうが弱く、将来が確約されたものではなくなってしまいます。内々定があったから安心するのはまだ早いでしょう。
なお、内々定はあくまで企業側の意思表示であって、採用が確定したわけではないため、保留にして就活をすることに制限はありません。
■内々定が存在する理由
内定の内定という、どうしてややこしい状況が存在するのでしょうか。理由は、内定が可能となる期日にあります。日本経団連により内定は10月1日以降と決まっているためです。
10月以前は内定を出したくても期日の関連で内定にできないため、内々定という措置を取って企業側は人材の確保をしています。
■内々定はどのように通知される?
それでは内々定は応募者にどのように通知されるものなのでしょう。実際の通知は、最終選考の面接の場など直接口頭で伝えられることもあれば、内定通知のように文書が届くなどさまざまです。
なお口頭の場合は、「内々定」と直接的なワードではなく、間接的に伝えられることがあります。内定のように法的な縛りがなく曖昧になりやすいからこそ、内々定かどうかはしっかり確認しておきましょう。
内々定は保留にできる?
就活では、複数の企業に応募して就職試験を受けることは珍しくありません。第1希望、第2希望に落ちることを考えて複数の会社で就活をしていると思いますが、思ったより上手くいき、複数の内々定を受けることがあります。
選択肢があるという点ではメリットになりますが、どの会社を選ぶかもう1度じっくり考えたいと思うこともあるでしょう。ここでは内々定の保留ができるのか、方法も合わせて紹介していきます。
■内々定の保留は可能
内々定の保留とは、すぐには会社に入る決断ができないため、少し考える時間がほしいと申し出ること。結論からいうと、内々定の保留は可能です。
内定の場合は通知からだいたい1週間以内に返事をする必要がありますが、内々定は法的な拘束がないため保留にできます。一旦保留にして、就活を続けるという選択肢もありです。
■内々定の保留をメールで伝える
メールで内々定の保留をお願いする場合は、できるだけ丁寧に、低姿勢でお願いするのがポイントです。簡潔に保留の理由を書いて、いつまでに返事をするつもりか明記しておきましょう。
(メール例文)
お世話になっております。●●大学△△学部の××です。
この度は、採用の通知をいただき誠にありがとうございます。
入社の件ですが、他社の結果も踏まえ返事をさせていただきたく考えております。
ご検討いただき大変恐縮ですが、○月○日までお時間いただけないでしょうか。
こちらの都合で申し訳ありませんが、何卒ご了承くださいますようよろしくお願いいたします。
■内々定の保留を電話で伝える
電話で内々定の保留を伝える場合も、基本的にはメールと同じような手順で問題ありません。ただし、業務中の連絡になるのでなるべく簡単に要点のみを伝えるよう心がけるとよいです。
(電話例文)
お世話になっております。
本日内定通知をいただきました、●●大学△△学部の××と申します。
この度はありがとうございました。
入社の件についてですが、勝手ながら少しお時間をいただきたいと考えております。
○月○日までお待ちいただくことは可能でしょうか。
■内々定を辞退するとき
せっかく返事の保留までしてもらっても、検討の結果、内々定をもらった会社には就職しない選択肢もあるでしょう。内々定をもらって、断りの連絡を入れるのは心苦しいものです。
ですが会社は辞退がわかれば他に採用する人を選ぶ必要があります。迷惑をかけないためにも辞退するなら早めに連絡しましょう。期間についても注意が必要で、内定が可能となる10月1日までには返事をするべきです。
なお、内々定の辞退を申し出るときは電話でするのがベスト。メールだと見逃してしまう可能性があるため、確実に連絡したとはいえません。言い方も、申し訳ない気持ち、内々定にあたっての感謝の気持ちを述べ、角が立たないようにするとよいです。
企業側から内々定を保留にしたり断ってくる可能性も
複数の企業にエントリーしており、最終的に1つに絞らなければならないといった場合、学生側が内々定の辞退を申し出ることがあります。しかし、内々定の取り消しは、必ずしも学生側が優位に立つわけではありません。内々定を出した企業が取り消しをしてくる可能性もあります。
なお、一部訴訟に発展したケースもありますが、内々定には法的な拘束がないため、内々定後に企業が取り消すことは問題となりません。
それではどのような場合で内々定が取り消しになるのでしょうか。内々定者に問題がある場合、内々定を出した企業に問題がある場合で考えてみましょう。
■内々定者の行動によって取り消されるケース
学校を卒業できなくなった、経歴詐称があったなど、内々定者の行動が原因の場合は、大きく信用を失うことになり、内々定を取り消されることがあります。ただし、よほど重大な過失でないと取り消しになるケースは少ないです。
また、内々定者の態度によるものでなくても、病気や事故など突然の状況の変化で内々定がキャンセルになるケースもあります。
■企業の都合により取り消されるケース
内々定者に非がなくても、企業都合により取り消されることがあります。たとえば、企業が急な業績悪化で今後の経営状況が不透明となった場合、災害にあってしまった場合などです。
そもそも企業は、優秀な学生を早い段階で引き抜くために内々定を出しています。そんな内々定を取り消すということは、不測の事態に見舞われたと考えるべきでしょう。
もしかするともっとよい人材がいたからではと憶測することもあるかもしれません。このような迷惑な理由でキャンセルというのは社会的に許されるものではありません。
SNSなどが普及した現代社会において、簡単に内々定を取り消すような会社は悪評が付き、よい人材の確保に程遠くなってしまいます。こうしたリスクを考えると、企業都合で簡単に内々定を取り消すにはよほどの理由があると考えたほうがよさそうです。
内々定の保留に関してまとめ
学生にとって、将来を左右するほどの内々定の通知。嬉しいものではあっても、複数かぶると迷ってしまうものです。内々定の返事に困ったら、保留はできるのでメールや電話で連絡を入れて待ってもらうようにしましょう。
ただし内々定は法的な拘束がないためか、辞退を申し出なくても取り消されてしまうケースがあります。内々定をもらったからといって安心しきるのは時期尚早でしょう。
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